2019年11月7日に行われた、株式会社スズケン2020年3月期第2四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。IR資料

スピーカー:株式会社スズケン 代表取締役社長執行役員 宮田浩美 氏

1.連結①

宮田浩美氏:みなさまこんにちは。大変お忙しいなか第2四半期の決算発表にご参集賜りまして誠にありがとうございます。この場をお借りして厚く御礼申し上げます。

台風等々水害の被害が2018年からずっと続いておりまして、2019年も15号19号21号と日本全国多くの地域で被災に遭われておられるということで、心からお見舞いしたいということと、一日も早い復興を願っているところでございます。

さっそくではございますが、本日は3点についてご説明します。

10月25日に業績の上方修正しています。内容につきましては、このあとセグメントごとを詳細にご説明しますと思います。

通期予想については、今回当初の公表どおり、修正していません。理由としては、消費増税による駆け込み需要あるいは期中の薬価改定が行われたということで、10月から価格がリセットされている状態にあります。

このように状況が不透明であるため据え置いていることをご理解していただきたいと思います。

上期の実績はご覧いただいているとおり、増収増益で終了しています。具体的に4つのセグメントについてご説明します。

2.医薬品卸売事業①

まずは医薬品卸売事業、1番の柱です。医薬品の市場は、C型肝炎治療剤の販売減少、あるいは後発医薬品の使用促進の影響があると予想され、実際にありましたが、癌の薬、スペシャリティ医薬品などの後発性治療剤、新薬が上期で非常に大きく寄与しております。それと合わせ、先ほど少し述べましたが、消費税増税にともなう薬価改定がありました。

この駆け込み需要の影響などによって、市場全体としては伸長したということです。

市場が伸びておりますので、売上高は当社の強みであるスペシャリティ医薬品の部分で増加しました。6年前からずっと続けておりますが、お得意さまへのニーズの把握、MSの活動を継続的に取り組んだことによって増収しています。

市場の伸びにつきましては、クレコンとIQVIAの資料を付けています。実績ベースでは、クレコンのデータで4.9パーセント市場が上がりました。

クレコンの年間は0.7パーセントのマイナスで見ていましたが、この上半期は4.9パーセント伸びており、弊社の卸売事業は8.4パーセントと、市場に対して3.5ポイント上回っています。

トップラインが伸びておりますので、営業利益には当然この増収効果があったわけでございます。

併せて流通改善ガイドラインということで、しっかりと粘り強い価格交渉を個々の医薬品の価値に見合った交渉を継続していること、未決先がないということで、しっかりとした決算が組めています。

販管費が増えると予想を立てていたわけですが、抑制に努めた結果によって増益でございます。

3.医薬品製造事業①

三和化学研究所の医薬品製造事業でございます。「メトアナ配合錠」「ラグノスNFゼリー」等々、新薬を出しています。「スイニー錠」「ウリアデック錠」の販売促進に努めてまいりました。

ただ、2018年の同時期には研究開発売上が入っておりますので、そういった関係から減収となりました。「セイブル錠」の後発品への置き換えを埋められてない状況です。

昨年の研究開発売上を差し引くと、ほぼフラットなかたちで、トップラインはどうにか確保している状況でございます。

営業利益については、現在構造改革を進めて相当圧縮している影響で増益となっております。

4.保険薬局事業①

次に保険薬局事業でございます。薬局事業ですので、売上高についてはかかりつけ機能などをしっかり運営することにより技術料の加算が取れてくるということです。そのような増加によって増収となっています。営業収益は増収効果によって増益でした。

店舗数は、2019年3月末に615店舗ありましたが、第2四半期末時点では612店で、3店減少しています。9店舗閉局で6店舗増えているということです。

5.医療関連サービス等事業①

医療関連サービス等事業です。売上高は、主にメーカー支援サービス事業における受託

の増加、介護事業での利用者さま増加によって増収になります。

営業利益はメーカー支援サービス事業の増加、介護事業の増収効果によって増益です。

第2四半期が終わって、メーカー物流の受託が2件増えて38社、同様に治験薬物流が2社増えて16社となりました。希少疾病薬は1社への流通ですが、20社32品目の受託になっております。

以上が、上半期の決算の状況でございます。

1.連結②

続きまして、通期の取り組みについて少しお話します。先ほどお話ししたように、通期予想は変えておりません。

修正は行っていませんが、各セグメントで下期にどのような取り組みをするのかについてお話しします。

2.医薬品卸売事業②

まず、医薬品卸売事業です。10月に薬価改定がございました。この消費増税にともなう駆け込み需要の反動減が予想されるわけですが、順調にスペシャリティ医薬品の使用量が増加していること、また少し前から流行り始めているインフルエンザワクチン、アレルギー剤などの季節需要がこれからありますので、しっかりとここに取り組んでいきます。トップラインはそのようなかたちで確保していきたいと考えております。

