2019年12月3日に日本証券アナリスト協会主催で行われた、株式会社オプティマスグループ2020年3月期第2四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:株式会社オプティマスグループ 代表取締役社長 山中信哉 氏

1.Executive Summary

山中信哉氏:いつも誠にお世話になっております。本日は、歳末のご多忙中にもかかわらず、お時間をいただいてご足労いただき、誠にありがとうございます。みなさまには、平素よりご期待を託していただき、心より深く感謝しております。

それでは、2020年3月期第2四半期決算説明を始めさせていただきます。よろしくお願いいたします。

まず、Executive Summaryです。2020年3月期第2四半期のまとめですが、2019年3月期第2四半期の決算と比較しますと、カメムシ問題の期ずれの反動および人員等コスト増により、減収減益となりました。

連結売上高は118億6,800万円で前年同期比10億9,600万円の減収、連結営業利益は2億6,500万円で前年同期比2億3,800万円の減益となりましたが、おおむね想定どおりの結果です。事業を取り巻く環境を考慮しますと、よく健闘したと言えると思っております。

セグメント別の業績は後ほど詳しく説明させていただきますが、貿易セグメントは、単価減による減収、経費見直し等により増益です。物流セグメントでは、前年同期のカメムシ問題による期ずれの反動がありました。サービスセグメントでは、前年同期の反動による減収と、のれんの償却や人員増がありました。検査セグメントでは、件数減および人員コストの増加がありました。

次に、この期間のトピックスです。取締役の辞任および主要株主の異動がありました。また、利益相反に係るニュージーランド当局方針の検討結果が公表されています。そして、OzCar社との資本・業務提携を行いました。なお、これは11月14日に開示いたしております。

2020年3月期通期の見通しですが、売上は0.1パーセント減、営業利益は19.8パーセント減となりますが、先ほど申し上げましたとおり、上半期はほぼ想定どおりですので、据え置きとします。

中期成長戦略ですが、既存事業の収益、管理強化に注力しつつ、オーストラリアは提携先を梃子に事業展開をしていきます。

1.事業環境

2020年3月期第2四半期の事業環境を説明させていただきます。スライド左上のグラフをご覧ください。日本からニュージーランド向けの中古自動車輸出台数のグラフです。2018年はグレー、2019年は黄色でお示ししています。

5月をご覧いただきますと、先ほども説明させていただきましたカメムシ問題の期ずれの反動の差がよく表れているのがお分かりいただけると思います。

右上のグラフは、グループ会社で中古自動車の仕入を行っているオークション会場の成約単価の推移です。

スライドの下段が為替の推移です。左側をご覧いただきますと、第1四半期の期中平均を前年同期と比較していますが、差異が4.08円です。第2四半期においては、前年同期と比べて差異が4.86円と、大幅な円高であったことがご理解いただけると思います。

下段の右側のグラフですが、2018年がグレーの折れ線、2019年が黄色の折れ線で、中ほどの赤い線が、当社の為替想定値である70円です。これをご覧いただきますと、7月後半からとくに円高に振れているのがご理解いただけると思います。

3.決算概要(全体)

次に、2020年3月期第2四半期決算概要です。全体としては、前年同期のカメムシ問題による期ずれの反動や、低価格車増による単価減等により減収となります。これに加えて、検査人件費等の増大が影響して減益となっています。

スライドの下段のグラフで、内訳と差分で説明させていただきます。売上高は、2019年3月期第2四半期が129億6,400万円であったのに対して、販売台数の増加による増収が5億9,700万円ありましたが、販売単価の下落による減収が10億3,200万円となっています。また為替の影響も受けており、この分が4億6,100万円の減収で、その他の減収とあわせて、2020年3月期第2四半期の売上高は118億6,800万円となりました。

営業利益は、前年同期と比べると、売上高の減少分によって10億9,500万円の減益となりました。売上原価の減少による増益があるものの、販売費の増加による減益もあり、営業利益は2億6,500万円の着地となりました。

