2019年11月15日に行われた、株式会社マイネット2019年12月期第3四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。IR資料

スピーカー:株式会社マイネット 代表取締役社長 上原仁 氏

2019年12月期第3四半期決算説明会

皆様、こんにちは。本日はお越しいただきありがとうございます。前回(8月中旬)に開催しました決算説明会の場で、当社の市場の見立て、ここからのアクションについて大きな転換のタイミングであるとお伝えいたしました。

スマートフォンゲームの市場が天井を打っていると言われ始めてかれこれ2、3年たちます。その中でも、当社のようなセカンダリー事業者は、まだまだ伸びしろがあるという前提を持って動いておりました。

その速度が、これまでと同様の月に1本タイトルを仕入れるペースで進めるべき環境ではないということを認識しつつも、月1ペースで仕入れるために、赤字のタイトルを買ってきて黒字に直すというチャレンジをしておりました。しかしながら、月1ペースには届きませんでした。そのため、赤字のタイトルを買ってきて黒字にするという動きではなく、トントンないし黒字のものをより長く運営していくというところに当社の強みがあると再定義をいたしました。

獲得速度の再定義を、当社の中では「転換点」と呼び、今後、持続的な利益体質を作っていくための体制に切り替えることを宣言させていただいたのが前回の説明会でございました。

しっかりと準備をしていたこともございますが、この3か月で、おおよそ、最初の体質改善の手術を済ませるにいたりました。やることをやりました。

この手術のあとは、縫合をしなくてはいけなかったり、ある程度リハビリをしなくてはいけなかったりします。その期間が、今回の第3クォーターと次の第4クォーターになると考えています。

その後の2020年以降については、しっかり筋肉質で、黒字つまり営業利益を稼ぐ、そしてその営業利益を伸ばしてまいります。

その算段がつき始めたのが、本日、皆様にお伝えできるメインコンテンツになります。前半でその転換点のアクションについての進捗状況をお話させていただき、中盤から、この第3クォーター、すなわち手術中の期間の業績をお伝えいたします。

ただ、特に皆様にお伝えしたい本日のメインメッセージは、転換点、リカバリープランが順調に進んでいるということです。それでは、お話をスタートしたいと思います。

転換点 リカバリープランは着実に進行

リカバリープランの進捗、決算概要、事業戦略と進捗です。まず、「転換点 リカバリープラン」については、着実に進行している状況です。前回の説明会で発表しましたリカバリープランは、私たちの得意領域にフォーカスをして、得意なものを獲得していくための体制、そして得意なものをしっかり利益化していく体制です。

結果として持続的な利益体質を手にしていくというアクションプラン、こちらの状態については、大変順調に進んでおり、早期に黒字化をするべく事業の構造改革を進めている状況です。

各リカバリーアクションの評価

具体的に評価表でお示しさせていただきました。大きくは5つに区分して、転換についてお話しいたしました。

まず1つ目。当社の元来の得意技でありますデータドリブンスマート運営、ここに絞って、それ以外のものについては、一旦切除するというアクションをしている期間です。タイトル運営のマネジメントも新たに刷新をして、効果検証済みのRPAやデータドリブンの運営の方法を、再度徹底的に全社に注入・投入しているところです。

今後、ここから漏れるような、当社が再現性をもたらすことができないようなタイトル、つまり赤字のものを買ってきて黒字にすることについては、悔しいながら、まだ我々は再現させることができないという判断のもと、そこの部分については終了させて、データドリブンスマート運営で実現可能な利益化にフォーカスをするということを進めてまいります。

こちらについて、着々とこの3か月、すでに新体制及び新たな予実マネジメントをスタートして、着実に立ち上がっている状況です。

2つ目、獲得についてです。そんな中ではありますが、あくまで止めるのは苦手のものを止めるのであって、得意のものはこれまでと同様しっかり進めていきます。

幸い、これまで獲得の交渉をしておりました案件、gloopsさんのブラウザゲーム事業の大きな2タイトルについて、買収に向けた基本合意書の締結をネクソン社と行うことができました。12月1日から収益帰属の予定で、今最終の詰めをしている途中です。

こちらは発表時にも記載したとおり、直近12か月の売上高で30億円、営業利益で7億円という業績に大きなインパクトを与え得る規模の獲得をすることができたのが、今回「◎」をつけさせていただいたこの四半期間のアクション、成果です。

