米半導体装置大手のラムリサーチは、2023年~24年をめどに、売上高を最大で175億ドルに引き上げる新たな財務モデルを発表した。納入済み装置向けのサービス事業に注力するほか、エッチング・成膜市場でのシェア拡大、さらには新市場への参入を通じたSAM(Served Available Market)ベースでの成長を目指す。

サービス事業は40%成長目指す

 新たに発表された財務モデルは、23~24年をめどに、WFE(Wafer Fab Equipment)市場規模を600億ドルと700億ドルの2種類で想定。600億ドルでは売上高145億~155億ドル、700億ドルでは165億~175億ドルの達成を目指す。19年売上実績に対して、5~8倍の増加を見込む。

 今回の財務モデルで強く打ち出されたのが、導入済み装置の改造やメンテナンス、リファブなどのインストールベース事業への注力だ。23年までに売上高ベースで4割成長を目指す考え。同社によれば、チャンバーあたりのインストールベース売上高は年々増加傾向にあり、13年時点に比べて19年は1.5倍に拡大したという。今後も増加トレンドは続き、23年は13年比で1.7倍になると予測している。

エッチング・成膜で4~8%のシェア上昇目標

 シェア拡大については、エッチング・成膜で23年までに4~8%のシェア上昇を目指す。エッチング装置では20年ぶりとなるチャンバーの抜本的な設計変更を行った新型プラットフォーム「Sense.i」を発表。

 同プラットフォームは自己認識機能などのインテリジェント化を推進。データ取得と分析、パターンやトレンドの識別を行い、機械学習を通じて、プロセス変動の最小化と生産性向上を実現する。生産性では同一スペースで50%の生産性改善を果たせるという。

 成膜装置では、先端プロセスで採用が拡大しているALD(Atomic Layer Deposition)装置を中心にシェアおよびSAMの拡大を図る。具体的な新規工程について、DRAM分野ではLow-k膜形成でのファーネスからの置き換え、NANDではチャネルホールのギャップフィル工程でのSOD/高圧CVDからの置き換えを狙う。ロジックでは配線工程での新規POR(Process of Record=顧客側ラインでの承認)獲得に期待を寄せる。

EUVで「ドライレジスト」を新提案

 また、EUVリソグラフィー向けに発表したドライレジストプロセスも今後SAM拡大に貢献するとして、顧客への積極的なプロモーションを行う。成膜技術を活用してドライレジストを形成するもので、従来の液状レジストをスピンオン技術によって塗布する現行手法とまったく異なるアプローチとなっている。

 分解能の向上に加え、レジストや現像液の使用量もウエットプロセスに比べて最大10分の1に低減できるという。ラムリサーチはASML、imecとの戦略的なパートナーシップのもと、主要4社と同技術に関する契約を結んでおり、5年間で累計15億ドルの売上高が見込めるとしている。

電子デバイス産業新聞 副編集長 稲葉 雅巳