2020年2月6日に行われた、株式会社メルカリ2020年6月期第2四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。IR資料

スピーカー:株式会社メルカリ 取締役社長 COO 小泉文明 氏
株式会社メルカリ 執行役員 CFO 長澤啓 氏

FY2020.6の方針と2Qの総括

小泉文明氏(以下、小泉):みなさん、こんにちは。メルカリの小泉でございます。それではこれから、2020年度第2四半期の決算発表をさせていただければと思っております。まず、決算のサマリーでございますが、今年の頭に今年度の方針というところで、この3つの大きな方針を掲げさせていただきました。

メルカリJPの事業に関しましては、出品の拡大によるさらなる成長。メルペイについてはキャッシュレスでのポジションの獲得です。USにおいては月間100ミリオンUSドルの達成です。それぞれ、この3つの大きな目標に向け、この三本柱をどうやって立ち上げていくのか。グロースをしっかり獲っていくというところに対して投資していき、その道筋をつける、そういう勝負の1年であると、期初にみなさまにご説明させていただきました。

そういうなかで、中間の第2四半期を終えたところでございますけれども、それぞれのディティールについては後ほどご説明させていただきます。

ハイライトとしましては、メルカリJPにおいては、出品と購入のバランスについて出品がかなり上がってきまして、バランスを最適化していくところになったかなと思います。とくに、これまでずっと出品が……僕らは比較的、購入キャンペーンというか、購買するときのCRMをかなり行っていたところがあり、出品数が落ちて、ある意味Sell Through Rateが上がって、出品数のバランスが悪かったところが、かなり出品のほうが上がってきたという状況になっています。

メルペイについては、スマート払いを強化している状況です。第2四半期のハイライトのため次のフェーズとなっていますが、足元で発表させていただいたオリガミさま、ドコモさまとの提携といったかたちで、準備が着々と進んでいます。

最後にメルカリUSですが、引き続き40パーセント台といったところで、成長率自体はそれなりの数字をキープできたかなと思っています。しかし、100ミリオンUSドルの数字のところについては、まだまだ進捗が道半ばというところで、ハードルが少し高い状況は続いていると考えております。

FY2020.6 2Q(10-12月)KPIサマリー

主要な指標のKPIについてです。連結での流通高(GMV)については、1,683億円。これはグループ連結全体です。売上高は184億円、営業損益はマイナス68億円となっております。

各事業においてですが、メルカリジャパンはYoYで20パーセントというところで、アパレルの部分で暖冬の影響は非常に多いです。Appendixに売上の構成比がありますけれども、アパレルの比率が非常に高い弊社においても、暖冬の影響を少し受けたと思っております。

一方で、広告効率を見ながら最適化していくなかでいうと、営業利益率が32パーセントくらい改善しております。メルペイにおいても(利用者数が)500万人を超えたといったところで、先日の記者会見では600万人というところですので、メルペイ利用者も非常に順調に増えている状況になっております。加盟店も170万店舗です。

USにおいても、YoYで46パーセントというところで、MAUも300万人に近づいてきており、それぞれ進捗があったのかなと思っています。

それでは、次のページ以降、主に財務について長澤から説明させていただきます。

決算概況(連結)2Q 売上高/営業損益

長澤啓氏(以下、長澤):続きまして、7ページから私がご説明します。まず連結ベースでの売上高と営業損益の推移ということで、売上高は184億円で過去最高の売上で、YoYで39パーセントの成長です。営業損益に関しましては、前四半期とほぼ横ばい、微減ですけれどもマイナス68億円となっています。

先ほど小泉からご説明しましたが、日本事業の営業利益が45億円ということですので、この差分は投資の事業で、米国およびメルペイでの投資がP/Lの悪化につながっているというところでございます。

メルカリ事業(JP)

