サーバーワークス、AWS導入事業は好調な成長続く デスクトップクラウド化事業等で成長拡大へ

2020年1月19日にログミーファイナンス主催で行われた、第10回 個人投資家向けIRセミナー&講演会の第4部・株式会社サーバーワークスの講演の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:株式会社サーバーワークス 代表取締役社長 大石良 氏\n元ファンドマネージャー/元ディーラー 坂本慎太郎(Bコミ) 氏\nフリーアナウンサー 袰川有希 氏

第9回 個人投資家向けIRセミナー&講演会(第4部)

大石良氏(以下、大石):みなさまこんにちは。サーバーワークスの大石と申します。当社はサーバーワークスという会社で、みなさまも大好きな「Amazon.com」が企業向けに提供している「AWS」というクラウドサービスを専門的に取り扱っている、クラウドインテグレーターという業種の会社です。

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Serverworks

本日はせっかくお休みの日にお越しいただいていますし、定量的な情報についてはもうWebから集められる情報であって、みなさまは個人的に分析してくださると思うので、なぜ当社がAmazonのクラウド、AWSを取り扱い始めたのか、これが我々の社会にどのようにインパクトをもたらすのかという、Whyの部分、定性的な情報をみなさまと共有させていただきたいと考えています。

昔の合格発表

当社サーバーワークスという会社は、2000年に設立されました。AmazonがAWSを始めたのが2006年で、それまでは全然違う事業を行っていたのですが、(当社が)何をしていたか説明します。

当社設立より上の年代の方は、大学の合格発表というとスライド画像のようなイメージだと思います。

今の合格発表

一方、いまどきの合格発表はこんな感じです。スマホで合否が全部見れるのですね。

ところが、大学にとってはこのようなシステムは1年に1回しか使わないものであるため、大学自身でシステムを作るのではなく、当社のような会社に頼むというようなニーズがあり、当社は大学からそのようなシステムの運営を請け負っていたのです。

課題

このシステムには実は課題があります。大学の合格発表は2月の特定の日の朝10時から10時15分に集中するのです。この15分のためだけにサーバーが200台ほど必要なのです。過去、当社はそのようなサーバーへの投資などを自分たちで行ってきました。

ところが、サーバー(言い換えるとコスト)は、このグラフで示した15分のピークに合わせて必要になるわけです。つまり、それ以外の部分は当社にとって全部無駄だったのです。

AWSのテスト利用を開始

これはなんとかしないといけないということで、自分たちで解決策を探していたところ、どうもあのAmazonが仮想サーバーを1時間10円で貸してくれるらしいということを聞きつけ、自分たちで触ってみました。私も実際触ってみました。

社内サーバー購入禁止令

触ってみたら、これはすごい、本当にITの世界がまるっきり変わってしまうということがわかり、2007年にテストを始め、2008年から社内サーバー購入禁止令を発令しました。

当社は(従業員の)約7割がエンジニアという会社なのですが、2008年から本当に1台もサーバーを買っていません。全部AWSを使ってみようと考え、自社の社内システムやサービスをAmazonのクラウドに置いてみて、本当にサービスが継続できるのか、事業が維持できるのか試してみたのです。

結論を申し上げると、2008年のリーマンショック、2011年の東日本大震災というような危機を乗り越え、当社はずっと増収しています。今、この実験は成功だったのではないかと結論づけています。

AWS専業インテグレーターに転換

そして、いよいよ上記の社内のテストもクリアして、2009年から、これからの新規プロジェクトはAWS1本だということで、日本で初めてAWSのインテグレーター事業を立ち上げたというわけなのです。

しかし、実は最初は非常に苦労しました。2009年、2010年、2011年、と「Amazonどうですか、クラウドどうですか」と宣伝してもみなさまなかなか見向きしてくださらなかったのです。そんな事情が一変してしまったのが、日本赤十字社での事例です。

東日本大震災当時の様子

震災直後のTwitterのログを拾ってきたものなのですが「日本赤十字社に繋がらない」「アクセスできない」「接続できない」という悲鳴に似たツイートが非常にたくさんあったのです。

サイトダウンの理由

何が起きていたかと言いますと、震災直後、被災された方はどこに行ったら義援金を受けられるのか、被災されていない方はどこに行ったら義援金が払えるのか、ボランティアができるのか、というような情報を求めて、一斉にアクセスが集中してしまったのです。これで(日本赤十字社の)サイトがダウンしてしまいました。

日本赤十字社へAWSサービスを提供①

実は当社は、その時ボランティアとしてAWSのサービスを提供させていただいたのです。(日本赤十字社のサーバーは)震災前は普通のサーバーだったのですが、ここにアクセスが集中してダウンしてしまいました。

震災直後に当社が駆けつけて、AWSが提供している仮想サーバーに日本赤十字社のホームページを移しました。AWSは、コンテンツのコピーを持つキャッシュサーバーと呼ばれるものを全世界に持っているのです。日本赤十字社のホームページの中身が、自動的にキャッシュサーバーにコピーされる仕組みを当社は30分で導入したのです。

日本赤十字社へAWSサービスを提供②

一般のユーザーさまは日本赤十字社のサイトにアクセスしているように見えるのですが、実際のコンテンツはこのキャッシュサーバーから返ってきます。これにより、アクセス集中を防いだのです。

AWSを導入した後、テレビ、ラジオ、インターネットなど、いろいろなところで日本赤十字社のアドレスが出ました。それでも、サイトのダウンは一度も起こしていないそうです。

この導入を30分で完了したところ、「そんなことができるなら、義援金管理システムも作ってくれないか」と言われたのです。日本赤十字社はインターネットを使って何千億円というお金を集める仕組みを持っていなかったため、急遽当社に白羽の矢が立ちました。

ご記憶の方もいらっしゃるかもしれませんが、義援金の振込量はすごい量で、当時は銀行のシステムがダウンしてしまうぐらいのトランザクションと呼ばれる取引量があるのがわかっていたため、Amazonのクラウドは仮想マシンのスペックを選べるようになっているのですが、当時最上位のマシンを二十数台用意して、それらを束ねる仮想のロードバランサー、1日50万通受けられるメールサーバー、そしてデータベースをそろえました。

