2020年2月4日に行われた、田辺三菱製薬株式会社2020年3月期第3四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:田辺三菱製薬株式会社 取締役 常務執行役員 田原永三 氏

決算概要 2019年度第3四半期 決算概要

田原永三氏:本日はご多用のなか、田辺三菱製薬株式会社、2019年度第3四半期決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。

私は、取締役常務執行役員の田原永三でございます。本日は私から決算概要、主力製品の状況、研究開発の状況についてご説明したあと、最後に三菱ケミカルホールディングスによる当社の完全子会社化の状況についてご説明します。

まず、2019年度第3四半期の決算概要について説明します。2ページ目をご覧ください。売上収益については、当第3四半期では、薬価改定の影響を受けながらも、第2四半期に引き続き国内重点品が伸長しました。

一方で、「ジレニア」のロイヤリティ収入に関して、ノバルティスの仲裁手続きが継続中であるため、IFRS15号に従い、その一部について売上収益の認識を行なわない結果、前年同期比マイナス10.5パーセント、350億円減収の2,974億円になりました。

各段階利益は、「ジレニア」のロイヤリティの影響を受け、売上総利益は389億円減益の1,543億円、コア営業利益は313億円減益の241億円、四半期利益は232億円減益の182億円と、いずれも減益となりました。

なお、通期予想については、経費がほぼ予定どおり発生し、想定内に着地すると見込んでいるため、5月公表の通期の予想から変更はありません。

決算概要 売上収益の増減

次に、売上収益の増減について、グラフにて説明します。国内医療用医薬品においては、昨年度よりヤンセンファーマ(Janssen Pharmaceutical K.K.)と販売の枠組みを変更した「ステラーラ」の寄与および「ルパフィン」「シンポニー」「カナグル」等の重点品の伸長により、前年同期比プラス103億円となりました。

海外医療用医薬品においては、前年同期比マイナス44億円になりました。「ラジカヴァ」は待機患者への処方が一巡したこと等により、前年同期比マイナス32億円となりましたが、「ラジカヴァ」の売上収益としては今年度予想の水準にあります。

なお、「ラジカヴァ」の投薬患者数は12月末現在で累計約4,500名となっています。ロイヤリティ収入等については、先ほどの説明のとおり「ジレニア」の減少により、前年同期比マイナス413億円となりました。

これらの結果、売上収益は前年同期比マイナス350億円の2,974億円となっています。

決算概要 売上原価・販管費・コア営業利益

続いて、売上原価、販管費、コア営業利益について説明します。売上原価は38億円増加となりました。売上原価率は薬価改定の影響や品目構成の変化、ロイヤリティ収入の減少等により、前年同期比6.2ポイント上昇の48.1パーセントとなりました。

販管費は業務生産性改革の進捗等により減少し、研究開発費は開発プロジェクトの費用の一部が減少しています。これらの結果、コア営業利益は313億円減益の241億円となりました。

決算概要 非経常項目・四半期利益

次に、コア営業利益以降について説明します。営業利益は314億円減益の249億円となりました。金融収益はご覧のとおりです。金融費用については、為替による影響です。これらの結果、四半期利益は232億円減益の182億円となりました。

主力製品の状況 国内外のトピックス

それでは、主力製品の状況について説明します。7ページをご覧ください。主な国内外のトピックスを説明しています。

まず、国内の重点品ですが、免疫炎症の「レミケード」「シンポニー」「ステラーラ」ですが、第3四半期においても、ほぼ計画どおりの順調な進捗を示しており、国内売上収益の中心を担っています。

続いて、当社の糖尿病3剤は、DPP-4阻害剤の「テネリア」とSGLT2阻害剤の「カナグル」、両剤の配合剤である「カナリア」を展開しています。「テネリア」は、引き続き堅調な推移を続けており、1月には水なしで服用できるOD錠の剤形追加を申請しています。

「カナグル」は、昨年4月に発表されたCREDENCE試験の適正な情報提供を続けることで、糖尿病患者の治療貢献を推進していきます。また、本年1月に発表された「第3回日本医療研究開発大賞」において、極めて顕著な功績が認められる事例に与えられる「内閣総理大臣賞」を受賞しています。

ワクチンについて、昨年4月から12月までの当社のマーケットシェアは22.8パーセントとなり、国内のトップシェアを築いています。今期はインフルエンザの早期流行が報道等で懸念されましたが、シーズン前の出荷開始など、対策を進めることで市場への安定供給を実現しています。

