シリーズでお伝えしている「年代別投資経験」。金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](平成30年)」をもとに「年代別の投資経験」を見ていきましょう。今回は60代(二人以上世帯)です。
60代(二人以上世帯)の元本割れの経験は?
「元本割れ」はできれば経験したくないですが、投資をする上ではそのようなリスクがあることは把握しておく必要があります。
60代(二人以上世帯)の「元本割れの経験」については下記の通りです。
元本割れの経験がある・・・29.2%
元本割れの経験がない・・・64.1%
無回答・・・6.7%
60代で元本割れの経験をしている世帯は、3割ほどのようです。以下では金融資産がどのくらい増えた・減ったのか、その要因についてどのように受け止めているのかを見ていきます。
60代(二人以上世帯)の金融資産はどのくらい増えている?
60代(二人以上世帯)の金融商品保有額(2018年、金融資産保有世帯)の平均値は2,415万円、中央値(データを大きい・小さい順に並べたときに真ん中にくる数値)は1,500万円となっています。
金融資産残高の1年前との増減比較(金融資産保有世帯)は以下の通りです。
増えた・・・19.1%(増えた割合1.8%)
変わらない・・・43.6%
減った・・・33.7%(減った割合2.0%)
無回答・・・3.6%
「増えた」と回答した人の「増加した理由」(複数回答)は
1位・・・定例的な収入が増加したから(27.6%)
2位・・・定例的な収入から貯蓄する割合を引き上げたから(26.0%)
3位・・・相続、退職金等による臨時収入があったから(21.3%)
となっています。
また「減った」と回答した人の「減少した理由」(複数回答)は
1位・・・定例的な収入が減ったので金融資産を取り崩したから(52.7%)
2位・・・耐久消費財(自動車、家具、家電等)購入費用の支出があったから(31.7%)
3位・・・その他(25.9%)、こどもの教育費用・結婚費用の支出があったから(17.0%)
となっています。60代は、定年退職を迎える人も出てくる年代のため、収入の減少を理由に挙げる人が多かったようです。
60代(二人以上世帯)の金融資産目標残高(平均)はいくら?
60代(二人以上世帯、金融資産保有世帯)の金融資産の保有目的(3つまで複数回答)は
1位・・・老後の生活資金(80.8%)
2位・・・病気や不時の災害への備え(67.5%)
3位・・・とくに目的はないが、金融資産を保有していれば安心(23.5%)
となっています。60代になると、多くの人が老後を意識して貯蓄に励むようです。
その目標残高(平均)は、2,612万円となっています。
まとめにかえて
投資について、周囲に気軽に聞くのは憚られることが多いのではないでしょうか。年功序列型の企業が多い日本では、年代により収入に傾向があらわれます。これに伴い、貯蓄方法や投資の傾向・経験も異なってきます。
このようなデータを参考に、自身の投資方法や資産形成を見直してみるのはいかがでしょうか。
【ご参考】貯蓄とは
総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。
【ご注意】
ここでいう「金融資産」とは、家計が保有する金融商品のうち、貴金属や現金、事業のために保有している金融商品、預貯金のうち日常的な出し入れや引落しなど生活費に対応する部分を除いた「運用のため、または将来に備えて保有している部分」となっています。
これに対して「金融商品保有額」とは、上記に加えて「運用目的ではない預貯金(日常的な出し入れや引落しなど生活費に対応する部分)」を含んでいます。
また、「金融資産を保有していない世帯」とは、預貯金や株式などの金融商品を保有していない世帯と、預貯金のみは保有しているがそのうち「運用または将来の備え」がゼロの世帯を指します。
LIMO編集部