2019年11月25日に行われた、株式会社ココカラファイン2020年3月期第2四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。IR資料

スピーカー:株式会社ココカラファイン 代表取締役社長 塚本厚志 氏
株式会社ココカラファイン 上席執行役員管理本部総務部長/コーポレートリレーション部長 森俊一 氏

決算概況

塚本厚志氏:社長の塚本でございます。本日は、私どもの決算説明会にご出席いただきまして誠にありがとうございます。まずは、上期の決算の概要について、私からご説明いたします。

上期は、増収増益、過去最高の売上、そして過去最高益を達成することができました。

ドラッグストア事業においては、冷夏による季節品の不調・売上減はあったものの、消費増税前の駆け込みの需要の取り込みに成功し、9月単月においては、後半に行くにしたがって、売上高および利益高が非常に多くなったということで、予想よりも駆け込み需要の取り込みに成功することができたと言えます。

2つ目として挙げられるのが、多様なペイメント・システムの導入を果たすことができて、そのことが新たなお客さまもお店に導くことができたということです。

以上により、ドラッグストア事業は前期比で103.3パーセントとなり、3.3パーセントの増加を果たすことができました。

7月単月は非常に気温が低い月で、「こんな冷夏は初めてだ」というほどの経験でしたが、それを跳ね返すべく、8月・9月、とくに9月においては、消費税増税前の需要を取り込むことができ、結果に結びつけることができました。

一方、調剤事業においては、薬価・診療報酬の改定への対応が順調に進み、薬価・診療報酬の改定2年目ということもあって、より大きな成果を挙げることができました。

また、事業規模については、拠点数の増加、そしてM&Aということで、事業規模の拡大を果たすことができ、結果として、(調剤事業における)売上高は前期比で110.9パーセント、10.9パーセントの増加となりました。

3つ目として、かねてより掲げている効率化を推進すべく、IT投資を継続して行い、とくにドラッグストアのレジシステムの改修ということで、新たなPOSレジを全店に導入することがこの期において完了いたしました。よりお客さまサービスの充実した店舗運営ができる体制が整いましたので、今後にご期待いただきたいと思います。

調剤事業においても、レセコン・電子薬歴の統一を図るということでシステムを刷新しており、上期におおむね半分の拠点数において(導入が)完了いたしました。あと半分の拠点数が残っていますが、今期中に全店入れ替えができる予定で、効率化のさらなる推進が実現可能となってきました。

決算概況については、後ほど森から詳しくご説明をさせていただきます。

マツモトキヨシHDとの経営統合に向けた協議について

続きまして、マツモトキヨシホールディングスさまとの経営統合に向けた協議について、ご説明いたします。

現在、マツモトキヨシホールディングスさまとの経営統合の協議を進めています。売上高は約1兆円、そして店舗数は約3,000店舗の日本最大のドラッグストアグループとして、さらにアジアNo.1を目指し、ドラッグストア事業・ヘルスケア事業においてリーディングカンパニーとなり、両社の持っているもの、また将来作り出すものが、地域社会やお客さま・患者さまの求める価値に最大限お応えすることが可能となり、さまざまな、かつ大きなシナジーを発揮できるものと考えています。

とりわけ、地域社会やお客さま・患者さまが求める「健やかに美しく過ごしたい」という願いに対して、より貢献できる企業をつくるということを目指して、協議を進めている最中です。現在、協議は順調に進んでいます。

以上、簡単ですが、決算の概要とトピックスについて、私からお話しさせていただきました。ありがとうございます。

業績ハイライト【1】

森俊一氏:ココーポレートリレーション部の森です。本日はお足元の悪い中、ココカラファインの決算説明会にお越しいただきまして、誠にありがとうございます。私からは、第2四半期の決算概要、重点施策、そして通期の見通しについてご説明いたします。

まずは、業績ハイライトとして、決算のポイントについてご説明をさせていただきます。

1つ目、ドラッグストア事業に関しては、冷夏による売上不振を、消費税増税前の駆け込み需要でカバーできました。2つ目、調剤に関しては、順調に規模拡大ができました。そして3つ目、販管費に関しては、経費コントロールや退店の前倒しにより、引き続き効率化が推進できました。以上により、結果として上期は計画路線に乗せることができました。

個別にご説明していきますと、売上高については、夏物商材が非常に厳しい中、駆け込み需要を取り込んで、結果的には計画路線に乗り、ドラッグストア事業の既存店も売上伸長率がプラス1.0パーセントとなりました。駆け込み需要については、当初20億円の売上増を見込んでいましたが、結果として約40億円あったと推測されます。