あわせて売上総利益でございます。流通改善ガイドラインを引き続き実践しながら、個々の医薬品の価値に見合った価格交渉を粘り強く行い、売上総利益についてもしっかりと確保していきます。

半年間で決める必要があるということです。上期もこの半年間で決めたられたことから、ここはしっかりと決めていきたいと思っております。

販管費についても抑制、無駄の削減を継続して実践していきます。

3.医薬品製造事業②

医薬品製造事業、三和化学です。先ほどお話したように4品目の注力品目があります。「スイニー」「ウリアデック」「ラグノス」「メトアナ配合錠」でございます。

これに加えて、後発医薬品としては2019年6月にローンチした「シロドシン」はTSファーマ、東邦薬品と共同のものでございますが、このようなものをしっかり拡大していきます。

さらに構造改革、MRの活動、あるいは本社機能の再編等々を踏まえて、この厳しい状況を乗り越えていきたいです。

三和のパイプラインについて、下の3行をご紹介します。おそらく2019年11月の後半に薬価収載がなされるであろう「ネスプ」のバイオシミラー(バイオ後続品)でございます。

腎性貧血治療薬「SK-1401」は、2019年9月に承認を取得しておりますので、薬価収載と同時に発売を進めていきたいと考えております。

2つ目でございます。「SK-1403」は順調に第3相試験で良い結果が出てきております。順調に進捗しております。

3つ目でございます。夜間頻尿の治療剤ですが、キョーリン製薬との共同開発で、キョーリンの開発ナンバー「SK-1404」もついています。現在、用法・用量を再度設定して第2相試験を実施中です。

これらのパイプラインに加えて、開発テーマとしては腎・透析領域、あるいは癌・神経疾患のサポーティブケアのかたちでこの領域にパイプラインを充実させようということで進んでいるところです。

4.保険薬局事業②

次に、保険薬局事業でございます。保険薬局事業は、収益性の改善に向けてガバナンスを強化し、このガバナンスを利かせて業務の効率化を図り、引き続き技術料の獲得に取り組んでまいりたいと考えております。

ただ、この市場は非常に厳しく、環境の変化を踏まえて上期もスクラップ&ビルドを行っていますが、下期も不採算店舗を含め、患者さまあるいは処方元との連携を鑑みて進めていきたいと思っております。

同時に、地域医療に貢献していく薬局を目指しておりますので、ガバナンス強化を進めながら体制を取っていきたいと考えております。

5.医療関連サービス等事業②

医療関連サービス等事業でございます。ここはメーカー支援サービス事業の受託件数の増加、介護事業が柱になっておりますが、しっかりと増収増益を目指してまいります。

成長ドライバーとして考えているメーカー支援サービス事業と介護事業について、少しご説明します。

5.医療関連サービス等事業③

メーカー支援サービス事業は、当社グループは希少疾病薬を含むバイオ医薬品、高額医薬品、再生医療等製品群の医薬品で厳格な温度管理だとか在庫管理、セキュリティ管理などが必要なスペシャリティ医薬品と定義しているわけですが、長い時間をかけてあらたな流通モデルを進めてきたわけでございます。

先ほどもお話しましたが、希少疾病薬の1社流通、20社32品目の受託については品目数で見ますと65パーセント強のシェアを持っています。

このメーカー支援サービス事業の売上高は、500億円近い規模になってきています。

5.医療関連サービス等事業④

次に介護事業でございます。第2四半期を終えて売上あるいは稼働率が非常に向上してきまして、増収となっております。49億円の売上をこの介護事業で上げておりますが、営業利益も1億円で黒字に転じています。

年間で見ると100億円ほどの規模になっていく事業体で、現在は中国エリアのサンキ・ウエルビィ、首都圏と中部圏で進めているエスケアメイトがあります。

サンキ・ウエルビィは訪問介護、居宅介護支援で145事業体、エスケアメイトはショートステイあるいはデイサービスを中心に51事業体といった規模で展開しています。

地域においては、認知症のサポート講座や、弊社のグループ薬局と連携した地域住民へのイベントの開催など、地域連携へも活動を進めているところです。

今後、自社薬局と介護事業を連携しながら拡大していきたいと思います今、愛知県と大府市で医師団と薬剤師会、歯科医師会、市長、スズケンと、三医師会と一緒になって地域連携包括ケアを進めようと締結しました。全国で初めての試みですが、このようなこともスタートしてきています。