そして3つ目、構造改革。こちらはたいへん痛みを伴うものですが、タイトル及び間接雇用を中心に、人員についての削減を今回アクションとして取っています。赤字のタイトルを買い取って赤字を転換するということは、現在再現できないというように判断をして、赤字4タイトルの年内エンディングを決定いたしました。

それに伴う人員数については、今回第3クォーターで21名減少。そこから第4クォーター、次の第1クォーターにも減少させて真の筋肉質の体にし、当社の得意領域にフォーカスして、利益を出せる体制に変革しております。

これらについては大変厳しいアクションではあるのですが、極めて短時間に実行するということを進めており、年内にはおおよそ、すべてのアクションが終了する予定です。下半期の半年以内に、手術等リハビリをすべて終えて、来年2020年からはしっかりV字回復していけるような構造改革を進めて、しっかり「○」をつけられる進行状態です。

続いて、アップサイドである新たなアクションの部分です。クラウドゲームとAI事業を挙げさせていただいております。いずれも、着手を始めているということは、転換点以前から当社が発表させていただいておりましたが、こちらをより具体的なアクションとして進行することができた四半期になっています。

クラウドゲームについては、2020年春のローンチに向けて視聴者参加型ゲームの開発を進めています。アライアンス方式でしっかりと収益が立つ形の活動として進めております。

続いて、AIです。こちらについては2年ほど、当社はAI注力ですということを申し上げています。これまで当社の中で30名ほどいるAIエンジニアやデータサイエンティストのメンバーたちを、社内の事業に注力をさせて鍛えていたのですが、そこで開発できたAIや、そこで伸ばすことができた人材を社外に対してソリューション提供することをスタートいたしました。

この四半期で立ち上げて1か月半ほどで、早速1社の契約を締結させていただくなど市場のニーズが大変高いということもあるのですが、大変順調にこの事業は立ち上がり始めています。

データドリブンマネジメントのコンサルティングから入り、その後AIの開発や純粋なAIのPoC案件の受注など、大変単価の高い事業として立ち上げることができてきています。こちらがアップサイドとして今後育てていく部分です。

総論として、この四半期で進めてきた転換点「リカバリープラン」については、順調と言える状況です。

コスト削減効果

なお、その中でも特に構造改革のコスト削減の部分、こちらについては、コスト合算で来年1月までの6か月間の間に、23%削減を見通せる状況になっております。こちらについては、市場環境の転換であると、当社の戦略の転換であるというふうに意思決定した以上は、最速でやり切るということを強い意思を持って進めています。

実際、その計画まで立てることができて6か月で23%減を実現できそうな状況です。そして年内に、この構造改革を完了させて、来期、黒字でしっかり利益を積み上げていける状態にしていきたいと思います。

このゲームサービスという事業のあり方、業を創っていくという当社のあり方そのものは変わることはありません。ただ、赤字を買ってきて黒字にするということを切除するのみであって、当社が得意とするデータドリブンによる持続的利益体質の追求については、これまでと同様に、ゲーム業界に向けて、提供していきたいと考えています。

ロードマップ

これらに加えて、AI・クラウドゲーム等の新領域を新たな収益源にしていくことが、ここから未来に向かっていく上での当社の動き方です。

まず、ここまでがリカバリープランについて、順調に進行しているというご報告です。

第3四半期ハイライト(経営)

続いて、決算の概要です。第3クォーターについての状況です。まず、業績です。今回切除をすることを決めた赤字タイトルが、このクォーターについては、やはりまだまだ営業利益を圧迫しており、前四半期比で減益となりました。

今後、先ほど申し上げたリカバリープランを進行して、第4クォーター以降に利益改善していきます。第3クォーターから第4クォーターに向けてV字回復が始まるぐらいの状況になることを想定しています。

次に財務です。後程お話しをする特別損失を出させていただいていることなどもあり、自己資本比率は40%を下回りましたが、まだまだ財務体質としては十分な状態です。現預金も潤沢です。

最後に組織です。構造改革に伴って人員構成の最適化を実施しています。サイズとしては、会社としての席の数を全体の25%減らす形になっています。大変厳しいアクションですが、しっかりこれまで一緒に活動してくれた間接・直接雇用のメンバーをしっかり手厚く送り出す形をとりながら、中に残って席に座る人間たちで、しっかりとここからの成長を作っていくアクションをとっています。