万が一でも義援金の振り込み情報が吹き飛んだなどということがあれば社会問題になってしまいます。

日本赤十字社へAWSサービスを提供③

Amazonが持っている、物理的に20キロメートル以上離れている2拠点で自動的にデータベースの内容を同期し、バックアップも自動的にとり、ミスオペレーションがあった場合5分以内なら元に戻せるというデータベースの仕組みを使って、当社は義援金管理システムを2時間でつくり、48時間でアプリケーション化して、日本赤十字社に届けたのです。

義援金 受付開始まで

当社は3月14日に初めて日本赤十字社にうかがったのですが、15日にはサイトが復旧し、17日には義援金の募集が始まっています。この義援金の募集は震災が起きてから都合2年半の間行われていたのですが、それまでの間3,200億円の義援金が全額、当社がAWS上でつくったシステムで集められ、そして被災された方々に届けられました。このようなことがあったのです。

おかげさまでこの取り組みがいろいろなメディア等を通じて広く知られるようになり、「ああそうか、AWSはこのような災害時もきちんと機能するんだ」と(認識されました)。

AWSを使う場合、サーバーワークスのような専門のパートナーに頼むほうがいいということが広く知られるようになり、そして今日現在、700社を超えるエンタープライズグレードのみなさまが、サーバーワークスという会社と一緒に、AWSを使っていくという選択をしてくださっているわけなのです。

日本赤十字社様事例(日経SYSTEMS様 2011年6月号)

実は私、最初は日本赤十字社の事例をみなさまにお話ししていなかったのです。お話ししていなかったら、日本赤十字社に怒られました。「大石さん、なぜこれについてしゃべらないんだ」と。「普通はボランティアでやったことを自慢はしないじゃないですか」と言うと、「違う、話してくれ、話して儲けて、義援金を払ってください」と言われました(笑)。

お客さまからいただいた売上の一部は、義援金や日本赤十字社の活動資金として、今でも毎年寄付させていただいています。

ビジョン

クラウドというものを使うと、時間や場所の制約を超えて、今コンピュータを必要としている人のところに迅速にコンピュータリソースを届けることができます。これによって、例えば日本赤十字社の時、それから熊本の震災の時も、どうしても出勤できなくなったが仕事をしなければならない、仕事をしたいという方に、コンピュータリソースを提供することができるようになるわけです。

もっと突き詰めていこうということで、当社は「クラウドで、世界を、もっと、はたらきやすく」というビジョンを掲げています。もちろん当社が提供するお客さまだけではなく、当社も含めて、クラウドを使って働きやすい社会を実現していこうと、ビジョンに向かって事業を進めている会社です。

今までのAWSのストーリーは以上のとおりです。

市場環境:パブリッククラウドについて

今日はせっかくみなさまにお越しいただきましたので、もちろん投資にご興味がある方が多いと思うのですが、ITのプロではないという方もたくさんいらっしゃると思いますので、今日は改めて、AWSが何者なのか、どれぐらいのポテンシャルをもっているのか、何をしようとしているのか、みなさまと共有させてください。

まずAWSが何かと言いますと、Amazonが提供するクラウドサービスです。オンプレミスというキーワードがよく出てくるのですが、これは何かと言いますと、企業が自社でコンピュータを買って、自社で運用する、昔ながらのシステムです。

それに対して、クラウド、とくにパブリッククラウドと呼ばれるものは、AWSや、場合によってはMicrosoft、Googleといった外部のリソースを使うという形態です。このことをパブリッククラウドと呼びます。

プライベートクラウドという名前を聞いたことがあるかと思いますが、プライベートクラウドのうちほとんどのケースでは企業が自社でハードを持ち、運用するという形態を取るため、実質的にはほとんどのケースがオンプレミスに分類されると思います。

市場環境:パブリッククラウドの分類

当社はパブリッククラウドに集中しているのですが、実はこのパブリッククラウドのなかにもいくつか分類があります。非常にたくさんあるのですが、ざっくり分けると、SaaS、IaaSの2つになります。SaaSというのは、クラウドで、さらに言えばブラウザで使えるアプリケーションというたぐいのものです。

世界で一番大きいのはおそらくSalesforceかと思うのですが、日本でも例えば、昨年上場された会社のsansan、HENNGE、チームスピリットなど、このような会社が提供されているサービスがSaaSになると思います。

一方で、AWSはIaaSと呼ばれるものになります。これはInfrastructure as a Serviceの略です。インフラをサービスとして提供するというものです。

みなさま、すごくたくさんのクラウドを取り扱う会社があると思っていらっしゃるかもしれません。実際に、SaaSの会社はものすごくいっぱいあります。ニッチな領域にいろいろなサービスがあるため、会社もたくさんあるのです。一方、IaaSの世界は規模の経済ですので、事実上世界でまともに戦っているのは4社です。

市場環境:AWSの優位性

ダントツがAWS、離れて2位がMicrosoft、だいぶ離れて3位、4位がGoogleとAlibabaです。このような世界観です。これはもう規模の経済ですから、最終的には大きなところが生き残るだろうと考えられています。

実際、マーケットの評価も表のようになっています。GartnerというアメリカのIT専門の調査会社があるのですが、そこがマジック・クアドラントというチャートを毎年出しています。実は、これはIT界でもっとも権威のある調査と言われています。横軸がビジョン、縦軸が実行力です。その調査で、AWSは9年連続でトップのポジションになっています。

2位のMicrosoftは毎年順位を上げてきたのですが、今年は初めて落ちました。理由は、IT業界の方ならご存知かもしれませんが、信頼性の問題です。AWSは今まで致命的な大障害をほとんど起こしていないのですが、Microsoftは昨年、全世界で全サービスが3時間停止するという障害を起こし、去年初めて評価を落としています。

右のチャートはマーケットシェアです。マーケットシェアも今のところAWSが突き抜けてトップをとっているという状況です。

市場環境:Amazon全体におけるAWSの成長性・収益性

AWSがAmazonのなかでどのような扱いか示したものがこちらのチャートです。上が売上高、下が営業利益です。このバーがAmazon全体です。そのうちの黄色で示した部分がAWSです。売上高ではだいたい10分の1ほどです。ところが、利益で見ると、過半を占めます。みなさまご存知のAmazon、実は利益の半分以上がこのAWSによって生み出されているという会社です。

