アメリカでの地道な努力で「韓流人気」

映画『パラサイト』は文句のつけようのない傑作映画だと思います。格差という世界共通の問題を誰もが笑えるブラックコメディに仕立て、細かく計算された風刺が観る者を考えさせ、さらにアメリカ人の大好きな暴力も忘れていない。意識高い系もそうでない系もだれもが楽しめるエンターテイメント性の高い作品です。

とはいえ、外国映画がハリウッドを制するのはとても大変なことです。アカデミー賞対象作になるための出品条件の一つとして、ロサンゼルス郡内の映画館で7日間連続商業上映されなければなりません。映画関係者などのアカデミー会員が投票を行う前に、まずは7日間連続商業上映出来るくらいの一般的なアメリカ人の足を映画館に向けなくてはならないということです。

アメリカ人は字幕をあまり好みません。特に、外国語映画でカンヌ国際映画祭のパルム・ドール受賞作品は、やや小難しく文学的すぎるというイメージがあり、その国の文化に馴染みがあったり、期待をもっていなければわざわざ映画館には出向かないでしょう。

そういう意味では、韓国はK-popや韓国ドラマを地道にアメリカで根付かせてきているので、韓流にはまっているアメリカ人も少なくありません。今回、映画『パラサイト』受賞には、韓国のこういった努力が功を奏したといっても過言ではないと思いました。