続いて、メルカリの日本事業です。GMVはみなさまも一番着目されるところだと思いますが、YoYの成長率は20パーセントとなっています。

ここに関しましては、成長率が前四半期と比べて下がっているところに要因があると思っています。1つは、前四半期も申し上げましたけれども、購入向けの施策は前年度はかなり踏んでいるところで、その反動が出てきています。それに加えて、ちょうど暖冬の影響です。やはり我々のプラットフォームでアパレルの商材は多く取引されるものですから、暖冬の影響は多少受けているところがありまして、20パーセントの成長となっております。

「この先どうなっていくのですか?」というところにみなさまの関心が移ると思うのですが、第3四半期以降、成長率が多少回復していく方向を目指していきますというところで、通期のGMVのYoYでの成長率は、これまで「30パーセント台を目指します」と期初から申し上げていましたが、今々の目線でいうと20パーセント台中盤を1つの目線として目指してまいりたいと思っております。

メルカリ事業(JP)2Q 売上高/調整後営業損益

続きましてP/Lですが、売上高が144億円です。これは過去最高ですが、こちらの営業利益に関しましても45億円です。1つは、このマージンが日本の事業でも大きく改善しているように見えるところで、32パーセントという営業利益率を達成しており、ここの要因につきましてはまた後ほど説明させていただければと思います。

メルカリ事業(JP)2Q 累計 主要財務指標

10ページは、第1四半期、第2四半期の類型の数字でございますので、割愛させていただければと思います。

メルカリ事業(JP)コスト構成(対売上高比率)

先ほど申し上げたマージンのところに戻りますが、32パーセントの営業利益率です。バーチャートで見ていただくと、一番濃い部分が営業利益で、他の項目が売上高やコストの比率になっております。

では、なぜ営業利益率が上がったかというと、広告宣伝費の比率と人件費の比率が過去のトレンドに比して、売上高に対して下がってきているからです。広告宣伝費に関しましては、我々としても費用対効果、ROIをきちんと見極めながら絞っているところです。

かつ、前年度にかなりCRMに使いましたので、そのあたりは抑制しながら、きちんと費用対効果を見ながら使っています。人件費のところも採用のペースを鈍化して、キーマンの作用に限っていますので、収益としてはそろそろレバレッジが効き始めている状況にございます。

続きまして、事業それぞれの状況ということで、また小泉からご説明をさせていただきます。

メルカリ事業(JP)出品と購入のバランスを最適化

小泉:ここからは少し、事業の詳細について私からご説明できればと思っております。まずメルカリの日本の事業でございますが、先ほど申したように、出品と購入のそのバランスというところが非常に肝かなと思っております。

昨年までは、比較的、出品より購入のところでかなりプロモーションコストをかけ、売上を追っていったのですが、ともすると少しSell Through Rateが高く、出品は私たちとしてはいわゆる在庫になってきますし、C2Cのためコントロールしづらいというところもあります。しかし出品を上げていかなければ在庫が増えないといったかたちになるため、今年はかなり出品キャンペーンを強化しました。

このチャートの左側が出品者数を購入者数で割っているものですが、バランスが少しヘルシーな方向へと徐々に戻ってきたと思っています。短期的には当然、購入者のプロモーションをどんどん踏んだ方が売上が立つ状況ではあるのですが、出品とのアンバランスさをかなり改善しようということで、出品を強化しています。

右側は、New Listerにおける出品です。この四半期は出品祭のようなものをかなり実施しまして、出品のところが徐々に活気づいてきています。私たちの強みは、出品を簡単にするというところで、やはりそれがメルカリのよさだと思っています。

Eコマースは、買う側からするといろいろなサービスがあると思うのですが、売るという体験という意味で、私たちは極めて特異な、ユニークなポジションだと思っていますので、このユニークさといったところでも出品の強化……これはAIを使ったプロダクトの改善も当然あるのですが、しっかりとキャンペーンをすることで出品を掘り起こしていきます。

それらが在庫になり、中長期的にはきちんと売上が大きくなるというところを、今年はしっかり進められているのではないかなと思っております。

後ほどご説明しますけれども、ドコモさんや信金さんの非常に多くのネットワークを使った業務提携のなかで、リアルな場所でのメルカリ教室のようなもの……やはり教室を行うことで、一度体験した人がその後出品するというところがありますので、そういうところも肝かなと思っています。

