生活保護は、申請してから決定まで何日かかるのでしょうか。ケガや病気で急に働けなくなり収入が途絶えたとき、生活保護の申請から決定までのあいだの生活費をどうするかは切実な問題です。
行政の現場を取材してきた立場から見ると、生活保護では「いつ決定されるか」と同じくらい「いつ申請したか」が大切です。ここでは、生活保護法と厚生労働省の実施要領で、決定までの日数と保護が始まる日を確かめます。
あわせて、埼玉県熊谷市に住む50代の単身者がケガで収入を失った場合を例に、令和8年10月からの基準で、申請した月の保護費を日割りで試算します。決定前に使える急迫保護と、社会福祉協議会の緊急小口資金も比べます。
※最低生活費は、厚生労働省「生活保護制度における生活扶助基準額の算出方法(令和8年10月)」の2級地-1の基準額と、埼玉県「住宅扶助基準額(生活保護法)」の2級地の上限額をもとにしています。50代は、厚生労働省「被保護者調査(令和6年度)」で「傷病による」保護開始が最も多かった世帯主の年齢階級(50〜59歳)です。
1. 生活保護の申請から決定までは何日?原則14日以内に書面で通知され、特別な理由があれば最長30日
生活保護の申請から決定までの日数は、生活保護法第24条で決まっています。福祉事務所は、保護をするかどうかと、その種類・程度・方法を決め、申請した人に書面で通知します。通知には決定の理由が付きます。
- 【原則】申請のあった日から14日以内に通知する
- 【延長】扶養義務者の資産や収入の調査に日時を要する場合など、特別な理由があるときは30日まで延ばせる
- 【延びたとき】14日を過ぎて通知するときは、その理由が通知の書面に書かれる
- 【30日たっても通知がないとき】申請した人は、申請が却下されたものとみなすことができる
厚生労働省「「生活保護制度」に関するQ&A」では、生活状況の調査や、預貯金・生命保険などの資産調査を行ったうえで、原則14日以内(調査に日時を要する特別な理由がある場合は最長30日)に、受給できるかどうかを回答するとしています。
厚生労働省「被保護者調査(令和6年度確定値)」によると、令和6年度の1か月平均で、保護の申請は2万1626件、保護の開始は1万9045世帯でした。
2. 生活保護は申請日にさかのぼる?決定が後になっても、保護は原則として申請日以降の保護が必要と判定された日から始まる
生活保護は、決定した日から始まるわけではありません。厚生労働省「生活保護法による保護の実施要領について」(局長通知)では、保護の開始時期は、急迫保護の場合を除き、原則として申請のあった日以降で、保護が必要な状態(要保護状態)と判定された日としています。
申請した日にすでに保護が必要な状態であれば、その日から保護が始まります。決定が申請から14日後でも30日後でも、決定までの分を含めて計算されます。
月の途中から始まるときは、その月の保護費は日割りになります。同じ通知の取扱い(課長通知)では、最低生活費を日割りで計算するときは30日を分母とするのが原則で、その月の実際の日数によるのが適当な場合は実日数によるとしています。
- 【生活扶助】月額の基準額を日割りで計上する
- 【住宅扶助(家賃)】日割りの額が基本。日割りの額を超える家賃が必要なときは、1か月分の基準額の範囲内で認定してよい(局長通知)
なお、申請したときに手持ちの現金や預金がある場合は、その扱いによって最初の月の保護費が変わることがあります。
ここまでで、申請から決定までの日数と、保護が始まる日を見てきました。
ここからは、決定までの分の保護費の試算と、決定を待てないときを見ていきます。