店舗数については、21店舗純減の1,333店舗となりました。退店については、計画17店舗に対して、前倒しで39店の実績となりました。

引き続き調剤事業の規模拡大が進んでおり、1年前と比べて調剤店舗が16店舗増えていますので、売上高は前期比で110.9パーセント、311億円になりましたので、通期では600億円規模が確実という水準になりました。

売上総利益については、ドラッグストアの相利率は前期比で0.2ポイント改善しました。しかし、粗利率の高い季節はじめの夏物の不振が響き、改善幅としては計画達成には至りませんでした。

また、調剤については、前期に診療報酬改定の対応が進み、順調な進捗です。粗利益は、実額で前期比112.3パーセントとなりました。

業績ハイライト【2】

販管費については、計画対比で11億5,100万円の圧縮ができました。今期は、タブレット端末を含めたPOSレジの全店入れ替えや、調剤のレセコンの全店統一を行っていますので、販管費がどうしても上がってしまうことを想定していましたが、引き続きITを活用した店舗作業の効率化が進んでいることや、先ほど申し上げた退店の前倒しなどにより、より効率化を進めることができました。

改装投資に関しては、効果の高い改装は4年前から思い切り行ってまいりましたので、いまは一巡化しています。店舗により、数年に1回行う経常的な改装や、軽微な改装とが中心となっていますので、業績を見ながら、計画どおり行うのか、それとも来期に回すのかということを検討しながら進めています。

500万円以上の費用のかかるような大型改装については、上期計画が48店舗のところ、半分の24店舗となりました。

結果として、ご覧のとおり、過去最高売上・過去最高益を更新することができました。

計画対比(P/L)

計画対比については、主にドラッグストアの粗利率の未達分が7億8,800万円分ということになりますが、この分を販管費の圧縮幅11億5,100万円でカバーすることができ、営業利益・経常利益・四半期純利益ともに計画達成となりました。以上が業績ハイライトです。

次に、各事業の粗利益・販管費についてブレークダウンした資料をもとにご説明したいと思います。

売上総利益推移【1】

決算数字では、年度によって売上構成が変動して、粗利率の改善度合いが見にくいということがあります。そこで、こちらのスライドのグラフでは、ドラッグストア事業(物販)だけを取り出した粗利益の推移をお示ししています。四半期ごとの前期との比較です。

ITを活用した店舗のインフラ整備が進み、より接客時間が作れるようになってきました。高付加価値商品の推奨販売を中心に、粗利率は順調に改善しています。通期の粗利率は、前期対比で0.2ポイント改善し、27.9パーセントとなりました。ただ、先ほどのご説明のとおり、粗利率の改善幅については、計画には辿り着きませんでした。

売上総利益推移【2】

次に、調剤事業です。薬価・診療報酬改定がない年度になりますので、地域支援体制加算や、後発医薬品調剤体制加算への対応等が進み、数値として粗利益の改善幅が非常にわかりやすくなっています。

昨年と比べて、調剤店舗数も16店舗増えていますので、売上は前年同期比で10.9パーセント増になりますが、粗利益の実額についてはそれ以上の12.3パーセント増加し、121億円となりました。

販売管理費推移

次に、販管費の状況です。(スライドの)左側、全社ベースの販管費としては、経費の実額は前期比で103.9パーセントということで、売上の伸びと同程度に抑えることができました。

(スライドの)右側は、既存店舗の販管費の状況です。人手不足もあって、1人あたりの人件費は増える傾向にあります。また、タブレット端末を含めたPOSレジの全店入れ替えや、調剤のレセコンの全店統一を行っていますので、どうしても販管費が上がる傾向にはなります。

しかし、そんな中でも、店舗作業の効率化を推し進めて、実額としては前期並みの100.1パーセントにコントロールすることができています。人件費についても、1人あたりの人件費は増えていますが、効率化により総労働時間を圧縮することができ、結果として前期並みに抑えることができています。

決算のポイントは以上です。

ITを活用した顧客戦略①

以上を踏まえて、重点施策の進捗状況についてご説明いたします。実績を踏まえた重点施策については、ITを活用した顧客戦略と、生産性の向上を中心にご説明します。

まず、ITを活用した顧客戦略の進捗状況です。「ココカラクラブカード」については、稼働会員数が741万人ということで、日本人口の16人に1人は当社のポイントカードを実際に使っていただいているという計算になります。そして、会員売上比率も75.5パーセントと、いわば会員制のドラッグストアといえるほど高水準を維持しています。

