2019年10月24日に行われた、日本電産株式会社2020年3月期第2四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。IR資料

スピーカー:日本電産株式会社 代表取締役会長(CEO) 永守重信 氏

第2四半期、連結決算ハイライト

永守重信氏:4ページは今日の決算のハイライトです。終わった上期の数字はスライドにあります。

精密⼩型モータ:開発体制の構造改⾰を強⼒に推進中

13ページをご覧ください。いろいろな構造改革が進んでおりまして、あとから詳しく説明いたしますが、全般的にこの車載関係が非常に予想外といいますか、これだけ来るかというぐらいの引き合いが殺到しており、滋賀の技術開発センターを全部、車載にしてしまいました。

そこにあった「その他、小型モータ」も全部、京都の開発センターに(移して)、何百人と異動させました。そういった変更や従来のHDDの工場の変換など、次々に全体の構造改革を同時進行しています。

⾞載:トラクションモータ受注が進展、年間「百万台」⽔準へと突⼊

その基本になるのが15ページのトラクションモータで、スライドは3ヶ月前に説明した数字と比較しています。今回、長期受注がどんどん入っているため、2019年7月時点の受注見込みから、5年分数字の開示を広げています。3ヶ月間で一挙に受注残が約5倍増えてきております。

そして現状、下期については新しい開発依頼といいますか、基本的には受注なんですが、もうすでに10アイテムを抱えております。さらに今の予想では、この3ヶ月でまた5アイテムぐらいの新機種が入ってくると考えています。

今までは比較的、中国が中心でしたが、このところはヨーロッパのOEMやTier1から、「E‐Axle」だけではなく、モータとトラクションの制御関係とか、分解したものも多数引き合いをいただいて、それが受注につながっています。

これが下期の1つの業績予想、業績が悪化しているじゃないかとも言われるのですが、会社なんて大きな勝負をしないといけない時があるわけで、5つの波が来ているなかで、一番大きな波が来ているわけですから、それを選択受注して「これとこれだけやろう、残りはほかに回せ」というような馬鹿なことを言っている時期ではありません。「この時は全部とる、来ているものは全部とれ」ということです。

もちろんそれは言い換えれば先行投資、人員も今どんどん増やしていかないといけません。今の滋賀の技術開発センターも何百人単位で人を入れているということもあります。

そして今までに開発が終わったものの技術で、そのまま使えるものはありますが、まったくの新規で開発するものもたくさん入ってきています。前回(の決算説明会で)申し上げたように、1つの開発を立ち上げるのにだいたい30~35億円ぐらいかかると見て、下期はおよそ300億円ぐらいの追加開発費用を計上していかないといけないと見ています。これでまた3ヶ月後には、これよりももっと増えているということになってきます。

とくに、これから入ってくるものは短期の案件もありますが、2021年以降のものはどんどん積み上がっていきますから、この「E‐Axle」が非常に好調にマーケットの中に入ってきます。それにプラスしてOEMメーカーだけではなく、いわゆるTier1と称するところ……逆にいうと我々の競争相手にもなっています。

同じようなシステムでは競争相手になっていますけれども、モータとかモータの制御なんかは我々のところに頼みたいとか、あるいは逆に自分のところで開発したが、なかなかうまく生産できないので、全部OEMでお願いできないかとか。こういう話も、OEMメーカーから、ここのところ次々と具体的な生産時期を決めて、受注が入ってきています。今のところ少しこなすのに……私はやっぱり生産供給能力というのは、次のキーになってくると考えています。

ではそれだけ受注して、ものはちゃんと出せるのかということがキーになってきます。ですから当然、設備投資もものすごく行っています。今回また、大連にも中国の第2工場を作る、それからポーランドも増強する、メキシコも増強するなど、新たな設備投資をどんどん敢行しています。

ずいぶん前のスピンドルモータの立ち上げ時は、会社の規模も小さく、投資金額も売上に対する比率は今よりももっと大きかったかもしれません。しかし今回は、端的にいえば5,000億円とか1兆円という投資を行っていかないといけない段階に来ています。我々はどこの系列にも属していないので、断固として世界ナンバーワンになるという考えです。

