中小企業は新型コロナで非常事態〜資金繰り環境の変化でより深刻に
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東京商工リサーチによれば、2月25日、愛知県内の旅館「冨士見荘」が新型肺炎(COVID-19)拡大による顧客減を理由に破産申請することが明らかになりました。新型コロナウイルスの影響では初の経営破綻です。
中国人を中心とするインバウンド観光関連売上に依存する日本の中小・零細規模の旅館、飲食店、サービス業、あるいは中国のメーカー(含む現地日系)へ部品等を輸出している中小製造業者、中国に現地工場・委託工場を持つ中小製造業者などは、当面、厳しい状況に直面することが懸念されます。
今回は、中小・零細企業の資金調達の観点から、そうした危機をいかに乗り切るか、また、中長期的にはどのような戦略が必要かを考えてみたいと思います。
出血が止まらないようなら、とりあえず輸血を
一般に企業倒産の原因は複合的なものですが、多くの場合、最終的には資金ショートが直接的な原因になります。人間の体で例えるなら、いくつかの病状が最終的に心不全を引き起こして死に至る、といったようなことでしょうか。
そのため、倒産という最悪のシナリオを回避するためには、いかに資金手当しておくかが問題です。
現在、経済産業省ウェブサイトの新型コロナウイルス感染症関連ページに掲載されている通り、資金繰り支援(貸付・保証、予算5,000億円)、補助事業、相談窓口など各種支援策が講じられています。
執筆者
SME Financial Architect x Fintech x Frontier Markets
新潟大学法学部卒業、フィンランドAalto大学 Executive MBA取得、英国オックスフォード大学 Fintech課程修了、米国マサチューセッツ工科大学 AI課程修了。中小企業金融公庫(神戸、宇都宮、東京)、在ベトナム日本国大使館(ハノイ)、三菱UFJリサーチ&コンサルティング(東京)、東京中小企業投資育成(東京)を経て、2008年4月、クロスボーダー・ジャパン(株)代表取締役社長(東京&シンガポール)に就任。日系中堅・ベンチャー企業のアジア戦略・財務を支援する傍ら、新興アジア諸国にて多数のSME金融関連プロジェクトに従事し、マレーシア信用保証公社 JICAアドバイザー(クアラルンプール)、ベトナム信用情報センター 世界銀行コンサルタント(ハノイ)、インドネシア経済調整庁 MSME金融包摂アドバイザー(ジャカルタ)、ミャンマー経済銀行 SMEファンド助言チームリーダー(ネピドー&ヤンゴン)等を歴任。現在、エンジェル投資家/アドバイザーとして複数のフィンテック企業(ロンドン、ニューヨーク等)の経営に関与。ポルトガル政府公認ビジネスエンジェル(アヴェイロ拠点のエンジェル投資家団体REDangelsに所属)。APEC関係機関であるPBEC(太平洋経済委員会)メンバー。マレーシア在住、エストニア居住。