ドラッグストアのアプリ会員については、ダウンロード数は147万件となり、期末の目標である180万件に向けて、順調に進捗しています。

調剤薬局のお薬手帳アプリについては、処方せん事前送信件数が月間2万件を超えました。患者さまが医療機関におられる段階で、処方せんの写真を撮って、事前に送信していただき、薬局にお越しいただいたときにお待たせしない機能ということで、店舗側の効率化も図れます。

現在、全処方せん枚数の4パーセントが、この機能をお使いいただいた件数です。着実に育てている段階で、今後もお客さま、そして患者さまの固定化に繋げていきたいと考えています。

ITを活用した顧客戦略②

顧客戦略については、「ココカラクラブカード」を中心として、1to1マーケティングを進めています。多くのドラッグストアの中で、ココカラファインを選択的にご利用いただけるように、お客さまお一人おひとりのお財布シェアを高めるという取り組みを行ってまいりました。

すでに店舗に来ていただいている固定化されたお客さま、囲い込んだお客さまに、さらに付加価値を高める取り組みを中心に行ってきたということです。それにより、客単価の上昇、1ヶ月の来店回数の上昇、そして高付加価値商品を高めた粗利率の向上を進めることができています。

今期は、それと並行して、非会員に向けた全方位営業を行い、まだココカラファインに来ていただけていない新しいお客さまを獲得できるような販促を強化しています。

取り込みはさまざまございますが、とりわけ、(スライドの)右上の2つです。新規ペイメントの導入、そして共通ポイントサービスの導入ということで、初めてココカラファインでお買い物をしていただくお客さまを増加させて、そして新たな固定化に向けた活動を行っています。

ITを活用した顧客戦略③

その中で、多様化する決済方法への対応ということで、これまでコード払いについてはAlipay、WeChat Pay、LINE Payの3つだったのですが、上期にPayPay、NAVER Pay、d払いの3つを新たに導入して、現在6つになりました。

(スライドの)右のグラフのとおり、新規ペイメントの導入によって当社のプリペイド売上が多少減少し、他のペイメントに入れ替わる展開になっています。

今は新規顧客を獲得する時期ですので、これは致し方ないと考えていますが、この新規ペイメントの導入により、全キャッシュレス比率は引き続き増加し、43パーセントに近づくかたちとなりました。

そして、新規顧客獲得に向けた活動については、まだ分析段階ですが、例えば6月にPayPayを導入して、1ヶ月間で24万人の方々にPayPayをご利用いただくようになっています。この24万人は、全客数の1パーセントから2パーセントにあたる客数です。

その24万人のPayPay利用者のうち、約6割にあたる14万人はすでに「ココカラファインカード」「ココカラクラブカード」の会員でしたので、残りの4割にあたる10万人が非会員の新しいお客さまになります。この10万人に対して、新規カード会員のアプローチをして、新たな固定化を進めています。

現在、PayPayを介した新規会員数は、毎月5,000人ずつ増えており、新たな固定化として積み上がっている状況です。

ITを活用した顧客戦略④

そして、下期はこの6つのペイメントに加えて、メルペイ、ゆうちょPay、Origami Pay、au PAY、J-Coin Payなど、新たに少なくとも6つ導入し、12個になります。

ココカラファインは、同業他社の中ではいち早く、2年前にLINE Payを導入しましたが、現在はコード払いが一般化してまいりましたので、下期はこれでもかというほど、ペイメントの導入を図ってまいります。

そして、(スライドの)右側の共通ポイントのところですが、(2019年)10月より、楽天ポイントを導入いたしました。導入後の状況としては、当社の1ヶ月間の客数は約1,600万人で、そのうちの約5パーセントにあたる80万件ほどが楽天ポイント付与のお客さまになっています。

このお客さまが、今後の客数アップ、そして定着化・固定化に繋げていくべきターゲットのお客さまになります。全客数の5パーセントにあたる、固定化に向けた入り口を作ることができたということです。

また、下期には楽天ポイントだけではなく、他の共通ポイントも導入していく予定です。

そして、もう1つ、新規デジタル販促の導入ということで、LINE公式アカウントを取って、LINEクーポン、LINEチラシを導入しています。

このように、下期はさらなる新規ペイメント、新規共通ポイント、そしてLINEを中心とする新規のデジタル販促を行って、より全方位営業による新規の客数アップ、さらにそこから固定化に繋げていく活動を行っていきたいと考えています。