なので、例えばAWSを専門にしている当社のような会社が、「AmazonがAWSをやめたらどうするのか」などと心配するのは杞憂なのです。AWSはもうすでにAmazonの屋台骨になっているということが、このチャートからもおわかりいただけるのではないかと思います。

市場環境:国内エンタープライズIT市場規模①

日本の企業の方々も、これからIT、更に言うとパブリッククラウドの投資を増やしていこうとしています。日本の企業がITの投資を増やそうとしているのはなんとなくおわかりだと思いますが、とにかく人手不足であるためです。減る人手をITで補っていくしかないということで、ITへの投資はこれからも増えていくでしょう。

そのなかでも、クラウドへの投資は将来的には半分を超えるのではないかと考えられ、現在当社の環境には非常に強いフォローの風が吹いている状況であるかと思います。

市場環境:国内エンタープライズIT市場規模②

こちらも、クラウドへの投資がどんどん増えていくことを示したチャートです。このように、企業の方々はこれから人もどんどん少なくなっていき、今までのように自社でコンピュータを買って運用するための人手すら採用が難しいという状況なわけです。

このような人手不足も追い風になって、Amazonのようなメガベンダーに任せていこうという流れが、これからも加速していくのではないかなと当社は考えています。

ビジネスモデル

このような市場環境に対してサーバーワークスは何をしているかというのが次のチャートです。昔は「なんかAWSって簡単なんだよね」というお話を聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。確かに昔は簡単でした。

ところが、今はだいぶ複雑になっています。そのため、導入しようと思ったら、まずクラウドインテグレーションと呼ばれる当社のエンジニアがしっかりと設計・コンサルティングを行い、そして導入します。

導入後、リセールと言って、AWSそのものを当社から買っていただきます。そしてMSP(Managed Service Provider)と呼ばれる保守サービスをセットで買っていただくことでストックが積み重なっていくというようなビジネスモデルになっています。

この図で見ると、なんとなくフローが大きそうに見えますが、昨年の売上比率で言いますと、フローが15パーセント、ストックが85パーセントという売上の比率となっていまして、ストックが非常に大きい会社だということがおわかりいただけるのではないかなと思います。

主要サービス概要

このページに、私がご説明した3つについて少し細かく書かれています。まず、クラウドインテグレーションは従来のSIに非常に近い領域です。エンジニアがいて、お客さまから「AWSをこのように使っていきたい」という希望を聞き取り、手足を動かすという世界です。

これに加えてリセールがあります。当社のお客さまのうち大半は当社からAWSのサービスを買ってくださっています。なぜかと言いますと、お客さまが直接AWSを買おうとすると、ドルで、かつクレジットカードで払わなければいけないためです。非常に調達のハードルが高いわけです。それに対して、当社を経由していただくと、日本円で、かつ請求書で払えるため、非常に調達のハードルが低くなります。

これに加えて、当社は保険も付けています。今まで実例はないのですが、例えばAWSで大損害があって、データが消えてしまったというようなことがあった場合、東京海上日動が損失の一部を補填するという保険も付いています。お客さまとしては、それならばサーバーワークスから買ったほうがいいということで、当社を経由して買ってくださっているわけです。

そしてMSPが保守サービスです。AWSといえども、バックアップを取ったり、システムが落ちた時に元どおりに復旧するといったオペレーションは必要になってきますので、このような保守サービスも提供しています。

この3つが当社の事業の柱となっています。このあたりは少し細かい話ですが、以上が当社の事業の根幹となっているわけです。

当社の特徴と強み① AWSに認定された最上位パートナー

それでは、サーバーワークスという会社がなぜAWSのマーケットで戦えているのか、5点ほどご説明したいと思います。

まず1つ目、最上位パートナーであるということです。AWSの2018年の売上高は、日本円で2.8兆円というとんでもない規模です。ここに、全世界から2万社以上の会社が「パートナーになりたい」と名乗りを上げているのです。それらをAmazonは4段階に格付けしています。この最上位がプレミアパートナーです。

これは世界で107社しか選ばれておらず、日本で選ばれているのは9社と、非常に高いハードルです。年度更新で落ちる会社もあるという、非常に厳しい認定なのですが、当社は2014年から5年連続プレミアパートナーに選ばれて、それが知名度の獲得に貢献しています。これが1つです。

当社の特徴と強み② 高い技術力

そして2つ目、エンジニアです。やはりエンジニアがいなければ話になりません。当社の場合、ソリューションアーキテクトプロフェッショナルという最上資格を持っている人間が30名以上在籍しています。

ここには72名と書いてありますソリューションアーキテクトアソシエイトという資格はAWSの世界では入門的な資格と考えられているのですが、このソリューションアーキテクトアソシエイトを持っていると、アメリカでの平均年収は1,200万円になります。それぐらい、かなり価値のある資格と考えられているのです。このような資格保有者が複数名います。

当社の特徴と強み③ 高い技術力

それから3つ目、会社に対する技術力の認定です。先ほど個人の認定について説明しましたが、それに加えて、会社に対してもAmazonさんが認定してくださっています。このような複数の領域で認定されたことによって、当社の技術力にAmazonがお墨付きを与えています。

当社の特徴と強み④ 豊富な導入実績

4つ目は導入実績です。日本企業のみなさまは、他に使っている会社がいるのか、自分たちと同じような業種・業態の会社が導入しているのかどうかという事例を非常に気にされます。

当社の特徴と強み⑤ 先行優位性

冒頭に申したとおり、当社は日本で一番最初にAWSの導入支援を始めた会社で、それによりたくさんの事例を持っています。このような事例が呼び水になり、また知名度が上がって、新しいリードがつくられていき、それがまた事例になっていくという、このような循環を作ることができています。

当社の特徴と強み⑥ 自社サービス Cloud Automator

そして自社SaaS「Cloud Automator」の存在です。当社はこのサービスを2010年から自社で開発しています。これを使うことによりAWSの運用を自動化することができるというサービスです。