メルカリ・メルペイ 2Qの主なプロモーション施策

次のページでございます。これは、この3ヶ月間のプロモーションの施策をプロットしたものになっております。プロモーションの効率性を上げていくということで、とくにメルカリ、メルペイです。それぞれ成長事業と自負していますけれども、まずはきちんとメルカリのユーザーをメルペイにシフトしていきます。

そのなかでプロモーションコストを最適化していくことを進めていきますが、まずは出品キャンペーンを10月から11月で行いました。12月は寒くなって冬物を買ったり、ボーナスが入ってくるところがありますので、12月には購入に向けてしっかりと出品して、キャンペーンを行いながらそれに備えていったかたちです。

このあたりのメリハリと言いますか……出品、購買、出品、購買という順番でいくといったところと、もう1つはプロモーション効果の最大化で、メルペイにしっかり寄与するキャンペーンを行っています。

例えば、この10月に実施した「超!出品祭」というものがあります。この「超!出品祭」においては、メルカリに出品をしますと販売手数料が実質無料になるというものです。どういうことかと言いますと、「ポイント還元します」などでメルペイで本人確認していただき、本人確認していただいたお客様にしっかりとポイントをお返しすることで、メルカリでの出品も増え、メルペイを使うきっかけにもなります。

ただただ「メルペイを使ってください」というキャンペーンではなく、メルカリを通じてメルペイを利用しつつ、開始していただくといったような合わせ技のようなキャンペーンをかなり行っています。

先ほど申し上げたように、メルカリにはだいたいMAUが1,450万人くらいおり、メルペイはまだ600万人ぐらいということで、まだまだメルカリのお客様でもメルペイを使っていないお客さまがいらっしゃいますので、ここをうまくブリッジするような、両方にとって意味のあるキャンペーンをこれからも展開していきたいと思っています。

ちょうど今日ですが、ゆうちょさんとの接続も開始しております。メルカリにおいては地方の方が非常に多いのですが、ゆうちょの口座しかないというお客様が多くいらっしゃって、ゆうちょと接続したいというお声もたくさんいただいていました。

もしくは、私たちの投資対効果では、「ゆうちょが接続できないから」というところで投資対効果が悪くなっていた部分について、今日をきっかけに……ゆうちょさんが開いたため、さらに投資対効果が上がるようなキャンペーンを行えるのではないかなと思っています。

また、メルペイにおけるユーザー獲得のところでも、今後さらにMAUが上がっていくきっかけになるかなと期待しています。

メルカリ事業(JP)オフラインUX施策

これは、先ほど申し上げたメルカリ教室です。非常に好調と言いますか、人気がありまして、けっこう待ちの状態ではあるのですが、非常におもしろいデータが出ております。参加した方は、8割ぐらいの方が1週間以内くらいでメルカリに実際に出品します。

平均すると7品くらい出品していまして、基本的にそこで必ず売れる体験をしているんです。メルカリというサービスを15秒から30秒のCMで見ても、「出品は比較的とっつきにくい」もしくは「なにかしら面倒くさいんじゃないか」と思っているお客さまについても、しっかりとオフラインの場で使い方を教えて出品いただいて、「バーコードで思ったよりも簡単に出品できるんだね」といった気づきを得て、家の中のものを出品して、実際に売れています。

そして、「売れたお金でさらに買おう」もしくは「売れるんだから、もう1回売ってみよう」「メルペイを使ってみよう」となるわけです。私たちのサービスにおいては、インターネットリテラシーが低い方たちを獲得することも、今後においては極めて重要な策だと思っていますので、ネット企業であっても、このようなオフラインの施策を丁寧に行う必要があるのではないかと思っています。

