年初来ベストパフォーマーは公益事業セクター
2016年6月6日の米国株式市場は、米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長講演を受け反発し、S&P総合500種株価指数(以下、S&P500)は7か月ぶりに高値を更新しました。年初来騰落率は、TOPIXが▲14%下落に留まるなかで、S&P500は+3%上昇を確保しています。
では、米国株式市場ではどのようなセクターが買われたかを見てみましょう。
S&P500は10業種に分類されていますが、マーケット平均を上回ったのは6業種、下回ったのは4業種でした。ベストパフォーマーは電力会社や水処理会社などが含まれる公益事業、次いでエネルギー、電気通信サービスとなっています。一方、ワーストパフォーマーは金融で、ヘルスケア、一般消費財・サービス、情報技術が続いています。
ベストパフォーマー
Utilities Index(公益事業)+15%
Energy Index(エネルギー)+12%
Telecommunication Services Index(電気通信サービス)+12%
Materials Index(素材)+10%
Consumer Staples Index(生活必需品)+6%
Industrials Index(資本財・サービス)+5%
S&P500 Index +3%
ワーストパフォーマー
Information Technology Index(情報技術)+1%
Consumer Discretionary Index(一般消費財・サービス)+1%
Health Care Index(ヘルスケア)+1%
Financials Index(金融)▲1%
2015年の主役だった「FANG」は今一つ冴えない
2015年を振り返ると、S&P500の年間騰落率は▲1%下落でした。セクター別では、今年好調な公益事業は▲8%下落、電気通信サービスは▲2%下落、エネルギーは▲24%下落、素材は▲10%下落と、いずれも市場平均を下回っていました。
そうした中で、話題になったのがFANGでした。FANGとはフェイスブック(FB)、アマゾン(AMZN)、ネットフリックス(NFLX)、グーグル(GOOG、現在の社名はアルファベット)の頭文字を取った造語です。FANG各社の2015年の年間騰落率は、FB+34%、AMZN+105%、NFLX+134%、GOOG+47%といった具合に、市場平均を大きく上回るパフォーマンスを示しました。
ところが、2016年の年初来騰落率はFB+14%、AMZN+8%、NFLX▲12%、GOOG▲6%と、4社中2社が市場平均を大きく下回っており、もはや、ネット四天王の面影はありません。
ちなみに、FANG4社のうちアマゾンだけは、一般消費財・サービスセクターに含まれ、残り3社は情報技術セクターに分類されていますが、両セクターともにマーケット平均に対してアンダーパフォームしています。
2016年の米国市場の牽引役は、明らかに新興企業から伝統的な老舗企業にシフトしていますが、こうした主役交代は、米国市場固有の動きではなく、日本の株式市場でもしばしば見られることです。決して”対岸の火事”ではないことを肝に銘じて、成長業種として人気が高いバイオやゲームだけではなく、”老舗レジェンド企業”にも目配りすることを心がけたいと思います。
LIMO編集部