第3四半期ハイライト(事業)

次に事業です。仕入については、8月に1タイトル、比較的規模の大きな案件を仕入れており、運営タイトル数は9月末時点で37となっています。

サービスの運営です。当社のもともとの競争力である、AI・RPA・データドリブンに徹底的に注入することについては、従前と変わらず進行しています。それによって、AIスタジオ下の5タイトルがRPAによって長寿化している状況です。

そして、PARADE商品。こちらも当社の競争力です。デッキ分析・相互送客・イラストアセットと、当社ではデータ・スマート・シェアリングというキーワードで競争力を意味付けています。そのデータ・スマート・シェアリングを各タイトルに注入して成功を再現させ、収益化を進めています。それがしっかりと功を奏して、今回このクォーターの間でも1.68億円の利益に貢献している状況です。

売上高推移(四半期)

売上高は、おおよそ横ばいです。既存タイトルが逓減しながら、1タイトルの仕入れによって取り戻したという状況です。

転換点として、赤字のものを切除している中ではあるのですが、第3クォーター、第4クォーターと積み増すものは積み増すので、そこまで一気にトップラインが崩れるという計画にはなっていません。

EBITDA・営業利益推移(四半期)

なお、手術をする期間であった第3クォーターの利益に関しては、前回よりも減益という状態です。この2019年第3クォーターをボトムとして反転攻勢に向かっていきます。

営業利益増減分析(四半期・連結)

ウォーターフォールです。既存の赤字タイトルが営業利益を圧迫したというのはありますが、徹底したコスト削減を実施しており、ここからは増益を目指していきます。

損益計算書(四半期・連結)

PLです。構造改革で意思決定をしましたので、その4タイトルを中心にエンディングタイトルの減損をし、再就職支援金が発生しますので、特別損失として、計上させていただいております。

第3クォーターの間に血を出し切るということをしにいった結果、親会社株主に帰属する当期純利益はマイナス5.65億円という値となりました。ここから、ここを底に、しっかり反転攻勢していくという強い意思を持って経営陣・メンバー一丸となって進んでいます。

費用推移(四半期・連結)

次に、費用構造です。ここにすでに現れているものとしては、さほど大きな変化はございません。第4クォーター以降、人件費や外注人件費を中心に、圧縮していく時期に入ります。

広告宣伝費のパーセントの値が少し上がっていますが、これは転換点のアクションを意思決定するにいたった非公開の大きな案件があり、そこで大きめのプロモーションコストを使ったことが要因ですので、第4クォーターには、減少する予定です。そこでかけた投資を回収することは困難であると判断したことも、今回転換点に意思決定をした背景となっています。

貸借対照表(四半期・連結)

BSです。特別損失がありましたので、少し自己資本比率が下がっていますが、全体としてはまだまだ綺麗なBSです。

投資回収の実績(タイトル買取)

続きまして、投資回収です。タイトルごとの投資回収に関してですが、2014、2015、2016年はもうすでにすべて回収できています。2017年に関しては、期待値ギャップのあるタイトルの仕入れがあってかなり厳しい状況となりました。仕入れの方法を改善して、その後2018年についてはまだ少しビハインドしていますが、着実に回収を進めています。

ただし、2019年は、先ほど申し上げた赤字タイトルの買い取りが、全体をかなり圧迫するにいたってしまったということが、このグラフから見てとることができます。それをもう再現しないと意思決定したのが転換点です。

投資回収の実績(企業買収)

なお、企業買収型の事案については、それぞれ着実に良い成果を出しております。ポケラボ社のタイトルについては、回収は済んでおり、今なお月々キャッシュを回収することができている状態です。

クルーズのタイトルについては、悔しいことに昨年セキュリティインシデントがあって少し足が止まっています。しかしながら、これも時間をかけて回収していくという意思を持っています。

その中でも昨年の4月に買収したグラニのゲーム事業については、極めて順調な回収状態です。1年半ほどで、投資額回収まであと少しという状況です。

先般発表させていただいたgloopssの事業は、実はグラニのゲーム事業と大変酷似しています。これは、タイトルの規模感や、タイトルのタイプなどが大変酷似しているので、このときの成功を再現することができるのではないかと考えております。

従業員数推移(四半期・雇用形態別)

