筆者も経験あることなのですが、自信がないときに他人と目を合わせることがこわくなってついつい目をそらしてしまうことがありました。

同様に、親としてもどうすればいいのかわからなくなり子供と目が合わせられないケースが多いように思われます。どんな言葉をかけたらいいのかを考える前に子供と目を合わせるのです。言葉も必要ありません。静かに子供を見つめる。子供は目をそらすかもしれませんが、それでかまいません。我々は目をそらしてはいけません。見返りを求めてもいけません。「お前ならきっとだいじょうぶ」「応援しているぞ」と心でつぶやきながら目を合わせることができたらなおいいですね。

子供と目を合わせるのがこわいという話もたまに聞きます。そのようなとき、まずは鏡の自分の目を見つめてはいかがでしょうか。自分を取り戻すきっかけになりますし、案外新たな自分を発見できるかもしれません。

おわりに

子供の力になりたい、このように思うのが親の心理です。子供のために何ができるかを考えたとき、いちばんに思い浮かぶのが言葉で励ますことになります。

だけど、ちょっとした言葉がけが子供にとっては負担になってしまいます。「がんばれ」と軽く言ってしまうのも避けたいところですが、何よりあせって発した言葉が子供を傷つけてしまうように思われます。言葉そのものよりも、言葉に添えられた声のトーンや感情が伝わってしまうのかもしれません。

親は子供の応援隊、大ファンです。力むことなく、まずは親自身がおだやかな気持ちで日々を過ごし、「だいじょうぶ、自分の子供だもの」と言い聞かせることをいま一度見つめ直してもいいのではないでしょうか。成長過程を楽しみたいですね。

久枝 壮一郎