何ができるかと言いますと、この次のページは実際のお客さまの例なのですが、例えば総合商社の丸紅さんは、現在グループにある2,000台のサーバーを全部AWSに移行するというプロジェクトを一緒に進めているのです。

当社の特徴と強み⑦ 自社サービス Cloud Automator お客様事例

ところが、丸紅さんは総合商社なので、土日や深夜に必要ないサーバーがけっこうあります。みなさまお聞きになったことがあるかもしれませんが、クラウドサーバーは使ったら使った分だけ払うというモデルなのです。電気料金と一緒です。

ということは、必要ない時は電源をオフにすれば料金がかからないわけです。この特性を活かして「Cloud Automator」を使うと、タイマーによって自動でサーバーを付けたり落としたりできます。土日や深夜に必要ないサーバーは「Cloud Automator」を使って自動でオフにして、必要な時には自動的に立ち上げる仕組みを導入なさっています。

これによって、Amazonへの支払いを5年間で2.7億円削減できます。だから、当社サーバーワークスからAWSと「Cloud Automator」をセットで買っていただく判断をしてくださっているわけなのです。

このようなかたちで、当社のSaaSそのものが強みとなり、先ほど申し上げた5つの強みを組み合わせて、当社はマーケットで非常に優位に戦えているという状況です。

2020年2月期 3Q業績ハイライト

今までが定性的な内容でございました。定量的なハイライトについては、第3四半期のハイライトをご覧いただければと思います。おかげさまで非常に順調に進み、前年同期比では売上高がプラス57パーセント、営業利益もプラス52パーセントとなりました。

2020/2月期業績予想

実績はこのようなかたちです。進捗率をご覧いただくと「なぜ今回のタイミングで上方修正を出さなかったのか」「第4四半期は赤字なのか」と聞かれるケースがけっこうあるのですが、1つだけ補足しますと、AWSの世界では、どうしても12月に特需が発生しやすい環境があるのです。

その関係で、当社としても、このタイミングで特需がどの程度発生するのかわからないタイミングでみなさまをミスリードするような数字を出すよりも、しっかり12月の数字を見極めてから必要な判断をしようということで、今回は業績予想は据え置きとさせていただくということを補足させていただければと思います。

業績推移:売上高

達成率と内容についてはこのようなかたちになっています。ご覧いただいたとおり、進捗率79パーセントです。当社はストックビジネスですので、25パーセントずつという積み重ねよりは、20、24、28のような右肩上がりのかたちになっていますので、現時点で79パーセントというのは、当社としては非常にポジティブだと認識しています。

今期のガイダンスを再度ご覧ください。昨年の売上高に対する経常利益率7.5パーセントでございました。今期、実は6.1パーセントというガイダンスを出させていただいています。

「なぜストックビジネスで業績好調なのに利益率が落ちるか」と質問されるのですが、その種明かしがこちらです。

新規採用増加数

採用です。みなさま、現在採用環境が非常に厳しいということはご存知かもしれませんが、そのなかでも当社は34名の採用という、非常にアグレッシブな目標を立てて、実際、今のところ、きっちり達成できそうだと考えています。

一方で、現在AWSはかなり複雑な技術になっているため、今期に採用したエンジニアが今期利益に貢献できるかと言われると、貢献できません。半年から1年ほどトレーニングの期間が必要です。

ということは、採用を加速すると、残念ながら今期の利益率はネガティブに出てしまうのです。ただ、今までも再三お伝えしているように、マーケットはこれからもまだまだしばらく右肩上がりすると当社は考えています。

今しっかりエンジニアを採用してトレーニングすれば、右肩上がりが強くなっていくだろうということで、今期の利益率を多少落としてでもしっかり採用を加速させていきたいという意志です。

業績推移:ライフタイムバリュー

今の私の話を裏付けるデータが、次のページです。当社はライフタイムバリューと呼んでいるのですが、クラウドインテグレーションと呼ばれる導入の支援、リセールと呼ばれるAWSの利用料、そしてMSPと呼ばれる保守サービスの合算値として、2013年以前に当社とご契約してくださった一番下の層の方々が、2015年、2016年、2017年にお支払いくださったものがこれだけ積み重なっているわけです。

これを見ていただいて何がわかるかと言いますと、どの年度で契約してくださったお客さまも毎年当社への払いを増やしてくださっているということです。ということは、このトレンドが続く限り、どんどん積み重なっていくわけですから、今しっかりエンジニアを採用して入口の部分を強化すれば、最終的にはこのミルフィーユがもっと大きくなっていくだろうと考え、当社としては採用に舵を切るという判断をしています。

成長戦略:大規模マイグレーション(移行)プロジェクトの獲得

最後に、これからの成長戦略です。まだまだ純粋に今のマーケットで今までどおり事業を行っていても伸びそうな感じなのですが、それだけではなく、さらに2の矢、3の矢として当社が考えていることを最後にご紹介して、終わりにしたいと思います。

まず1つ目は大型マイグレーションプロジェクトです。今までAWSの世界はどちらかというとまず実験的に導入してみて、少しずつ増やしていくという方が多かったのですが、昨年ぐらいから、非常に大型の、具体的にはサーバー500台から1,000台のものを全てAWSに移行するという話がちらほら増えてきました。

当社はこのような分野にもまだまだ大きな商機が眠っていると考え、大型のマイグレーション案件をどんどん発掘することによって、さらに成長を加速させていこうと考えています。

成長戦略:デスクトップ市場も獲得

そしてもう1つは、デスクトップの分野です。今までお話ししたとおり、これまでのAWSのマーケットはサーバーをクラウドに移行することをビジネスにしていこうという話だったのですが、現在、デスクトップもクラウド化できるのではないかという話があります。

みなさまご存知のとおり働き方改革が進んでいると思いますが、今までどおりコンピュータに全てのデータやアプリケーションがあるという世界だと、例えばコンピュータを紛失したときに情報漏洩に繋がってしまいます。そのためリモートワークや、子育てしながら、介護しながら働くことが難しいという会社が多いのです。

ところが、Amazonの「WorkSpaces」というサービスを使うと、Amazon側にアプリケーションやデータの実体がある、そこでつくられた画面の情報だけを手元のコンピュータに転送するということができるのです。そうすると、手元のコンピュータを落としても、情報の実体はクラウド側にありますので、論理的に情報漏洩が起きないというわけです。