実際に、このくらい出品していただければ、CPAもオンラインに負けないぐらいの状況かなと思っています。

メルペイ事業 事業方針

続いて、メルペイの説明に移っていきます。こちらの図は、期初の方針といったところで再度掲載させていただきますけれども、このフェーズのなかの1の部分では先行投資的に、まずは日常で使われる場所を目指すということで、加盟店開拓やプロダクト開発を行い、フェーズ2でメルカリのユーザーをしっかりと流し込んだり、もしくはスマート払いの方で、シームレスにメルカリとメルペイユーザーを繋いでいくところをしっかり進めていくのが期初の計画でした。

当然、その後にフェーズ3で、メルペイ単独でいろんなサービスを展開して収益化していくフェーズ3もあるのですが、このフェーズ2までをしっかり取り組んでいくというところが、今年の期初でご説明した内容になっています。

メルペイ事業 Origamiとの統合及び信金中央金庫との業務提携

そういうなかで、足元では大きな動きが2つありましたので、ご紹介できればと思っております。1月23日ですが、オリガミ社とメルペイとの統合、ならびに信金中央金庫さまとの業務提携を発表しております。

このディールの目的でございますけれども、オリガミさまのサービスがメルペイと統合することにより、メルペイと重複が少ないオリガミさまの加盟店が私たちの基盤に加わってきます。

小さくカッコ書きになっておりますけれども、メルペイというのは比較的首都圏を中心とした加盟店開拓を行っています。オリガミさまについては、これまでの信金中央金庫さまとの関係性のなかで、地方の事業社さまとのアカウント開設が多かったと思っていますので、このそれぞれの強みを生かしたうえでの加盟店の基盤強化といったところが、今回の肝になるかなと思っています。

私たちも、オリガミさまとの統合だけではなく、スライドに書かれている信金中央金庫さまとの業務提携についても同日に発表させていただいております。

信金中央金庫さまに関しましては、地域経済の活性化、ならびにキャッシュレス化の推進というところを、全国のネットワークを使って推進している企業さまですので、メルカリも、この地方、地域における開拓でご一緒できればと思っております。

全国の信用金庫の数ということで、256の金庫さまと7,300の店舗さまといったところがつながっておりますので、それぞれのリソースをうまく活用しながら、全国の中小事業社さまにメルペイの加盟店になっていただくといったアプローチをしていきたいと思っております。

当然ながら、その地域でのメルカリ教室をはじめとした活動にもご協力いただければと思っております。オリガミさまの統合だけではなく、信金中央金庫さまとの業務提携を含めたうえで、中長期でそれぞれの強みを持って、多くの事業者さまの加盟店開拓を効率的に進めていきたいというところが、今回のディールの趣旨となっております。

メディアのなかでは、オリガミさまとの統合の話だけが目立っている部分もありますが、実態としましては、信金中央金庫さまを含めたうえでの幅広い統合の目的が、私たちの趣旨となっております。

メルペイ事業 Origamiとの統合

続いて、今後の統合……恐らく、みなさまのなかにもオリガミ社の買収に関しまして、メルペイの事業としての赤字がさらに拡大していくのではないかという懸念を持たれている方もいらっしゃると思っております。

我々のサービスに統合するなかで、メルペイとの重複コストをきちんと削減していくということで、今年度、メルペイがさらに追加で赤字にならないようにしていきたいと考えております。

具体的には、スライドに3つほど記載させていただいております。まずは左側でございますが、加盟店が増加しましたので、当然手数料を増やしていくといったところです。これまで重複して開拓してきたところについては、新規の加盟店をそれぞれのリソースを有効に活用しながらきっちり開拓していくことで、きちんと手数料を増やしていくのが1点目でございます。

もう1つが、それぞれでキャンペーンを行っていたところについても「一本化」して効率化を図っていくのが2点目でございます。

最後にスライドの一番右の部分でございますけれども、「組織のスリム化」「オフィスの統廃合による固定費の削減」もしっかり進めていきたいと思っていますので、統合によって一時的にコストが発生する部分はあるかなと思うんですけれども、第4四半期以降というのは、きっちり追加の赤字が増えないかたちで、私たちとしても一度コストをしっかり叩いていき、発生しないようにきちんと経営をコントロールしていこうと思っております。

