株式市場や為替市場など金融市場の相場変動が大きくなっています。
こうしたなかでは、「これ以上下落するのが心配だから売ってしまった方が良いのではないか」、少し戻りがあると「もうここで売ってしまった方が良いのではないか」と、売るタイミングを気にすることが多くなっているのではないでしょうか。
長期投資、分散投資は8割の投資家が有効と考えている
しかしアンケート調査の結果からは、投資をしている人の大半が、長期投資、分散投資、積立投資の有効性をよく理解していることも示されています。
2019年のサラリーマン1万人アンケートでは、長期投資、分散投資、積立投資の有効性に関して、「有効だ」、「有効ではない」、「わからない」の3つの選択肢から選んでもらっています。
下の表では、アンケート回答者全体1万1,812人、その中で投資をしていると回答した4,341人、そして具体的な金融商品ごとに投資をしている人にそれぞれの有効性を聞いて、「有効だ」と回答した人の比率を収載しています。
驚くことに、投資をしていると回答した人の8割以上が長期投資と分散投資が「有効だ」と回答しています。昨今のような変動の激しい投資環境であればあるほど、長期投資、分散投資は非常に大切なリスク回避の方法といえるので、この数値は頼もしい限りです。
ただ、頭でわかっていても心理的には慌ててしまうというのが実態かもしれません。こうした時だからこそ、改めて長期投資、分散投資の意味を見直してほしいと思います。
投資信託を投資対象にしている人では9割が有効と考えている
さらに投資している金融商品ごとに「有効だ」と考えている人の比率をみると、日本株や外国株よりも日本株投資信託、外国株投資信託と投資信託で投資をしている人の方が総じて「有効だ」と回答している人の比率が高くなっています。
投資信託を投資手段として活用している人の9割が、長期投資と分散投資ともに「有効だ」と回答しています。
積立投資への理解はまだ
一方、積立投資に関しては、どのカテゴリーでも「有効だ」と考える人の比率は相対的に低くなっています。もちろん、投資をしている人の6割が「有効だ」と回答しているわけですが、他の2つと比べると、だいたい15ポイントほど低くなっていることがわかります。
積立投資の効用が目に見えてくるには時間がかかるものですから、その有効性の理解にも時間がかかるのかもしれません。企業型DC(企業型確定拠出年金)、iDeCo(個人型確定拠出年金)、つみたてNISA(少額投資非課税制度)などはすべて制度そのものが積立投資を前提にしているものですから、その効用もしっかり理解したいものです。
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合同会社フィンウェル研究所代表 野尻 哲史