このサービスを使うと働き方改革が非常に簡単に実現できます。セキュリティも両立できるため、ヤマハ発動機などが導入しています。昨年で一番大きかった導入事例はJ.フロント リテイリングです。大丸、松坂屋、GINZA SIX、PARCOを全部まとめられている百貨店グループです。こちらでは、すでに1,000台近い規模でAmazonの「WorkSpaces」が使われ、働き方改革に挑戦されています。

今まではどうしても百貨店の業務は店舗に行きいろいろな端末を操作するという世界だったのが、今は1,000人の社員に「Google Chromebook」というGoogle製のパソコンを配り、必要なアプリケーションはAmazonのクラウドから展開していらっしゃいます。

このように、働き方改革とセキュリティを両立していこうというチャレンジを進めていらっしゃいます。J.フロント リテイリングのような取り組みをもっと増やしていくことによって、今までのようなサーバーをクラウド化するという流れだけではなく、デスクトップをクラウド化していくことでも当社の次の成長を実現させていきたいと考えています。

ということで、今日は、なぜ当社がこのクラウドを始めたのか、これから何が起こりそうか、ということをお話しさせていただきました。まだまだこのAmazonのクラウドは伸びそうな領域です。

昨年、Amazonから、現在世界中にあるコンピュータシステムのうち何パーセントがクラウド化されているのかという調査が発表されました。3パーセントだそうです。ということは、AWSには今の33倍のマーケットがあると考えています。ぜひ、今の33倍のマーケットをとれるような、成長の果実をみなさまと共有させていただきたいなと考えています。ご清聴、どうもありがとうございました。

坂本慎太郎氏より質問

袰川有希氏(以下、袰川):大石さん、ありがとうございました。それでは坂本さん、お願いします。

坂本慎太郎氏(以下、坂本):ご説明ありがとうございました。サーバーワークスさんのIRは、東京でも開催されていまして、毎回聞くと元気になる話をいただくのですが、非常にプレゼンが上手だと思いながら聞いています。

この前にプレゼンされていた2社は上場も早かったのですが、サーバーワークスさんはどちらかというと急成長企業の1つなので、本日はかなりバランスのいいセミナーだったかと思います。

PERが非常に高いというところから、僕の感想を含めてお話ししたいと思います。IPO直後の会社はPER100倍などが普通につくことがあるのですが、サーバーワークスの場合は今のところその状態をキープされています。

みなさまどこかで成長を諦めて100倍のPERが低下してくるのですが、先ほどお話しされたとおり、全世界のコンピュータのクラウド化率が3パーセントであり、山登りで考えたときに何合目かというと、ほとんど平地と同じだと思います。この部分を実際に取れれば、売上と利益の成長が続き、結局はPERが安くなるというかたちだと思います。

僕はサーバーワークスを見るといつも、「これは挑戦だ」と思います。PERが途中で100倍になり、2、3年経って急成長して30倍になる会社はあるのですが、100倍のまま株価を維持できるのか、すごく楽しみに見ている会社です。

中長期投資家の方はとくに、100倍のPERの銘柄をどのタイミングで買えばいいかすごく悩んでいると思います。ほとんど100倍のまま成長している会社は少ないのですが、それは事業戦略と外部環境を見ながらどこで乗るか考えることかと(思います)。

前にログミーファイナンスのIRセミナーでおうかがいした時は機関投資家とのミーティングで、その時は90倍だったと思います。「90倍でも買うんでしょう」といった話をミーティングのなかでされました。確かに僕も元プロですが、このまま事業が成長していくのであれば、高いPERで成長されるのかなと思いながら見ています。若干雑談のような説明になってしまったのですが、ここからご質問に入っていきたいと思います。

質疑応答:新規採用と利益率のバランスについて

新入社員の部分です。半年から1年で戦力化するという話でした。その間に利益成長が落ちるのは確かに仕方がないと思うのですが、例えば仕事がたくさんあって見ている部分もあると思います。さらに新入社員を採用して一気に成長しようとするとまた利益率が落ち込むと思いますが、このあたりのバランスはある程度とりながら運営されていくというイメージでよろしいですか?

大石:そうですね。今期のガイダンスでは経常利益率6パーセントと発表しているのですが、中期的な目線としてこの6パーセントを1つのラインにしようと考えています。今は経常利益率を上げるというよりは、トップラインを大きく伸ばしつつ利益率6パーセントをずっと保てば、結果的に利益の絶対額が増えていきますので、そうすると成長が伴っていくということです。

どこかでAmazonのクラウド全体の成長が鈍化した時には、採用を手控えたり、マーケティングコストを落とすというかたちで利益率の成長に振り向けていくというオペレーションをとろうと考えています。

坂本:そうなった時に少しPERが低下するのではないかなと僕は思っているのですが(笑)。

大石:そうですね。

質疑応答:新規顧客への営業活動

坂本:あとは営業に関してです。これも前のセミナーでもおうかがいしたのですが、アプローチはどうなっていますか。例えば、顧客から「導入したい」と来るパターンと、御社の営業が顧客のところを回るパターン、どちらが多いのかうかがいたいと思います。よろしくお願いします。

大石:ありがとうございます。現在は大変ありがたいことに100パーセント前者です。当社のホームページやお電話、それからお客さまからのご紹介というかたちで、入り口はすべてお客さまからいただいています。

そこから先、実際にどのように導入するかをいろいろご提案したり見積もりをつくったりするために営業はもちろん必要なのですが、案件の入り口という意味ではプル100パーセントという状況です。

坂本:これには僕もけっこう驚きました。営業するのが普通じゃないですか。なので、どちらかというと売り込むための営業というよりは、既存のお客さんにもっと使ってもらうような営業はある程度行うという考えでよろしいですか。

大石:そうですね。実はチームが完全にわかれてまして、既存のお客さまを伸ばしていくというのはSaaSの世界でカスタマーサクセスと呼ばれます。実はこのような部隊があり、既存のお客さまの利用料がさらに増えるような活動をしています。

