「世にあふれる『母親像』ってやつにもイライラさせられましたね。具体的には、『授乳はやっぱりミルクより母乳でないと』といったような母乳信仰とか、『外で働きたいというママは勝手』『夫が子どもを世話するのはすごいこと』という性別役割分業などの価値観、でしょうか。」

Fさんが育児を始めてから驚いたのは、周囲が「良い母親」を強く求めてくること。Fさんは続けます。「家庭を大事に思うママほど、こうした価値観を前にすると、自分のやりたいことを後回しにするようになるんじゃないかと思ってます。そして、この後回し思考が習慣化すると、『自分自身を大切に』という考えも失いがちになるような気がします。

『子どものため』と自分を抑圧したストレスが、結果的に一番近くにいる子どもに強く当たってしまう原因になる、ということもありますよね。だから、周りの意見に影響されて『本当はこうあるべきなのに私は…』と罪悪感を背負う必要はないんじゃないでしょうか。だって、ママが笑顔でいるのが、家庭にとって一番大切なことでしょう?」

まとめ

最後に、Fさんに、今小さなお子さんを抱えて育児を頑張っているママへのメッセージを伺いました。「育児に総じていえることですが、複雑な感情や葛藤に胸をかき回されるのも、慣れていないだけだからだと思います。自分を責める必要はないのではないでしょうか。ママだって人間。いつでも優しく笑顔でなんていられるわけではありませんもの。

うちも子どもが大きいですが、末の子が高校生で、まだまだ『育児』は続きます。お互い、その時その時の状況に少しずつ慣れていくくらいで、ちょうどいいのではないでしょうか。」

LIMO編集部