株式市場の振り返り-反落となるものの、急落を回避。新興市場は3日続伸。
2016年5月23日(月)の東京株式市場は反落となりました。日経平均株価は前日比▲0.4%の下落、TOPIXも▲0.3%の下落で引けています。一方、東証マザーズ総合指数は+3.5%の大幅上昇となり、3日続伸となっています。新興市場に活気が戻りつつあるのでしょうか。
日経平均株価は、前日比▲65円安で寄り付きましたが、すぐに下値を大幅に切り下げていく展開が続き、前場の半ばには一時▲318円安まで下落しました。その後は切り返す展開に変わり、下げ幅を徐々に縮小していき、寄り付き値の付近まで戻します。最後は揉み合いとなり、大引けは▲81円安の16,654円で終わりました。一時の大幅安から見れば、随分と健闘した印象が強く残ります。
東証1部で上昇したのは773銘柄、値下がり1,018銘柄、変わらず162銘柄でした。東証1部の出来高は17億3,082万株、売買代金は1兆7,092億円(概算)となっています。5月9日並みの薄商いとなり、これで先週から数えて、6営業日のうち5日間で売買代金が2兆円を割り込んでいます。『安倍さん、何とかしてくれ!このままじゃ干上がっちゃうよ!』という証券関係者から悲壮な叫びが聞こえてくるようです。
セクター動向と主要銘柄の動き-10業種が上昇、23業種が下落。主力セクターに大きな動きなし。
東証1部で上昇したのは10業種、下落したのは23業種でした。上昇率上位は、海運+0.9%、証券・商品+0.8%、ゴム製品+0.6%、銀行+0.3%、石油・石炭+0.2%などでした。一方、下落率が大きかったのは、鉱業▲2.0%、電力・ガス▲1.6%、水産・農林▲1.3%、小売▲1.0%、食料品▲0.9%などでした。主力セクターに大きな動きがなかったことが読み取れます。
個別銘柄では、主力株の中では、ファーストリティリング(9983)、トヨタ自動車(7203)、信越化学(4063)、花王(4452)、セブン&アイ・ホールディングス(3382)等の下落が目立ちました。特に、小売株で安い銘柄が多く、前述の2銘柄以外にも、高島屋(8233)、ヤマダ電機(9831)、良品計画(7453)なども値を下げました。一方、KDDI(9433)やソフトバンクグループ(9984)などの通信株が上昇し、東京エレクトロン(8035)やアドバンテスト(6857)など半導体装置メーカーが値を上げ、年初来高値を記録しています。また、収益悪化が懸念される野村ホールディングス(8604)などの証券株も、不思議なことに上昇しました
本日のポイントと注目テーマと関連業種-薄商いの中、売りの仕掛けに乗らないことが重要。機械セクターに注目。
23(月)の株式相場は、前場に日経平均株価が▲318円安となった時、伊勢志摩サミットを待たずしての急落を予感させるものがありました。しかし、その後は何とか切り返して、小幅安に止めた形です。22日(日)に大相撲夏場所が千秋楽を迎えましたが、相撲に例えるならば、一気に土俵際まで押し切られたものの、俵に足を掛けながら何とか踏ん張って、土俵中央付近まで戻したということでしょうか。
24日(火)も同じような動き、つまり、23日のように“売り”を仕掛けられる可能性があります。現在の株式相場は、深刻な薄商いのため、値動きが大きくなりやすくなっています。ちょっとした売りの仕掛けにより、大幅下落が起き、そこで投げ売りしてしまう最悪のパターンが懸念されます。23日の動きを参考に、個人投資家の方々は、売りの流れに惑わされないようにして欲しいところです。
24日の注目は、内需関連銘柄に加え、底打ちから反転への期待が高まる業種に注目です。具体的には、設備投資の回復を念頭に、機械セクター、建設セクター等です。また、23日に上昇が目立った半導体製造装置メーカーにも引き続き注目したいと思います。いずれにせよ、現在の市場環境を鑑みれば、深追いは禁物と言えましょう。
青山 諭志