また、新規のお客さまや新しくお問い合わせいただいたお客さまに導入方法のご提案をしていくための新規(お客さま担当)チームもあります。これらは同じ営業ですが、業務内容が全然違うので別のチームとして存在しています。

質疑応答:なぜ既存顧客からの支払いが増加するのか

坂本:既存の部分を増やしていくということについてです。おそらくみなさまはクラウド化すると全てのサーバーを一度に移動すると思われているかと思います。ご説明の中でも大学の入試発表サーバーを全部クラウド化したなどという事例がありましたが、実はこれらは一部分ずつクラウド化してきているのですよね。

大石:おっしゃるとおりです。

坂本:なので、既存のお客さまからのお支払いがなぜ増えているのかというと、会社のなかのクラウド化を少しずつ進めていくから払う金額が増えているという理解でよろしいでしょうか。

大石:おっしゃるとおりです。一度に今までのシステムを破棄して明日から100パーセントクラウドに移行しようと考える方はいらっしゃらなくて、みなさまおっかなびっくり、最初は少しずつ導入されます。

「実際に導入してみるとけっこういいじゃないか、どんどん増やしていこう」ということで、多い方ですと、この7年間で60回リピートオーダーしてくださっているお客さまもいらっしゃいます。

坂本:結局、新しい顧客を増やしていかないといけないというよりは、今いる顧客を深掘りすることでも成長できるという考えですよね。

大石:そうですね。ただ、それだけだと成長はいつか止まってしまうため、(新規顧客と既存顧客の)バランスは必要かなと思っています。新しいお客さまをしっかり捕まえつつ、営業効率は既存のお客さまのほうがいいので、こちらをしっかり深掘りしていくということで、両にらみで成長を続けていきたいと考えています。

質疑応答:案件に対する現状のキャパシティ

坂本:たくさん採用するということなのですが、現状の仕事のパターンとしては、もう(仕事を)受けきれない感じではあるというところでしょうか。

それとも、もう少しキャパはあるというイメージでしょうか。そのあたりも、成長と現状の収益をイメージするにあたってみなさまの興味があるところだと思うのですが。

大石:そうですね、残念ながら100パーセント受けきれている状態ではなく、これは機会損失なので、会社としてあまりいいことではないのですが、当社の今の優先順位としては、導入だけ、あるいはコンサルティングだけという案件ではなく、リセールも保守も全部セットで購入していただけるお客さまを優先して導入をお手伝いさせていただくという選択をしています。

そのため、残念ながら取りこぼしているお客さまもいらっしゃるのですが、基本的にはストックビジネスになりうる案件を優先的に取っているため、効率という意味ではそれほど悪化していないのではないかと考えています。

質疑応答:他のAWSプレミアパートナー企業との差別化

坂本:ありがとうございます。あとは、Amazonにプレミアパートナーとして認定されている会社が世界に107社あり、日本にある9社の中に御社が入っているということでした。これは特色というか、おそらく他の認定社はすごい大手だったりすると思うのですが、その中での御社の強みや、なぜ御社を選択するのかも含めて教えていただけたらと思います。

大石:ありがとうございます。現在日本には(プレミアパートナーは)9社いるのですが、ベンチャー系が3社、エンタープライズ、旧来型の大手SIerが6社という内訳です。ベンチャー系の3社のうち、いわゆるエンタープライズ、企業向けに特化しているのは当社だけです。

現実的には当社と大手SIerとがエンタープライズ向けのAWSというマーケットで戦っています。当社が勝てている理由は、我々の想像なのですが、大手の会社はみなさま自社でサーバーをつくっていたり、データセンターのサービスをお持ちだったりすることにあると思います。

このような会社はお客さまにAWSを売ると、会社全体としては売上も利益も下がってしまいます。そうなると、お客さまにAWSを使いたいと言われても「それでは今までのデータセンターをやめて、全部AWSに引っ越しましょう」なんて提案はできません。

それに対して、当社はそのような社内のカニバリゼーションが起きないため、100パーセントクラウドのいいところを引き出す提案ができるのです。今のところ当社は提案の内容、質、それからエンジニアもAWSに100パーセント振り切っていますので、そのような点で勝てているのかなと考えています。

坂本:ありがとうございます。

質疑応答:官公庁のAWS導入案件について

では、みなさまの質問に移りたいと思います。毎回質問されており、おそらくみなさまも気になると思うのですが、官公庁の話をおうかがいします。

官公庁が使っているサーバーは、数自体は多いと思うのですが、これを御社で受けるかどうかについてよろしくお願いします。

大石:すみません、本日官公庁の方はいらっしゃいますか。大丈夫ですか。今から多少苦言を呈したいと思うのですが(笑)。

ストレートに申し上げると、あまり当社にとってポジティブなビジネスにはならないのではないかなと思います。とくに、例えば地方自治体についてはネガティブに考えています。

これは、いくつか仕方がない理由もあります。例えば、入札を実施されると、完全に金額が勝ってしまうのです。クラウドの導入は、金額だけで選ばれるというより、スピード感や、働き方改革にうまく使えるなど、プラスアルファの要因によって進んでいるという流れが起きています。コストだけで比べられると、なんと言いますか、フェアではない競争環境にあったりもするのです。

かつ、地方自治体や官公庁について、クラウドを使って新しいことに積極的に取り組んでいこうというような環境かと言われると、当社から見るとそうではないかと考えています。

それよりも、今はデジタルトランスフォーメーションの波が民間の企業にすごい勢いで押し寄せていまして、このような方々には既存と全然異なるアプローチで新しいことに取り組んでいこうという想いに満ち溢れた方がたくさんいらっしゃいます。

例えば当社のお客さまのなかでは横河電機がそうです。従来型の製造業の会社ですが、すごい勢いでクラウドをグローバルに使っていこうとなさっています。単純にサーバーを移行するだけではなく、例えばコールセンターの仕組みまでAmazonのクラウドに移行するということを行っていらっしゃいます。

それにより何が実現できるかというと、オペレーターとお客さまの会話の内容を全て録音できるわけです。これを感情分析のクラウドに転送し、Amazonの機能によって音声認識も行ってしまいます。さらにAmazonのサービスによって形態素解析も行うことができます。