4.セグメント別実績 ① 概況

次に、セグメント別の実績を説明させていただきます。右の円グラフで就業人員を説明しています。2020年3月期第2四半期と前年同期を比べると、合計で54名の増員となっています。

サービスセグメントで25名の増員となっていますが、USAVE社というレンタカー会社をM&Aしたことによるものです。また、検査セグメントで30名増員となっていますが、これは現地の車検会社であるVINZ社が、車検場を1か所増やしたことによるものも含まれています。

4.セグメント別実績 ② 貿易・物流

まず、スライドの右下の表をご覧いただきたいのですが、こちらで前年同期と今期の為替の比較をしています。期中平均は、およそ5.9パーセントの円高でした。期末においては、およそ1割となる9.8パーセントの円高で、67円76銭となっています。

次に、貿易セグメントです。低価格車増による販売単価減の影響で大幅な減収となりましたが、経費等の見直しにより黒字転換しています。スライドの左上の表で販売台数をご覧いただきますと、販売台数は約1,300台増加しています。割合にしますと、およそ8パーセント半ばの増加となりますが、表の一番下の段の販売単価をご覧いただきますと、1台あたり39万600円、14.3パーセントの減となっています。したがって、売上は減収になります。

営業努力により新規顧客を開拓していますが、小型車ばかりを扱うお客さまが増えたこともあり、販売価格が下がっています。

また、だんだん環境への配慮が浸透してきていることから、購買者が燃費を気にするようになったことで小型車の売買が増加しており、販売単価の押し下げという傾向が出ています。

次に物流セグメントですが、前年同期の期ずれ影響の反動により、減収減益となっています。いわゆるカメムシ問題が2018年3月期の期末直前から発生しまして、その分が2019年3月期にずれ込んだことにより、物流セグメントでは2019年3月期の業績が膨らみました。平準化した2020年3月期は、その分が減収減益となっています。

売上高のグラフをご覧ください。売上の減少幅が貿易セグメントと比較すると小さく見えますが、この点について説明します。物流セグメントは検査セグメントの検査費用を運賃と一緒に、集金代行のようにして集金しています。直近決算では、カメムシ対策で、熱処理という新しい検査が加わり、その売上もここで同時に集金しており、そのようなあまり利益に影響しない売上がここに入っていることから、物流セグメントの売上を押し上げているかたちになっています。

4.セグメント別実績 ③ 検査・サービス

検査セグメントの説明をさせていただきます。バイオ検査件数減を熱処理検査増で補いきれず、減収となっています。さらに人員コスト増により減益です。売上高が14億3,800万円、営業利益が6,300万円で、それぞれ9.3パーセントの減収、65.4パーセントの減益となっています。

こちらのセグメントでは、70パーセント以上をドル建てで集金していることから、先ほどご説明しました10パーセント近くの円高の影響が大きく響いた結果になっています。

サービスセグメントは、先ほど申し上げましたレンタカー会社のUSAVE社を統合しましたが、人員増およびのれん償却等により減益となっています。売上が25億5,100万円、営業利益が600万円で、それぞれ16.4パーセントの減収、79.3パーセントの減益となっています。

サービスセグメントの売上減に関しては、前年同期には新車販売会社がまだ新車販売を行っていたことも要因の一つです。

また、お客さまの手元までDoor to Doorで一気通貫でサービスをご提供する「SmartBuy」というパッケージサービスを提供しているのですが、これが今期は減少しています。売上として比較的大きく反映される車両代金が減っていることが、売上減の原因となっています。

4.トピックス【A】取締役の辞任および主要株主の異動について

トピックスですが、まずは取締役の辞任および主要株主の異動に関してです。当社取締役デイモン・スコット・ジャクソンが一身上の都合により辞任し、同氏の保有株式を自己株式として取得しています。デイモン・スコット・ジャクソンの後任には、富島信彦が着任しています。富島は外部からの招聘ですが、海外での職歴が19年にわたり、現地法人の責任者や社長を何社も経験している適材です。

