台湾LED大手のエピスター(晶元光電)は、中国LEDディスプレー大手のレアードグループ(利亜徳集団)とミニ/マイクロLEDのチップ&モジュールを製造する合弁会社を設立すると発表した。詳細は検討中だが、海外メディアの報道によると、当初10億元を投じて江蘇省無錫市にLED生産拠点を設立する予定だ。
2023年までに本格量産を目指す
エピスターによると、合弁会社は段階的に投資を実施する。現地報道などによると、合弁会社ではミニ/マイクロLEDディスプレー用のLEDチップや、マストランスファー技術を活用したCOB(Chip on Board)やCOG(Chip on Glass)などを生産する予定で、2020年中に一部生産開始、23年までに本格量産を目指す。
エピスターは台湾最大手のLEDメーカーで、これまでに同業のHuga OptotechやFormosa Epitaxy、TSMCのLED製造子会社「TSMC Solid State Lighting」などを傘下に収め、台湾LED業界の再編を主導してきた。
18年には、事業体制を従来のLED特化型からⅢ-Ⅴ族化合物半導体全体へ拡大する方針を明らかにし、グループを3つの会社に分割した。エピスターがLED事業を引き継ぎ、VCSEL(垂直共振器面発光レーザー)やGaNパワーデバイスなどのファンドリー事業を手がけるUnikorn Semiconductorと、ミニ/マイクロLEDやセンサーといったコンポーネント/モジュール事業を担当するYenrich Technologyを新設した。このうちYenrichはレアードとの合弁会社に出資する見通しだ。
すでにミニLEDディスプレーを共同試作
エピスターはミニ/マイクロLEDの事業化に注力しており、19年8月に開催された展示会「Touch Taiwan 2019」では最新のミニLEDパッケージを多数展示した。すでに赤緑青(RGB)のミニLEDチップをフリップチップで封入した0404パッケージを商品化済みで、これをアレイ状に実装すれば画素ピッチ0.6~1.9mmのLEDディスプレーが実現できる。
また、次世代品として、パッケージ基板の四隅にRGBミニLEDチップをフリップチップ実装した4 in 1パッケージの商品化を準備中。この4 in 1パッケージはサイズ1515(1.5×1.5mm)品をアレイ状に実装するだけで画素ピッチ0.9mmのLEDディスプレーを容易に実現することが可能。1414品だと0.8mmピッチ、1213品だと0.7mmピッチ、1011品だと0.6mmピッチになるため、LEDディスプレーをSMTプロセス(表面実装技術)で容易に製造できるようになる。
レアードは、この4 in 1パッケージを用いて54インチのLEDディスプレーを試作し、Touch Taiwan 2019で展示した。画素ピッチは0.62mmで解像度1080pを実現した。
電子デバイス産業新聞 編集長 津村 明宏