⾞載:⾞載3⼤製品の市場シェア⽬標

16ページをご覧ください。車のモータは100個とか150個とか、今からEVになってくると200個とか言われていますけれども、車のなかでキーになるのは(スライドにある)この3つなんです。すなわち、「走る」「曲がる」「止まる」。これがキーで、とくに人の命にかかわる重要な部品です。

ですから、ほかのワイパーがどうだとか、そんなものは別に誰が作ってもと言ったら怒られますが、そんなところにはあまり興味がありません。やはりこの本当にキーとなる3つの「走る」「曲がる」「止まる」というところに、我々は今までものすごいエネルギーを費やしてきたわけです。「曲がる」「止まる」にあたる電動パワステや次世代ブレーキは、現状ですでに50パーセントのシェアを上回っています。

これを2025年までに70パーセントにする目標です。車の業界で70パーセントのシェアというのは驚異的な数字です。値段が安いからという理由で変なものを使って、何か起きたらリコールになります。我々は、パワステのモータを2000年から出荷していますが、まだ1回もリコールになったことはありません。こういう信頼性が次々と新しいお客さんを取り込んできているのです。ほかのところは大概みんなリコールしています。

今、メインとしているのは「走る」です。「走る」というトラクションモータのところです。これも今日現在では、2030年に35パーセントを目指すとしていますが、次の時にはもっと上がっているかもしれません。

ですから、具体的にどこのものに使われているかということを開示したい気持ちはものすごく強いのですが、開示してはいけないので。だんだん車が出てきたらわかります。やっぱりあそこのモータか、システムかとわかってきます。

それをもって減益だと言われても、じゃあ何かと。私が車の分野に入った1995年の時も、「永守さん、車の分野やったらバリエーションが下がりますよ」と散々言われました。

FDBの時も、これはその技術がないからあそこはダメになるとか散々書かれたけれど、そんなのへっちゃらです。関係ない。これもはっきり先が見えてきました。もう出口調査で当選確実です。だから、これを見ていたらわかります。

性能的な問題も、大きなモータを作ればよいわけですが、やっぱり小型化していく。それから非常に燃費がいいとか、電気を消費しないとか、そういう非常にコンパクトにものができ上がっているというのを見て、ほかのと比較していただいたらわかると思いますけれども、その次にもう小型化の、今度は日本で言ったら軽自動車用とか、どんどん今新しい製品開発が進んでいますから、ラインもそろってくるし、これだけ専業メーカーでやったところはもうほとんどないです。

ですから、本来なら競争相手になるべきそういうTier1でさえも、我々のところに引き合いが来るのです。モータだけということもあるし、全体もありますし、設計は自分のところでやるけれど生産だけ頼めるかとか、それはもう全部受けます。

それを受けておけば、次に完成品も必ず来ます。これは過去の事例から見てもそうなるに決まっていることで、今は絶対的なスピードで投資をしないと、チャンスを失いますから、株価が下がろうが何をしようがやりまくるということです。売るなら売ってください。そのうち首絞まりますよ。

もしも下がれば自己株買いで全部対応するというぐらいの(気持ちです)。だから今回配当も増やしているのです。自信の表れです。本当に悪いなら誰がこの時に配当を増やすでしょう。むしろ減配でしょう。そんなことはまったく関係ないということですから、これは強い自信を持って進めていると。

だから工場は次々と新しいところに建設していくということで、実際に引き合いが来て、サンプルもどんどん出していっているわけですから、もうそれが来るのがわかっているのです。

その生産能力をいつから、どれぐらい増強しないといけないか、一般のITだったらもう来月からだけれども、車は幸い作るべき時間がありますから、その間に早く準備をしないといけないということです。

精密⼩型モータ:5G分野に向けた新たな商材(冷却ソリューション)

14ページに戻ります。5Gの冷却ソリューションのマーケットの拡大がすごい勢いで進んでいきます。5Gになると非常に熱を発するので、そういうところに冷却関係が入っていきます。もともとファンモータも、5Gに従って基地局などにどんどん入っていくということは見えているんですが、あまりにも熱が多すぎるので、別の冷却ソリューションで実施します。これも今、工場を増強しております。

ですから、今の産業用のモーターは中国の需要が多かったわけで、残念ながらそれが今からガーッと上がっていくような雰囲気では今のところはありません。

だから演歌歌手が昔の歌を歌って金を稼ぐと。それにギターを持って回っていると、40年前の歌とか、30年前の歌とか、そんな歌を歌ってもしかたないわけで、中国もああいう関係だし、ヨーロッパもよくないから、大型の産業用モータなんかは底を打ちました。大底は打っていますけれども、ガーッとものすごい勢いで戻るということはありません。

家電・商業・産業⽤:⼀部の海外事業で反転の兆し

ただ、例えば17ページにあるような、大型の空調事業だとかエレベータとか、こういうところは明らかに底を打っています。前期にガタッと落ちたところで底を打って、スライドのグラフを見ておわかりのように戻ってきているというものはあります。ですが、うんと大きな産業用は、底は打っているが、まだそんなに戻ってきているという感じはありません。

ですから、具体的に申し上げたらそれはそれでそういう事業なんです。ですから、それはそういうことに幅広くやっているわけなので、いろんな分野。

家電・商業・産業⽤:エンブラコは、FY19下期から早くも収益貢献へ

エアコン関係などは、事業環境問題の省電力のことが非常に好調に推移していますし、そのほか今回エンブラコという会社を買いました。これも買った時の営業利益は3パーセントぐらいだったんですが、終わった9月はもうすでに9パーセントまで営業利益が改善しています。

これは、従来の我々の購買力をそのまま同じものを買っているわけなので、単価をバーッと同じにしてもらっただけで5パーセントぐらい営業利益が上がっているということの改善です。本格的な改善は今からです。PMIは今から受けていくことになると思います。

ですから、いよいよ5つの波と来ているなかで一番、具体性がものすごい勢いで見えてきたのはこのEV関係です。単にトラクションモータだけではなく、それに付随する2つのキーのモータも連動して、今まではガソリン車に乗っていたものにEVが付け加えられることによって、非常に高いシェアを享受できる段階に入ってきました。

今のところロボットは、一応、底打ち感は出ました。受注は増えてきていますが、まだしばらく勢いは悪いです。今はちょうど新工場を作って能力を増強していくという、非常に貴重な段階にあると思います。

ですから、事業の分野によって少し中身が変わるかもしれません。まずその5つのうちの1つが出ていき、そのあと今の冷却関係も今後出ていくというかたちです。私はそんなマーケット全体の……先ほど申し上げたように、昔ヒットした演歌(の売れ行き

)がどうかと言われれば、今なおお金を稼ぐのには大変活躍していますけれども、成長の根幹にはなりません。いつまでも昔の歌の売れ行きはどうですかと聞かれても、あまり興味がないんです。新しいところを見ていただかないといけません。30年前にヒットした歌の売れ行きはどうかと聞かれたら、知りませんとは言いませんよ、知っていますから。

どんどん新しく会社を変えていくという意味においては、大きな成長ができるところに投資をして、人員も、例えば日本電産サンキョーなんかで余っている人を滋賀に移転して、新製品の担当のグループに入ってもらいます。

そしていずれはそういう会社もそんなちんたらやっていないで、もう全部、車関係のところに入ってこいと、新規の小さなビジネスを追わないで分担しようという考えです。

どんどん新しいモデルが来ているわけだから、そのモデルを日本電産サンキョーが2つ展開するとか、コパルがあと3つ展開するというかたちで分担して、部品から何から全部をグループでまかなうような体制にしなければ、何兆円というマーケットで世界トップになることは難しいだろうと考えています。そういう意味においての構造改革を、今どんどん行っています。

ですから車の場合も、本体は各工場で作業するんですけれども、それには細かいギアとか部品がいっぱいつきますから、そういう部品はフィリピンのHDDの工場を転用します。ここには精密の加工品を行ってきた技能者が3,000人ぐらいおります。

即機械が使えるという意味でも、世界の小さな部品はフィリピンから中国にも供給する、それからポーランドにも供給する、そしてメキシコにも供給するという体制を構築しようとしています。そこに多くの設備投資を敢行しているという状態です。

ですから、足元の状況もそれなりに改善はしていくでしょうが、一段のトップラインの成長と、一段の高みの利益を上げていこうと思えば、こういう段階で思い切った投資を行うことが非常に重要です。なので私はそういった方向を選んでいるということになります。ざっと概略だけ申し上げました。

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