なお、自己株式として取得している75万2,860株は金庫株とし、消却せずに、将来の役員のインセンティブ報酬やM&Aの原資等を考慮に入れて保有する考えです。

4.トピックス【B】利益相反に係るNZ当局方針の検討結果公表について

次のトピックスは、利益相反に係るニュージーランド当局方針の検討結果公表についてです。スライドの中央に記載していますが、当社グループのバリューチェーンにおいて、ニュージーランドで中古自動車の輸入検査を行う会社と、ニュージーランド向けの中古自動車の輸出を取り扱う会社の双方を有するなど、潜在的な利益相反のリスクを有する事業体制があることから、「検査の中立性が損なわれる懸念がある」という、当社グループに係るメディア報道もニュージーランドではありました。ニュージーランド運輸庁では、自動車を輸入する際の認証に携わる事業者に適用する利益相反に係る方針について見直しの検討を進めてきましたが、現行方針を維持し、制度の枠組みは変更せずに監査体制を強化すること等によって対応することが決定されました。

しかし、当社グループでは、2019年1月に利益相反特別委員会を設置して、引き続き、潜在的な利益相反に係る管理体制の強化に努めています。

4.トピックス【C】OzCarとの資本・業務提携について

OzCar社との資本・業務提携についてです。成長戦略の1つである新たな地域への進出として、オーストラリアで中古自動車販売事業を展開するOzCar社と、2019年11月15日付で資本・業務提携をしています。

提携の内容は、マイノリティー出資および取締役3名中1名の派遣です。また、OzCar社の事業成長のために資金供与をしていきます。

提携の目的は、当社グループがニュージーランドで培った中古自動車関連事業におけるノウハウに、OzCar社が持つオーストラリアでの中古自動車販売事業に関する幅広い知見を加えることで、オーストラリア市場において、中古自動車関連事業の新たな事業基盤を強化し、事業展開していくということです。

6.概要

次に、2020年3月期業績見通しについてです。先ほども申し上げましたが、上期は想定より若干の減収増益で推移してきました。下期は、熱処理検査の稼働やレンタカー事業稼働増を見込みます。

一方で、ニュージーランドドルの為替動向や、2020年3月からのESC規制全面導入の影響など、目を離せない不透明要素も多いことから、現時点では、業績予想は据え置きとしています。

6.成長戦略概要①

今後の成長戦略の方向性についてです。既存事業を起点として、サービスと市場を拡大していきます。先ほども申し上げましたが、既存事業の強化のため、営業面も強化します。既存のバリューチェーンを延伸していくよう努力しており、また新たな地域への進出を図ります。

スライドの右上をご覧いただきますと、2020年3月期の上期までの進捗を説明しております。レンタカー事業買収が完了しましたが、これはニュージーランド居住者向けの事業の拡充となります。また自動車ローンは、順調に規模を拡大するのと同時に、管理を徹底します。そして、OzCar社との資本・業務提携により、オーストラリア市場での事業展開を図ります。

6.成長戦略概要 一般消費者へのアプローチを通じた新サービスの提供に注力

こちらでは、バリューチェーンの延伸について説明しております。既存事業であるレンタカー事業、自動車ローン事業にEVを加えて、これらの事業の拡充に重点的に注力しています。世間でよく言われている「CASE(ケース)」を念頭に、とくに「S」の「Shared」と「E」の「Electric」に注力していきます。

6.成長戦略概要(レンタカービジネス統合効果)

ただ今、説明させていただきましたレンタカービジネスについて、もう少し詳しく説明させていただきます。

本年4月1日にUSAVE社の事業および資産を買収し、従来のニュージーランドへの観光客向けビジネスに加えて、ニュージーランド居住者向けビジネスを展開し、一体的な運営を始めています。

