年金を受け取る年齢が近づくと、自分はどのくらい受け取れるのかが気になってくるでしょう。すでに受け取っている人全体の平均だけでなく、最近になって受け取る権利を得た人の平均も、ひとつの目安になります。
厚生労働省年金局が令和7年12月に公表した令和6年度の事業の概況には、その年度に新たに年金の受給権を得た人(新規裁定)について、人数と平均年金月額が年度ごとにまとめられています。
新規裁定の数字は、受け取っている人全体の平均とは別に集計されています。令和2年度からの5年度分が並んでいるので、年度ごとの動きもつかめます。
本記事では、厚生年金と国民年金の新規裁定の平均年金月額を、令和2年度から令和6年度まで一覧表で確かめます。受給権者と受給者の人数もあわせて紹介します。
記事の後半では、新規裁定の数字を読むときに知っておきたい言葉の意味と、自分の見込額を確かめる方法を紹介します。
1. 【公的年金の仕組み】国民年金と厚生年金の2階建て
まずは公的年金がどんな形になっているのかを整理しておきましょう。
1.1 1階は国民年金、2階は厚生年金
日本年金機構によると、日本の公的年金は2階建ての形をしています。1階にあたるのが、20歳以上60歳未満の人が加入する国民年金(基礎年金)です。2階にあたるのが、会社員や公務員などが加入する厚生年金保険です。
国民年金の加入者は、働き方などによって3つに分かれます。
- 第1号被保険者:自営業者や農業者、学生、無職の人など
- 第2号被保険者:会社員や公務員など(国民年金と厚生年金保険の両方に加入)
- 第3号被保険者:第2号被保険者に扶養されている配偶者で、国内に住んでいる人など
会社員や公務員として働いた期間がある人は、その間、1階と2階の両方に加入していたことになります。
1.2 老齢基礎年金と老齢厚生年金は、原則65歳から
老後に受け取る年金は、1階の老齢基礎年金と、2階の老齢厚生年金です。受給資格期間(保険料を納付した期間と、免除を受けた期間などの合計)が10年以上ある人は、65歳になると老齢基礎年金を受け取れます。
老齢厚生年金は、老齢基礎年金を受け取れる人に厚生年金に加入していた期間があるときに、上乗せして受け取る年金です。金額は、加入していたときの報酬額や加入期間などによって決まります。
どちらも、60歳から65歳になるまでに早めて受け取る「繰上げ受給」と、66歳から75歳までに遅らせて受け取る「繰下げ受給」を選べます。
2. 【新しく年金を受け取る人の平均年金月額一覧表】令和6年度は厚生年金が月9万7967円、国民年金が月5万6374円。
ここでの厚生年金は、厚生年金保険(第1号)の老齢年金で、平均年金月額には基礎年金の月額が含まれています。国民年金は、受給資格期間を原則として25年以上持つ人の老齢年金のうち、新規裁定の人の平均年金月額です。
なお、新規裁定の平均年金月額は、「その年度に新しく年金を受け取る権利を得た人」の平均です。65歳になる前に受け取り始める年金の人も含まれるため、65歳以降に受け取る年金額の平均とは別の数字として読みたいところです。
2.1 厚生年金保険(第1号)の新規裁定の平均年金月額一覧表(令和2年度から令和6年度)
- 令和2年度:月8万3956円(受給権者52.4万人)
- 令和3年度:月8万9036円(受給権者53.9万人)
- 令和4年度:月8万3063円(受給権者31.6万人)
- 令和5年度:月8万6984円(受給権者57.4万人)
- 令和6年度:月9万7967円(受給権者56.7万人)
令和6年度の新規裁定の受給権者は56.7万人で、平均年金月額は9万7967円でした。このうち受給者は51.5万人で、平均年金月額は9万6276円です。「その年度に新しく年金を受け取る権利を得た人」の平均のため、65歳になる前に受け取り始める特別支給の老齢厚生年金や、繰上げ受給・繰下げ受給の人なども含まれると考えられ、65歳から受け取る年金額の平均とは異なります。
2.2 国民年金の新規裁定の平均年金月額一覧表(令和2年度から令和6年度)
- 令和2年度:月5万4410円
- 令和3年度:月5万4040円
- 令和4年度:月5万3615円
- 令和5年度:月5万5252円
- 令和6年度:月5万6374円
国民年金の新規裁定の平均年金月額は、令和6年度で5万6374円でした。令和6年度末現在の老齢年金(25年以上)の受給者全体の平均年金月額は、5万9431円です。
近い時期に受給権を得た人の平均は、ひとつの手がかりになるでしょう。ただし、実際には加入期間や働き方は人によって違うので個人差があります。
国民年金の数字は、受給者の平均年金月額の表の新規裁定の値で、老齢基礎年金にあたる金額です。
基礎年金を含む厚生年金の数字とは中身が違います。2つの一覧表は、そのまま並べて比べずに、それぞれの目安として読みたいところです。わが家に近いのはどちらの数字かを考えながら見ていくと、読みやすくなるでしょう。