6.配当

配当でございます。中間配当金が32円、期末配当金が32円、年間で64円を予定しております。2年間の総還元性向80パーセント以上を目処として株主還元を実施しているとアナウンスさせていただいておりました。

先日、100億円を上限とする自己株取得のリリースしています。以上が、2020年3月期通期業績予想達成に向けた取り組みでございます。

中期成長戦略における重要テーマ

3点目、最後でございます。ここからが当社の成長戦略のお話です。今年は中期成長戦略の最終年度で、あと残り半年です。

低コスト経営の実現、協業による新たなビジネスモデルの構築の2つの柱をしっかり実現しようと突き進んでいるわけです。

コスト低減については、継続的に無駄を削減しながら最終年度に課題を残さず達成していきたいと考えています。

本日はこの2つ目の協業による新たなビジネスモデルの構築について2点お話します。

1つ目は、製品カテゴリーの変化に対応した流通プラットフォームへの進化、2つ目は、デジタル時代に対応した情報プラットフォームの構築への挑戦ということで、これからデジタル化に向けて挑戦をしていきたいということです。

この2点についてお話しさせていただきます。

1.製品カテゴリーの変化に対応した流通プラットフォームへの進化①

製品カテゴリーの変化に対応した流通プラットフォームへの進化について、先ほども少し触れている製品カテゴリーの変化の1つには、後発医薬品があります。

これに関しては、先ほども少しお話ししたとおり、東邦ホールディングス、共創未来ファーマ、三和化学が一緒になってTSファーマを立ち上げています。

規模のメリットを目指しながら、両社の製薬事業、薬局事業でさまざまな検討を行っています。

6月に「シロドシン」を両社で発売し、中間年改定もあって、薬価改定もあって、発売後すぐ薬価が変更になることがありました。

さまざまな課題あるいは情報の共有等々も含めて、2020年6月以降に出てくる後発品についても協業を活かせるかたちで進めていきたいと考えております。

1.製品カテゴリーの変化に対応した流通プラットフォームへの進化②

次にスペシャリティ医薬品流通モデルのお話です。ここも受託は拡大してきているわけですが、我々は受託数の増加だけではなくて、高額医薬品の廃棄ロスや社会的な無駄にも取り組み対応していきます。

あるいは患者さままでのトレーサビリティをしっかりとウォッチできるような仕組みも含めて、特性に合わせて対応していきたいと取り組んでいます。

もうすでにリリースしているものもあります。まずイシンファーマ、再生医療等製品1社流通で受託しております。日本で薬価収載がされたら当社が1社で受託しております。

2つ目は、ノバルティスファーマのCAR-T細胞療法「キムリア」です。3点目はAlnylam Japanの「オンパットロ」、世界初のRNA干渉薬でございます。当社が1社流通で受託させていただき、順調に使われ始めています。

4点目、サンバイオでございます。再生医療等製品のなかで基本契約を締結しています。もう1つ、物流だけではなくトレーサビリティのところで、患者さままでのサポートシステムを共同開発することで合意しています。

1.製品カテゴリーの変化に対応した流通プラットフォームへの進化③

どのような仕組みなのか、少しご紹介します。名称は「R-SAT」となってますが、「R-SAT」は再生医療等製品・安全性・正確・トレーサビリティの頭文字を取ったかたちで名前を付けているわけです。

クラウドサービスなので、温度管理やロット管理、トレーサビリティをするのですが、納品のスケジュールや患者さまに投与する前、投与した後のフォローをするような仕組みで、患者起点でトレーサビリティを実現する仕組みでございます。

どの薬もそうですが、とくに再生医療等製品については撮り違いがあってはならない製品なので、高いレベルで防止できるシステムを構築しております。

このシステムによって得た情報はサンバイオ、スズケンで共有して使えるのですが、これからこのような製品を出す製薬メーカーさまにも、このシステムを開放しながら多くの製薬企業にも流通プラットフォームの中で、お使いになっていただけるようなかたちで進めていくところです。

1.製品カテゴリーの変化に対応した流通プラットフォームへの進化④

もう1点は、キュービックスの仕組みです。直近では2019年11月の2日から4日、福岡で第29回の日本医療薬学会年会が3日間ございました。

今年もキュービックスを展示しました。この3日間で362施設の先生方に当社のブースへ足を運んでいただいております。

今回はその中で、ポスターセッションにより9施設、講演により2施設、キュービックスの事例報告をしていただいて、かなり多くの先生方が経済効果、あるいは業務負担軽減など、いろいろなことが理解されていたようです。