人員数については、第2クォーターから第3クォーターに向けて、まずは減少でスタートしました。ここから2四半期は抑え込む形になって、その後は横ばいで、その後に再度回復・再成長していくということを目論んでおります。一旦は25%減ぐらいになる見通しです。

業を創る

事業戦略と進捗です。当社が目指しているのは、業を創ることです。ゲームサービス業を、ゲーム産業の中にしっかりとなくてはならないものとして位置づけることを目指して事業を営んでおります。

ゲームサービス業という業態。これは何によるものかというと、元来インターネット由来のオンライン企業である当社が、オンライン時代の原則であるところのデータ・スマート・シェアリング。つまり、データドリブンでの運営、スマート運営、ネットワークを介するシェアリングという3概念を、競争力・強みとしてゲーム産業に注入し、ゲームサービス業というものを成立させてまいります。

 

これが、当社の考えるゲームサービス業のあり方です。これを改めて、競争力に根差した成果の出し方を磨き上げて、長期利益構造を実現していくということを目指しています。

【仕入】タイトル仕入・開発とエンディング

現在、確実に利益を見込めるタイトルの仕入れを実行中です。他社だとトントンぐらいになりそうでも、当社だと利益を出して長期化できるというのが強みです。利益化して長く運営するということを重ねていきたいと考えており、そのようなタイトルの獲得を進めていこうと考えております。

この第3クォーターは、1タイトルを仕入れ、1タイトルをエンディングしました。第4クォーターにエンディングする3タイトルは、赤字のタイトルを買ってきて黒字にしようとしましたが難しいと判断したタイトルに当たります。

【バリューアップ・安定化】PARADE商品の貢献利益

そして、PARADE商品。こちらはこれまでもご説明しているものです。グロスUP(売上高のアップ)とコストの圧縮、これらを再現できるようなモジュールを社内で開発をして、37タイトル全体に共有・注入をしています。その商品の注入によって成立している貢献利益が1.68億円です。

マイネットの本質的な強みであるデータ・スマート・シェアリングを活用した具体的な収益化のためのモジュールというものを持っているということであり、当社の本質的な強みに当たります。ここについては、これからも変わることなく磨いてまいります。

【バリューアップ・安定化】RPAの導入

そして、RPAです。こちらも発表して半年ほど経ちますが、導入によってタイトルの長寿化が進んでいます。

【長期運営】Northスタジオによる運営

Northスタジオ(札幌のスタジオ)では、さらなるデータドリブン(RPA化)を進めており、札幌での運営を長期化・延長することを、6つのタイトルで実現できています。

PARADE商品、RPA、そして札幌のNorthスタジオ。他社だと終わってしまうタイトルに関して、当社はこれらの3つの武器により、そのあと3年も5年も続けることができるということが中核の競争力に当たります。ここを磨きながら今後もしっかりと業績回復をさせていく考えです。

2019年12月期 連結業績予想

下半期及び通期の業績予想は据え置きとしておりますので、下半期累計に対して、第3クォーターの値の差分が第4クォーターの見通しです。

中長期の事業の考え方

中長期については、現在スマホゲームのマーケットにおいてゲームサービス業をやるということを強い意思を持って進めています。

ここからの未来、100年の会社を元来より標榜しています当社マイネットは、コミュニティとAIをドメインとして設定しています。100年の会社として、これから時代が変遷したとしても重要となってくるコミュニティ×AIの領域というドメインにおいて、新たに生まれてくる市場で当社のバリューを出していくということを意図しています。

それまでの間には、クラウドゲームを新たな市場として見通していますので、投資を始めています。また、当社のコミュニティバランスを取るためのAIやデータドリブンのフレームワークの外販も進めていきます。

中長期においては、このコミュニティ×AIをドメインにして、時代の変遷とともに新たな市場を獲得しながら100年の会社を目指してまいります。これがマイネットの基本的な中長期の考え方です。

本日、主には冒頭のところがメインでした。「転換点 リカバリープラン」に関しては、大変痛みを伴うアクションですが、やると決めた以上は強い意思を持って最速で進めており、着実に進行できているということを、皆様にお伝えするというのが、本日のメインコンテンツです。

第4クォーター以降、2020年に向かってしっかりとV字回復の成果を皆様にお示しできるように、進めてまいります。ここからもぜひ、我々のことをご覧いただければ嬉しく思います。ご清聴いただきましてありがとうございました。

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