例えばある商品を買ってすぐにお客さんが困惑の感情で電話してきた場合、これは製品の使い勝手が悪いのではないかとユーザビリティの部門に通知したり、製品を買ってから6ヶ月後にお怒りの感情の電話が多かったら、製品の品質が悪いのではないかと品管部門にアラートを出すというように運用されています。

当社は、やはりこのように、クラウドの本質的なメリットを引き出す取り組みのほうに未来があると思っています。残念ながら当社のリソースが限られているなかで、クラウドを使って世の中を変えていく、デジタルトランスフォーメーションしていくというような想いのある方々に集中的にリソースを投下しているという状況です。

坂本:ありがとうございます。官公庁についてのことを含めていろいろ、すごくわかりました。確かに、先進的なものに協力したいというのはすごく熱いなと思いながらうかがいました。

質疑応答:リセールの解約率とその理由

次は、リセールの解約率についての質問です。具体的な解約率と、解約理由として多い理由を教えてください。

大石:件数ベースのリセール解約率は、昨年でだいたい6パーセントでした。すみません、金額ベースの正確なデータは今ないのですが、おそらく1パーセント未満です。

理由は、予定された解約がほとんどだからです。例えば、クラウドですから、キャンペーンのために使うとか、開発環境として一定期間だけ使うというかたちの解約が大半を占めています。

あとはもちろん単純に、「今までサーバーワークスさんのお世話になっていましたが、これからは自社で運用します」といったようなケースもあるのですが、原則としては、AWSをやめて別のクラウドに移行した、オンプレミスに戻したというお客さまは、過去12年に当社が導入した750社のなかでおそらく1社か2社です。

解約の理由ははっきりしていまして、買収された会社において買収元からAWS禁止令が出ていたためAWSが使えなくなったということが例外的に数件あるぐらいで、原則的にはAWSを使い始めると全てAWSに移行するといった感じなので、そのような意味では金額ベースの解約率は非常に低いと理解しています。

坂本:ありがとうございます。基本的には継続して利用社を増やしていくというところですかね。

質疑応答:デスクトップのクラウド化について

坂本:質問はけっこう来ていますが、だいたいお話しされたことが多いですね。

「デスクトップのクラウド化は昔の大型集中システムに見え、(現代の)分散システムに逆行している気がします」という質問があります。

働き方改革の話はいただいたのですが、フリーアドレスのデスクや営業先にパソコンを持っていくことなどは、各メーカーなどだけではなく、いろいろな業種から引き合いがありますか?

大石:働き方改革で?

坂本:働き方改革も含めて、デスクトップ化についてですね。

大石:大型集中システムに向かっているのではないかという質問があったのですが、そのご指摘は100パーセント正しいです。クラウド化は実は、すごく長いコンピュータの歴史のなかで繰り返されている集中の波と分散の波のうち、間違いなく集中の波なのです。

今はいろいろとセキュリティの問題がすごく大きいと思いますが、分散して管理しているとこのようなコントロールがどんどん難しくなっていきます。そのため、集中管理したほうが、トータルコストが結局安くなるのではないかという壮大な波があり、そのような波の1つだとご理解いただければと思います。

坂本:ありがとうございます。

質疑応答:AWS以外を取り扱う予定について

坂本:あとは、たぶんこれが一番多い質問だと思います。「御社はMicrosoft AzureじゃなくてAWS一本なのですか」ということですが、そのあたりもうかがいたいと思います。お願いします。

大石:現状は、AWS一本でいこうと考えています。もちろん、未来永劫AWS一本だという話ではございません。当社はAWSの子会社ではなく、あくまでベストなクラウドをお客さまに届けるということを目指しています。現状ではやはりAWSが明らかにベストです。ただ、いつか違うクラウドのほうがよくなったりすることがあれば、当社としては躊躇なく変えていこうと思います。

現状において、当社の中途社員は間違いなくAWSに関わることができるのです。なので、サーバーワークスに入ればAWSをしっかり勉強できます。今AWSを学んでおけば10年、長ければ20年近く食いはぐれないということは、エンジニアの間ではほぼ常識になっています。そのため、サーバーワークスに入社することが、エンジニアにとってもセーフティな選択なのです。

そのためどんどん優秀な人が入社してくれて、当社もAWSのマーケットでどんどん成長できます。このようなサイクルを維持するためにも、今はAWS一本のほうが成長がより加速できるのではないかなと考えています。

質疑応答:新卒社員と中途社員の割合

坂本:ありがとうございます。新しく入ってこられる方の新卒と中途の割合はどのぐらいですか?

大石:割合で言うと、今期の採用は1:6ぐらいです。新卒6に対して中途が34といったところです。本当はもう少し新卒の割合を増やしてもいいかなと思っています。新卒のトレーニングは今のところうまくいっていますので、今後は増やしていきたいと思っていますが、現状はかなりオーダーが多いという状況もあって、中途社員の採用も積極的に進めているところです。

坂本:中途のほうが当然戦力化は早いですか?

大石:もちろん早いです。

坂本:ある程度素地ができている方がきているというかたちですかね。近い業種の方の転職もありますか? AWSの仕事をしていて御社にいくという方もけっこういらっしゃる感じですかね。

大石:はい、あります。

坂本:それはもう即戦力という感じですね。ありがとうございます。

質疑応答:他社へのスイッチングコストについて

坂本:まだ時間があるな(笑)。ご説明もあったと思いますが、パブリッククラウドサービスについてです。「サーバーワークスから競合AWSサービスへのスイッチングコストは高いと考えられていますが、その理由は何ですか」という質問ですが、まとめるとおそらくサーバーワークスの解約率が低いということと繋がると思います。例えば御社のAWSサービスから他社のAWSに変更する際のスイッチングコストはやはり高いのでしょうか? シェアの確保にも繋がる話だと思うのですが、そのへんはいかがでしょうか。

大石:まず、当社のSaaSの存在があります。当社では単にエンジニアがAWSを導入するだけではなく、運用に当社のSaaSをうまく組み込んでおります。当社のSaaSを使うと、丸紅の例のように、より運用が最適化された状態でお届けできるのです。

その状態から他社に移ってしまうと、そのSaaSが使えなくなってしまって、結局運用が割高になってしまいます。それならばサーバーワークスを継続するといったかたちで、うまくお客さまを取り込めているのかなと思います。

