2020年1月31日に行われた、株式会社デンソー2020年3月期第3四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。IR資料
スピーカー:株式会社デンソー経営役員 松井靖 氏
2020年 3⽉期 第3四半期 決算のポイント
松井靖氏:あらためまして、松井でございます。本日は2020年3月期第3四半期決算説明会にご参加いただきましてありがとうございます。
それでは第3四半期決算を説明いたします。ポイントは3点になります。
1点目は、当期の実績です。売上収益は、世界的に市場の減速感があるものの、物量ベースでは累計で昨年並みを維持しました。しかし、為替の影響があり減収となりました。
営業利益は、合理化努⼒で固定費投⼊増加を打ち返していますが、為替影響や品質費⽤引当があって減益となりました。
2点目は通期の予想です。第3四半期の実績及び⾜元の環境を反映して、営業利益予想を下⽅修正します。3点目は配当について前回予想を据え置き、年間で140円とします。
2020年3⽉期 第3四半期 連結決算
2ページ目です。第3四半期の実績について順を追ってご説明します。売上は3兆8,950億円となり、マイナス846億円、2.1パーセントの減収となりました。
営業利益は1,627億円となり、前年比マイナス809億円、33.2パーセントの減益です。当期利益は1,361億円となり、前年比マイナス559億円、29.1パーセントの減益となりました。
2020年3⽉期 第3四半期 売上収益(得意先別)
次に売上収益(得意先別・製品別)についてご説明します。為替の影響を除いた現地通貨ベースです。
まず、得意先別ではトヨタグループは主に日本での販売増加や予防安全製品の装着率が拡大していますので4.1パーセントの増収です。
トヨタグループ外では4.4パーセントの減収となりました。ホンダは北米でのディスプレイ製品が拡販で、物量は増加しています。
スバルも同様に北米でコックピット製品の拡販により売上が増加しましたが、一方で海外メーカーを中心に売上が減少しています。
フィアット・クライスラーは北米での車輌生産減少により、GMは9~10月にかけて北米でストライキがあったため、その影響や中国での市場減速影響によって売上が落ちています。
VW・AUDIは欧州や中国での弊社製品の販売減少により減収となっています。
2020年3⽉期 第3四半期 売上収益(製品別)
製品別の売上収益についてご説明します。サーマルシステムはGMのストライキによる影響やアジアの市場減速影響により減っています。
パワトレインシステム製品はインドやタイでの車輌生産減少などにより、売上が減少しました。モビリティエレクトロニクス製品では、日本での予防安全製品の装着率の拡大や、北米でディスプレイなどが売れたこともあって、売上が増加しています。
エレクトリフィケーションシステム製品では、トヨタ向けパワーコントロールユニットの生産増加により売上が増加しました。
全体としては市場減速による環境悪化の中ではあるものの、新製品の拡販などにより物量ベースでは増加を維持できました。
2020年3⽉期 第3四半期 営業利益増減要因(前年⽐)
営業利益の増減要因をご説明します。1番左の営業利益2,435億円を出発点として、右方向に増減を表しています。
主な点のみご説明しますと、経費70億円、償却費140億円は電動化や自動運転の先行開発など、将来の成長領域への投入、または社員の生産性向上のための投資によるものです。
労務費130億円は主に日本での昇給によります。経費投入については、規律を持ったコントロールをより一層強化しています。その結果、前年比では経費は第2四半期より低減し、第3四半期の3ヶ月では60億円低減させるなど、さらに加速しています。
合理化は、第4四半期に策定した例年を大きく上回る目標に対し、予定どおり進捗させ固定費投入増加を打ち返すレベルを実現しました。
一方で、円高影響など外部環境の悪化と品質引当によって当期の営業利益は1,627億円となりました。
2020年3⽉期 第3四半期 所在地別セグメント情報(前年⽐)
売上収益と営業利益の状況を地域別で説明します。これも為替換算の増減を除いた現地通貨ベースとなります。
まず日本です。トヨタ向けを中心とする販売が増加したことによる操業度差益売上や合理化がありましたが、先ほど述べた理由によって減益となりました。
海外ですが、北米は合理化努力があるものの、先行開発費用の増加や電動化新製品対応に伴う生産能力増強のための投資などにより減益となりました。
欧州は合理化努力があるものの操業度差損により、アジアは合理化努力や固定費低減があるものの市場減速による操業度差損により、それぞれ減益となりました。
設備投資・償却費・研究開発費の推移
設備投資の実績は3,117億円です。通期予測に対しては、第2四半期公表から100億円をさらに減額し、4,200億円とします。
市場環境に応じ速やかに投資抑制を意思決定しました。引き続き市場の動向をしっかりと踏まえて、規律ある設備投資を執行判断していきたいと思います。
研究開発費の実績は3,766億円です。通期予想については第2四半期据置の5,100億円とします。研究開発費については、将来利益の源泉でもあるため、当初計画通り案件を減らさずやり切りますが、自動化や標準化などの効率化を進めて出力をアップしていきたいと思います。
2020年3⽉期 通期予想
通期予測につきましては、売上収益は前回公表と同じ5兆2,600億円です。売上利益は第3四半期の実績および足元の環境を反映し、2,800億円と下方修正します。
この営業利益の下方修正について、第2四半期の公表数値との差を詳しく説明します。まず表の1番下、その他の項目です。第3四半期に品質費用を420億円を引当計上しており、その金額を反映します。
【公表差】20/3期予想 第2四半期時点公表数値との差異
次に操業度差損益については、下期の市場全体の悪化を受けて、第2四半期予想より150億円(マイナス)。為替差損は最新の見通しを反映し、プラス100億円です。
経費は現時点で計画以上の低減ができていますので、70億円を第3四半期も留保することとし、環境の悪化分を打ち返していきます。
2020年3⽉期通期予想 営業利益増減要因(前年⽐)
最後に前年との比較になります。通期の営業利益ですが、固定費投入増加を販売生産性向上努力で打ち返すものの、為替の悪化および第3四半期の品質の引当計上などによって、減益となる見込みです。
今回は減益予想としていますが、経費投入はすでにピークアウトしており、改善活動の積み上げを日々続けるなどした結果、固定費投入を上回る合理化効果が得られる体質となっております。
事業環境も厳しいなかではありますが、こうした取り組みを進め持続的成長を実現してまいります。
以上で、2020年3月期第3四半期の説明を終了いたします。ありがとうございました。