最後に、米国の「ラジカヴァ」については、第3四半期までで累計で173億円となり、計画どおり推移しています。通期は220億円を予想しています。

研究開発の状況 グローバル後期開発品の状況

次に、研究開発の状況について説明します。9ページをご覧ください。 まず、当社のグローバル後期開発品について、各プロジェクトの進捗を説明します。

ALS治療薬「ラジカヴァ」の経口剤「MT-1186」は、11月に長期安全性試験を開始しました。「ラジカヴァ」の注射剤は各国、各地域への承認申請を並行して進めており、本期間中においてはインドネシアおよびタイで申請しました。

「ND0612」は1年投与の安全性評価期間が終了し、現在データを解析中です。また、経口剤と比較試験であるフェーズ3試験を実施しています。季節性インフルエンザVLPワクチンである「MT-2271」は、米国の申請に向けてFDAと協議中です。

研究開発の状況 MT-7117(MC1R作動薬)

次に、POCを終了した各品目について説明します。まず、「MT-7117」については、赤芽球性プロトポルフィリン症(EPP)患者を対象にPOCを取得し、後期開発準備を開始しました。本剤は、経口投与可能なEPP患者における光過敏症の発現予防薬として開発中で、2018年にFDAよりFast Trackの指定を受けています。

研究開発の状況 MT-7117のPOC試験概要

「MT-7117」のPOC試験の概要を説明します。POC試験はEPP患者102名を対象に実施し、本剤投与群ではプラセボ群に比べ、日光暴露時の最初の前駆症状が発現するまでの時間が有意に延長しました。本結果は、2020年度に学会発表をする予定です。引き続き、2020年度にP3試験を開始、2021年度に米国申請を予定しています。

研究開発の状況 MT-8554(TRPM8遮断薬)

次に、「MT-8554」についてです。血管運動神経症状(VMS)を対象としたPOC試験を終了しており、高い安全性が期待できる非ホルモン治療として、更年期および閉経周辺期におけるホットフラッシュや発汗を抑制することが期待されます。

研究開発の状況 MT-8554のPOC試験概要

「MT-8554」のPOC試験の概要については、VMSを有する閉経後の女性375名を対象に実施し、VMS頻度や重症度を評価項目として、本剤の有効性を確認しました。本結果は2020年度に学会発表予定です。フェーズ3試験の計画について、FDAと相談中であり、並行してアライアンス活動を実施していきます。

研究開発の状況 MT-3995(MR拮抗剤)

次に、14ページをご覧ください。「MT-3995」についてです。非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)を対象としたPOC試験を終了しています。非ステロイド骨格であり、標的分子に対する特異性が高く、性ホルモン由来の副作用の軽減を期待しています。

また、MRシグナル伝達を抑制することで、臓器障害因子を遮断し、インスリン抵抗性の改善等による代謝異常の是正に加えて、抗炎症作用や線維化抑制作用を発現することが想定されています。

研究開発の状況 MT-3995のPOC試験概要

「MT-3995」のPOC試験の概要です。NASH患者48名を対象に実施し、肝障害の指標であるALTの変化率、また複数の線維化マーカーにおいて、プラセボ群と比較して「MT-3995」群で低下傾向を示しました。現在、アライアンス活動を実施しています。

研究開発の状況 主な開発パイプラインの進捗

16ページをご覧ください。こちらは主な開発パイプラインの状況を示しています。2019年度第2四半期決算発表以降に進捗のあったものを青くハイライトしています。

研究開発の状況 主な開発パイプラインの上市計画

続いて、17ページが主な開発パイプラインの上市計画についてです。

三菱ケミカルホールディングス(MCHC)による当社の完全子会社化

次に、三菱ケミカルホールディングスによる当社の完全子会社化の状況について説明します。当社の親会社であるMCHCは当社の完全子会社化を意図して、昨年11月18日に公開買付け実施を公表し、翌19日から本年1月7日まで、当社株式の公開買付けを実施しました。

1月8日にその結果を公表し、MCHCの当社議決権所有割合は91.57パーセントとなりました。1月17日にはMCHCからの株式売渡請求を当社が承認し、現在次の100パーセント化のステップとして、株式売渡請求の手続きに入っています。

東京証券取引所では2月26日が最終売買日となり、27日をもって上場を廃止します。3月2日にMCHCの完全子会社となる見込みです。私からの説明は以上でございます。ありがとうございました。

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