今回はこのシステムの導入をとにかく早く進めなければいけないこともありますが、先生方から厳格な温度管理や高額医薬品の廃棄についても非常に理解が深まってきているのかなということで、今後も病院内の効率だけではなく、廃棄問題なども一緒に議論して、進めていきたいと考えております。

2.デジタル時代に対応した情報プラットフォーム構築への挑戦①

2つ目の、デジタル時代に対応した情報プラットフォーム構築への挑戦についてです。2020年5月に次の中計を発表する予定なのですが、次の中計の柱として、デジタル化をキーワードに考えております。

先ほど、製品カテゴリー別の流通プラットフォームの進化について、キュービックスにいたるまで時間をかけて作り上げてきましたが、そのような経験を活かしながら今回デジタル化へ向けた時代にチャレンジしていこうということです。

このテーマについては、次の中計の柱になってくると考えております。昔から、弊社の取引から取り組みの話をしています。

卸のビジネスモデルが変わるというのは、このようなデジタルの時代になって、モノ売りからコト売りに変わってくるだろうとの思いから、これが中心になってくるだろうということです。

第一歩として、当社はずっと協業してきたわけです。コンビネーションと言いますか、当社だけではできないことを協業することで、スピーディーにやっていきます。

その中でDr.JOY、未上場の会社ですが、今回はDr.JOYとwelbyという会社の2社と協業、資本業務提携を結んで協業しています。

2.デジタル時代に対応した情報プラットフォーム構築への挑戦②

ご紹介しますと、機能としてはもうみなさまに使っていただいている機能があるのですが、実際に2013年に会社を創業した石松社長がお医者さまでして、医者の目から見て、医療機関にどのような課題があるかよくわかってらっしゃる方で、デジタルな力を使ってソリューションしていきたい(という思いがあります)。

したがって、開発スピードがとても早いです。お得意さまからのニーズに対して、開発スピードが早いこともございます。

Dr.JOYと当社のMSが現場でリアルな情報を集めているわけですが、この融合によって新たなイノベーションが生まれるのではないかと考えております。

Dr.JOYのアポイントや入退館、勤怠管理だとか、いろいろ書いてありますが、面接予約や勤怠管理等々も進めていて、現在は2,000以上の施設で使われています。

もう1つ、Pr.JOYがございまして、製薬企業で働くMRのドクターとアポイントを取るツールになります。数万人の方が登録されています。

MRもそうですし、MSも登録されています。導入に向けて、代理店として進めてきましたが、今回資本業務提携をしながら一緒にソリューションを作っていくため進めているところです。

Dr.JOYの繋がりという部分では、医療機関とMR、MS、事業者とを繋ぐ1つのシステムになっているのですが、患者と家族を繋ぐシステムがありません。

2.デジタル時代に対応した情報プラットフォーム構築への挑戦③

その両者を繋ぐためにPHRのリーディングカンパニーであるwelbyと資本業務提携しております。

welbyは東証マザーズに上場していますので、調べていただければどのような会社かわかると思います。

このwelbyさんが持っているコンテンツ、アプリケーションは、PHRなので個人の日々の活動データ等々を含んでいます。

例えば、糖尿病、高血圧症などの患者向けのクラウドサービスを運営しています。これらがドクターの「Welby マイカルテ」にどんどんデータが送られていきます。私もFitbitを付けていますが、Bluetoothで全部そのアプリケーションに飛んでいきます。

患者さんの啓発、疾病への啓発、あるいは製薬メーカーが自社のアプリケーションとして「こういうアプリケーションを作って欲しい」というかたちで、現在20ほどのプロジェクトが動いております。

疾患別の治療アプリケーションも開発中で、そのなかに癌や希少疾病に関わる仕組みも組み込まれていくということで、当社としては非常に興味深いです。

2.デジタル時代に対応した情報プラットフォーム構築への挑戦④

簡単な説明ではありますが、Dr.JOY、welbyといった会社とデジタルソリューションの機能と、従来から協業しているEPSホールディングスの知見、臨床研究など、彼らが持っているメディカルコールセンターや、スズケンが展開しているキュービックスのデータといったいろいろなデジタルデータを融合しながら、業界人として必要なデジタル事案に対応した情報プラットフォームの作成に挑戦していきます。

「健康創造」における価値創造

最後になりますが、今年は先ほども申し上げたとおり中計の最終年度です。

現在次の中計を策定しているところですが、「医療と健康になくてはならない存在」を実現したいということで、現在の中計で抱えている課題を持ち越すことなく、しっかりと終わらせて次の中計に向かっていきたいと思います。

今後もさらなる企業価値向上を目指しますので、みなさま方の一層のご支援をお願いして、説明とさせていただきます。

以上で私からの説明を終わらせていただきます。ありがとうございました。

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