レビュー:金価格が上昇した1週間
先週(5月2日‐5月6日)の株式市場は、ベトナム、オーストラリアを除き多くの市場で下落しました。
発表された主要国の経済指標は、米国は堅調、欧州・中国はやや足踏みというこれまでのトレンドに沿った内容が続きました。この中で最大の注目材料は米国の4月の雇用統計でしたが、時給の増加率が高まる一方、雇用者数の増加ペースが鈍るという内容でした。
米国景気が相対的にはしっかりしていることから、先々週に急落したドルは対円、対ユーロで下げ止まりました。その一方で原油を始めとした資源価格が下がり、欧州を中心に長期金利が低下しました。株価も、米国が小幅安、日欧は▲2~▲3%の下落となりました。ブラジルや香港の株式が大きく下げています。
このように、米国の利上げが早まるという観測は強まっていませんが、米株がこれを材料として上昇する展開にはなりませんでした。むしろ、足踏みする世界の景気への警戒感が米国以外の株価の下落につながっているようです。
個別株を見ても、米国の大手ネット企業の株価は堅調でしたが、資源、金融、資本財の株価は軟調です。こうした中で金価格の価格が上昇したことが印象的でした。
注:現地通貨ベース、為替は円安が+、円高が‐表示
注:現地通貨ベース、為替は円安が+、円高が‐表示
アウトルック: もみ合いの展開か
今週(5月9日‐5月13日)は先週の流れを引き継ぎ、もみ合いになりそうです。
5月8日に発表された中国の貿易統計は、輸出が2か月連続増加、輸入が18か月連続減少という内容で、総じて市場には中立的と思われる内容です。月末にはG7伊勢志摩サミットを控えますが、主要国が協調して景気対策を強力に打ち出すほどの切迫感は生まれていないと思われます。
欧州の1‐3月GDP改定値、米国の4月の小売売上高、中国の4月固定資産投資や鉱工業政策小売売上高などが、景況感の改善ないし催促相場のきっかけになるか注目です。
日本ではトヨタを始め主力企業の決算が続々と発表される予定で、日本株は神経質な展開が続きそうです。
【2016年5月8日 投信1編集部】
■参考記事■
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LIMO編集部