ITを活用した生産性の向上①

次に、ITを活用した生産性の向上について、進捗をご説明いたします。

2016年に全店舗の情報端末を一本化して、無線LANの環境も全店舗整備し、さまざまな効率化を進めてまいりました。

今期における目玉は2つです。1つ目は、POSの全店入れ替えと同時に、新たなタブレット端末の導入です。これについては、上期中に完了いたしました。

そしてもう1つは、調剤におけるレセコンの全店統一です。これに関しても、上期終了時点で50パーセント、通期で全店統一というかたちで進んでいます。

ITを活用した生産性の向上②

POSレジの全店入れ替えと、タブレット端末の導入についてですが、レジとしての特徴は、非常に軽く、移動可能であるということです。

そして、(スライドに)「直感的に使える」と書いてありますが、タブレットですので、基本的にはボタンがないのです。必要なときに必要なボタンだけが出てくるということで、従来のように複雑なボタン操作を覚える必要性がありません。

また、多くのペイメントを導入していますので、例えばお客さまに「メルペイ使えますか」と聞かれて、店舗スタッフがその質問の答えがわからないということがあったとしても、そのコードをスキャンするという行動さえできれば、レジが把握して生産が前に進んでいくという仕組みです。

入社間もない未熟な店舗スタッフでも十分に使いこなせるように、ユーザーインターフェイスを向上したつくりになっています。

そして、このタブレット端末にカウンセリングツールを導入いたしまして、購買履歴を利用した接客ができるように、まだ20店舗程度ですが、実験的に活用を行っています。

また、調剤におけるレセコン・電子薬歴の全店統一を進めています。ココカラファインは、もともとたくさんの企業の統合によりでき上がった企業ですし、とりわけ調剤事業に関しては、昨今も多くの企業のM&Aで成長しています。レセコンの統一によってオペレーションを一本化し、さらに効率化を図っていきたいと考えています。

ITを活用した生産性の向上③

また、薬剤師が行うべき業務、必ずしも薬剤師でなくても行える業務が明確になっていく中で、薬剤師1人あたりの処方せん処理枚数を向上していきたいと考えています。

店舗スタッフが業務の上で困ったときに力を発揮するAIチャットボットでは、お薬手帳アプリQ&Aや、人事のQ&Aなど、解決する項目も増えており、店舗スタッフの疑問に効率よく答えられるように進化していきたいと考えています。

出退店実績・計画

以上を踏まえ、通期の見通しについてご説明いたします。まずは、出退店の見通しについてです。

上期を終えた段階で、出店は計画22店舗に対して、若干後ろ倒しの18店舗。退店は17店舗に対して、かなり前倒しの39店舗です。

通期の見通しについては、出店は、調剤のM&Aも別途発表させていただいていますので、計画33店舗に対して40店舗から50店舗に増加する見通しです。退店に関しては、計画50店舗に対し、若干増える程度で55店舗前後という見通しです。

したがって、店舗数の増減に関しては、計画より変動が少し弱まり、17店舗純減の計画になっていますが、10店舗程度の純減というかたちになる見通しです。

設備投資 上期実績・通期計画

設備投資については、改装投資以外はほぼ計画どおりの進捗です。

改装については、実績に合わせて店舗数をコントロールしている状況ですので、改装店舗数は計画より25パーセントから50パーセント減少することが考えられます。

したがって、設備投資額としては108億円の計画になっていますが、5億円から10億円減少する見通しです。

連結業績の見通し

以上を踏まえた、通期の見通しについてです。上期は、結果として売上高・利益ともに計画達成となりましたが、計画段階では駆け込み需要による売上増を20億円で織り込んでおり、実際には40億円ほどあったと推測されます。つまり、その差が20億円ほどです。下期は、当然その反動も多くなることが想定されますので、厳しいスタートになっています。

しかし、幸い販管費のコントロールが順調に進んでおり、経費の圧縮幅が計画よりも大幅に改善できていますので、通期の利益計画の達成は十分に可能と考えています。引き続き、粗利率の向上、そして販管費のコントロールを推進し、計画路線に乗せていきたいと考えています。

剰余金の配当

今回、決算と同時に増配予想を発表させていただきました。半期38円から42円、年間で76円から84円です。

当社の期間損益の出方として、薬価・診療報酬改定や季節変動などの一時的な環境変化により、実力とは別に年度によって業績が大きく変動してしまいます。

そんな背景の中、当社の配当の考え方としては、期間損益における業績連動だけではなく、安定性も重要であると考えています。この安定性の指標としては、DOE(自己資本配当率)を採用しており、これまでの実績としては2.0パーセントを維持するかたちで推移しています。

今後も、業績連動の指標としては総還元性向、そして安定性の指標としてはDOEを採用して、業績連動、そして安定的な配当を目指していきたいと考えています。

私からのご説明は以上です。ご清聴、ありがとうございました。

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