USAVE社は、乗用車よりも商用車を多く取り扱い、商用事業者向けの事業を得意とするレンタカー会社です。この分野は競争も少なく、特徴を出せるビジネスです。

統合による効果ですが、従前から問題点として抱えていたのが事業拠点の立地で、観光客向けにもかかわらず、これまでは空港から離れた狭いヤードでした。これが統合により、空港に近く、従前より大幅に広いヤードに移転することとなり、従前のヤードはすべて閉鎖しました。

スライドの下段にお示ししていますが、従前のヤードの制約による非効率なオペレーションと人員体制の改善を図り、ヤードの移転と事業統合による効率的なオペレーションを行うことによって、すでに人員4名を削減しています。効率的なオペレーションによって、更にコストカットを図っていきます。

また、USAVE社のこれまでの経験を生かして、一段と商用車に注力して、この分野を伸ばしていきたいと考えています。

ただし、スライドの下段に書かせていただいていますが、レンタカー業界全体としては、運用車両数の増加傾向に対して、観光客が伸び悩む等、今後の事業運営にマイナスの影響を与える事業環境要因も存在することから、これらの動向を注視しながら、細心の注意を払って運用していこうと考えています。

6.成長戦略概要②

自動車ローンについて、もう少し詳しく説明させていただきます。スライドの左側の棒グラフの一番右をご覧ください。2020年3月期上期を濃い赤色にして、さらに通期見込みもお示ししています。上期で3,667件の新規契約を行っており、月間で600件のペースで成長しています。

貿易部門である(株)日貿の年間販売台数からしても、拡大余地は十分あります。ただし、今後のニュージーランド市場の事業環境を勘案し、コンプライアンスの徹底と確保をあわせ、債権ポートフォリオの管理の維持、強化に重点を置きながら成長させていきたいと考えております。

6.成長戦略概要③

成長戦略における新市場についてですが、先ほども説明させていただきましたとおり、オーストラリアでも事業展開しています。OzCar社をビジネスパートナーとして、オーストラリア市場での中古車関連事業への参入、拡大を継続検討していきます。

オーストラリア市場は、当社グループがこれまで事業を展開してきたニュージーランドと比べて5倍以上の規模の市場です。移民の影響もあって、年間で約40万人も人口が増加していく、いわゆる成長する先進国です。

2017年末までにすべての製造メーカーが撤退したことから、ニュージーランドと同様、自動車の「純輸入国」となっています。ニュージーランドのスケールを大きくした市場とご理解いただければと思います。共通するところは、自動車が移動のための必需品であることで、ここが当社グループにとって最大の着目点になります。

スライドの下段に規制についても書かせていただいていますが、こうして規制に守られたマーケットで、30年ぶりに法制度が大幅に改正されています。

中古車の輸入に関して「台数」「プロセス」「車種」の3領域で変更がありますが、まだ十分な規制緩和には至っていません。このような規制で守られてきたマーケットではありますが、当社グループにとっての事業展開の可能性がたくさん見えますので、そこに着目しています。

OzCar社という会社は、これまで品質にこだわった商品づくりと店舗展開を行ってきています。当社グループと非常に共通した理念を持っており、同じような価値観を持った会社です。現地の優良な会社をビジネスパートナーにして、しっかりとしたビジネスモデルをオーストラリアで作り上げたいと考えております。また将来的には、ここを軸に日本からも自動車を供給していきたいとも考えております。

現在OzCar社は8店舗持っていますが、これを20店舗に増やしていく計画で、当社グループはこれに協力していきたいと考えております。当社グループが協力することでOzCar社の規模を拡大させ、当社グループのノウハウに基づくバリューチェーンとの相乗効果を図っていきます。

例えば、商品の流通、仕入、販売のところで協力したり、物流、検査、サービスのノウハウを提供していきたいと考えております。店舗展開に協力することによって、オーストラリアでのビジネスモデルを作ってまいります。

そして、ニュージーランドと同様にCASEの「S」と「E」、サブスクリプションやEVにも力を入れて、このマーケットで成長していきたいと考えております。

以上で、ご説明を終わらせていただきます。ご清聴いただき、誠にありがとうございました。

記事提供: