この記事の読みどころ
- 英国のEU離脱を決めた国民投票の結果を受けて、株式相場は暴落しています。24日の急落は“5.23ショック”上回るものでした。
- 急落後の小反発は期待できますが、それ以上に、余震が続く可能性に注意すべきです。2番底、3番底に警戒しましょう。
- 弾を撃ち尽くしていない日銀の対応に注目が集まると考えられます。
ここまでの6月株式相場の振り返り
6月の株式相場は惨憺たる状況
ここまでの6月株式相場は散々な結果となっています。5月末比で見ると、日経平均株価は▲13.2%下落、TOPIXも▲12.7%下落しています(6月24日の終値)。なお、2015年末比では、日経平均株価が▲21.4%下落、TOPIXが▲22.2%下落となっています。
6月前半は政府と日銀に梯子を外された
6月株式相場の前半は、ザックリ言うと、政府と日銀の悠長な政策スタンスに対して、投資家(特に海外投資家)が愛想を尽かしたということでしょう。期待された景気対策が完全不発に終わっている安倍政権、及び、「躊躇なく追加緩和する」と呪文のように唱えながら何もしない日銀に対する失望感は、極めて大きいと言わざるを得ません。そのような期待を持ってしまった投資家にも責任があるのでしょうが、政府と日銀に梯子を外されたという感は拭えません。
今度は英国国民に梯子を外された?
そして6月24日、英国のEU離脱の国民投票結果を受けて、株式相場は歴史的な暴落となりました。この日だけで日経平均株価(終値)は▲7.9%下落しました。1日の下落率としては歴代9位です。
実はこの下落率、今から3年強前の2013年5月23日に起きた、あの“5.23ショック”の▲7.3%を上回っています。このことからも、今回の尋常でない急落ぶりを理解することができます。今度は、英国の国民に梯子を外されたと言ったら言い過ぎでしょうか。
2016年6月終盤の注目点、注目イベントなど
急落後の小反発に期待するよりも、“余震”に注意すべき
6月24日の株価急落があまりに凄まじかったため、“EU離脱の影響は一旦織り込んだ”という考え方が出始めるかもしれません。確かに、こうした急落の翌日、翌々日には株価が小反発するケースは少なくありません。しかしながら、その一方で、急落後の“余震”が続き、2番底や3番底を付けるケースも多く見られます。あの“5.23ショック”も、その後に何度も余震が発生し、結局は6番底まで付けました。昨年の“中国ショック”も、最後は3番底まで付けています。
こうした経験に加え、欧州地域で離脱論争が相次ぐリスクを勘案すると、基本的には、静観するべきでしょう。既に、狼狽して損切り売りをした個人投資家も多いと思われますが、買い戻すのは慎重なスタンスで臨んで欲しいものです。
一方で、この急落は千載一遇のチャンスという考えを全否定するわけではありません。24日が大底と判断するのは時期尚早かもしれないということです。したがって、ここからエントリーする場合には、慌てずに下値をコツコツと最小限度で拾うスタンスが重要です。一度に投資資金を注ぎ込んで買い向かうなどは愚の骨頂と考えます。
弾を撃ち尽くしていない日銀の対応に期待高まる
このような相場環境になった今、注目セクターを見出すのは難しいと言えます。有望セクターに注目するよりも、セクターを問わず、売られ過ぎの感が強い銘柄、年初来安値が続いている銘柄の下値を拾うことが得策です。
注視したいのは日銀の対応です。参院選挙戦が始まった現在、政府が早急に新たな対策を講じるのは難しいと言えます。一方の日銀は、4月末、6月中旬と新たな金融政策を講じなかったため、砲弾を撃ち尽くした状況ではありません。むしろ、弾は意外に多く残っていると考えることもできます。もし、黒田総裁が、今の状況を予測して現状維持を続けていたとすれば、日銀に対する評価は一変しましょう。中央銀行頼みはやや情けないですが、黒田総裁が常に言う「躊躇なく」に期待が集まるでしょう。
LIMO編集部