メルペイ-メルカリシナジー強化①

続いて、2月4日になりますけれども、NTTドコモさまとの業務提携を発表しております。この資料については当時の資料と一緒ですので、少し重複するところがございますけれども、ドコモさまがお持ちの7,300万人のお客さま、会員基盤、ならびに2,000億ポイントのdポイントというアセットと、私たちが持つ、1,450万人のMAU、ならびに年間の流通額が約5,000億円くらいありますので、メルカリ、メルペイの持っているアセット、両者の持っているアセット、既存のサービスをうまく使いながら、今後、ID連携ならびにウォレットの連携、加盟店の共通化を進めています。それぞれの強みを生かしながら、ビジネスを相互に大きくしていこうと考えております。

メルペイ- メルカリシナジー強化②

具体的には大きく5つのフィールドテーマでご一緒できればと期待しております。まず、先ほど申し上げたように、メルカリIDとdアカウントをきちんと連携させることによって、顧客基盤をきっちり拡大していこうと思っています。

このdアカウントについては、当然まだまだ多くのお客さまを拡大できる……メルカリのIDを持っているお客さまでもdアカウントを使っていないお客さまがいらっしゃると思いますので、ここは相互に繋がることによって会計基盤を拡大していきたいと思います。

2点目ですけれども、それによってdポイントを連携していきたいと考えています。dポイントの連携によって、メルカリでdポイントが貯まる、もしくは使えるといったように利便性を上げていきたいと思っています。

次に、スマホ決済の連携についてですけれども、メルペイでもdポイントが貯まったり、もしくは使える、またはメルペイとd払いの残高のそれぞれが連携するかたちを考えています。

3点目ですけれども、加盟店の共通化、共同推進です。アカウントを一緒にしながらポイント連携、そしてそれ以上に加盟店まで含めたかなり幅広いところでご一緒していくことを考えています。

それ以外には、ドコモショップの連携です。先ほどお話ししたメルカリ教室もそうなのですが、ショップを使った連携は一部の店舗のみですが、全国のドコモさまの店舗へ拡大というかたちで予定しております。

最後に5点目です。かなり中長期の話になる部分があると思うのですが、メルカリが持っている2次流通を中心としたデータと、NTTドコモさまが持たれているdアカウントなどのさまざまな情報をうまく活用したうえで、fintechサービス、マーケティングサービスなど、いろいろなものを開発していきたいと思います。当然、それぞれのデータですので、個人情報をはじめとしてケアする部分が出てくるとは思うのですが、データの利活用といったところで、NTTドコモさまと一緒に商品開発していくことも、中長期には行っていきたいと思っております。

ここまでが、ここ数日で発表させていただいている内容の振り返りとなります。

メルペイ-メルカリシナジー強化③

スライドでは、NTTドコモさま、信金中金さまとの提携、Origamiさまとの統合による影響をプロットさせていただいております。

説明としては多少重複してしまう部分があると思うのですが、図の左側が、主にメルカリに関連するメリットがあるところです。右側がメルペイ側にメリットがあるところです。メルカリにおいては、やはり共同施策といったところで広告宣伝費をもっともっと効率化していきたいです。やはり、出品にさらに注力しながら効率を上げていくのが1つだと思っています。

メルペイですが、先ほど申し上げているようにユーザー獲得です。それぞれのユーザーを効果的に取り込むことによって、きっちりとROAを上げていくのが1点目でございます。2点目は加盟店獲得です。ここのコストが大きい状況にありますので、うまく既存の加盟店の追加、ならびに今後は各社のネットワーク、持っている営業網の強みを活かしながら進めていきます。

そういうなかでも、私たちとしましては、メルペイ単独で中小企業、とくに小規模の事業者を開拓するのは停止することを予定しています。ですので、小規模の加盟店についてはパートナー企業様の協力のうえで進めていくというところで、それぞれの持ち場で協議していきたいと考えています。