もう1つ、AWS側での取り決めがあります。当社がリセールする時に、AWSからディスカウントをいただけるのですが、他社に移るとディスカウント率が悪くなるという仕組みがあります。

これは、パートナーの間で顧客を取り合うのではなく、新しい顧客を獲得してくださいというAWSからのメッセージです。そのため、ほかのパートナーも、新しいお客さまをとりにいくために活動しています。

そのためマーケット全体も伸びやすく、かつパートナー同士の血みどろの奪い合いも起きにくいという構造になっていて、健全に成長できているのではないかなと思います。

坂本:その割引率も、プレミアムパートナーになっていればこそということですよね。プレミアムパートナーであることの優位性があるという考えでいいのでしょうか。

大石:はい。

坂本:ありがとうございます。

質疑応答:テラスカイとの合併解消リスクについて

坂本:委託しているMSPについてはさきほどお話があったかとおもいますが、テラスカイとの合弁を仮に解消された場合、委託できなくなるリスクはあるかどうかと、有価証券報告書に合併解消に備えて自社リソース拡充に動くような記述があったような気がしますが、今はどの程度進捗しているかというご質問です。お願いします。

大石:まず、現状を申し上げると合弁を解消するような計画や事実はございません。かつ、当社も標準サービスを委託しています。札幌にある会社に標準サービスを委託しているため、その会社に頼めないと当社がすぐ困るということもございません。

実際には、札幌の会社に加えて当社も仙台に拠点を持っており、二極体制になっています。一昨年、札幌で大地震があり、札幌市内が停電してしまい、札幌でオペレーションが継続できなくなったことがありましたが、その時でも仙台の拠点で業務は継続していましたので、今でもそのようにうまく災害対策、BCPはできていると理解しています。

ただ、みなさまご存知のとおり、札幌では土地代や人件費など、コストメリットが非常に大きく……。

坂本:北海道、とくに札幌では補助もけっこう積極的ですよね。

大石:そうですね。なので、そのような意味でも、札幌の合弁会社を使ったほうが経済的に合理的だと判断して、今でも使っているという状況です。

質疑応答:サーバーワークスの強みと将来の成長性

坂本:ありがとうございます。今日は、サーバーワークスさんに興味がある方も多いと思います。なかなか事業が難しいと思われていた方もいらっしゃったかと思いますが、事業自体はシンプルですよね。

その部分、御社の強みと将来の成長性をまとめて、残り5分ぐらいの間にうかがえたらなと思います。クラウド化はみなさまも聞いたことがあるかもしれませんが、外部のサーバーに飛ばして、それを効率よく運用するということです。

僕のイメージを言うと、実際、今までサーバーだったものをクラウド化する利点は、コスト削減もあるのですが、実際、自社でサーバーを抱えると保守のお金が大量にかかってしまうということと、効率化の面もあるのかなと思います。

使う側のメリットをもう少し教えていただきたいです。また、ただ待っていれば仕事がくるということもありますが、将来的にどの部分を一番成長させていきたいか、最後にうかがえたらなと思います。よろしくお願いします。

大石:ありがとうございます。利用者側のAmazonのクラウドを使うメリットについては、人手がかからなくなるということです。これだけ人手が不足している世の中において、自社がコンピュータが故障したとき人が駆けつけなければならないのは(大変です)。また、最近よく言われるのが、自社で資産で抱えると、5年に1回償却期間が終わった際、また投資を更新するかどうかの判断があり、これらのオペレーションが異常なほど複雑で厄介だということです。

IT関係の方がいらっしゃったらご存知かと思うのですが、システムの構成について、どのぐらいのスペックのサーバーをいつ買うのかといったことを、役員を含めて延々話し合うのです。そのようなオペレーションが全部なくなります。全ての利用料が電気代のようなかたちでPLで落ちる世界になりますので、社内の無駄なオペレーションコストを削減できるということが一番大きいかと思います。

もう1つ、実はAmazonはどんどんいろいろなサービスの提供を開始しています。例えば、2018年の1年間で新しいサービスや仕様のアップデートが1,000回以上あったのですが、このように新しいサービスが出てくると、自分たちのシステムをどんどんアップグレードすることができるのです。

例えば去年、Amazonが「Personalize」というサービスを開始しました。これは何かというと、Amazonで買い物をしたときに「この商品を買った人はこれも買っています」というようなサジェストを出すあの推論エンジンがAWSのクラウドサービスとして出たのです。

例えば当社のお客さまで、動画配信を行っているお客さまがいらっしゃったのですが、動画配信サービスで「Personalize」を使うと、「このビデオを見ている人はこれも見ています」というように自動的にリコメンドできるようになったのです。

このような機能を自分たちで作ろうとすると、機械学習の専門家をいれてかなり複雑なことをしなければいけないのですが、AWSのサービスを使うと簡単に実現できるというわけです。このようなかたちで、動画配信を行っている方がAmazonの新しいクラウドサービスを使って、自分たちのシステムをアップデートすることができます。

あともう1つ、今年に提供が開始されたサービスとして「Fraud Detector」という詐欺検知サービスがあります。Amazon.comは、世界で一番の頻度で、日々詐欺の被害にあっています。偽造のクレジットカードを使われ、勝手に商品を買われてしまっています。Amazon.comは、AIを使ってその詐欺を学習し、この買い物は何パーセントぐらいの確率で詐欺なのか予測しています。私たちはその成果を使えるようになったのです。

AWS上でEコマースを行っている方は、今度から情報をAmazonのクラウドに取り込めば、「カードとIPアドレスと名前によりオーダーは85パーセントは詐欺だ」というようなことがわかるようになります。

単純にAWSで便利になるというだけではなく、Amazonが提供する新しいサービスを簡単に取り込めて、それによってAmazon.comがいろいろ苦労して作ってきたサービスをなんなく取り入れることができます。

このように、より自分たちのITの環境をよくして、いわゆるデジタルトランスフォーメーションに一歩ずつ近づける、だからAWSに自分たちのインフラをのせていこうと考えている人が増えているのではないかと考えています。

坂本:ありがとうございました。

記事提供:ログミーファイナンス

参考記事

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