最後に固定費でございます。先ほど長澤が申したように、採用についてもパフォーマンスがよくなるように、私たちに必要な最低限のところでしっかりと採用しながら、必要以上に人件費が上がらないようにしていきたいと考えています。

メルカリ事業(US)

3つ目の事業ということで、アメリカの事業になります。こちらは3年半ぐらいのチャートになっていますが、一度伸びたものの、オペレーションの改善のために一度しゃがんで、その後オペレーションに専念させてマネージメントチームを作り、人員としても強化していきながら、きちんと右肩上がりで進んできている状況になっております。

足元についても、前年比で46パーセントの成長ということで、成長率自体は決して悪い数字ではないと思っておりますけれども、やはり100ミリオンUSDを掲げていたところについては、まだまだ道半ばの状況だと思っております。

メルカリ事業(US)ロードマップ

そういうなかで、アメリカの事業のロードマップとしてはこの3つのフィールドで戦略を立てて進めている状況になっております。

1つ目は認知をどうやって上げるのか。2つ目は売ることの簡単さで、これはプロダクトの改善ですので、そこをしっかり進めていく。3つ目は、プロダクトの改善もあるんですけれども、きっちりと取引価格の信頼を上げていくということで、それぞれのペインポイントについてロードマップを引いています。

メルカリ事業(US)3つの成長機会①

取引価格の信頼でございますけれども、やはり売れやすい価格をしっかりと提案するというのが大事かなと思っています。メルカリを使っているうえで、最初にメルカリを使い続ける理由は、やはり売れるという体験が極めて大事かなと思っています。スライド左のような、いわゆるプライスをサジェストするようなものを用意しております。

当然、Sell Through Rateが上がりますし、どんどんユーザのスティッキネスさが上がっていきますので、これを100パーセント開放した状況になっております。

スライド右についてです。Sell Through Rateもそうなのですが、やはり平均単価が高いものについて、本物かどうかといったところの判定というものも行っています。

とくに、ハンドバッグのようなものを48時間以内で、きちんと本物かどうかをお返しすることによって、Sell Through Rateが上がったり、マーケットプレイスの信頼性が上がったり、いろいろなところに寄与している部分があるかなと思っています。

このように、きっちりと取引の信頼を上げていき、ひいてはSell Through Rateを上げていくということを進めてきました。

メルカリ事業(US)3つの成長機会②

「売ることを簡単に」のところですが、やはり売るなかでシッピングというのが大きなペインポイントかなと思っていますので、この小さな商品に向けた安価な料金オプションを提供しています。

昨年からずっと、全米においても日本と同じように、どこに送っても安く送るということを進めてきましたけれども、こういうサイズが違うものについても、今回提供を開始しています。

スライド右側のこの小さいサイズで、全部の取引の20パーセントぐらいをカバレッジできるかたちになっていますので、徐々に利便性を上げていくことを進めています。主に、取引価格と利便性というところで、しっかりとプロダクトの完成度を上げていき、第2四半期末にここが進捗してきたため、認知の向上というフェーズに入ってきたかなと思っています。

今までもテストを行ってきたテレビやラジオのようなオフラインと、恒常的に行ってきたオンラインで、それぞれROAを見ながらきちんと加速させていきます。

これらのようなところについて、この四半期以降、ブランド認知をしっかり取り組んでいこうと思っています。ROAが合うぐらいプロダクトの完成度が上がってきたといったところで、このマーケティングの投資にシフトしていきながら、しっかり100ミリオンUSDを見据えてやっていきたいと思います。

むやみやたらに利益率を悪化させたいというわけではありませんので、当然ROAを見ながら、成長のための投資をすると考えています。

以上です。足元の動きもありますけれども、主にこの3本柱で、今年きっちり3本立ち上げていくといったところについて、これまでの中間のご報告と今後の戦略についてのご説明になります。

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