6. 【シチュエーション別】新NISAの上限に対するスタンスを解説

新NISAの上限に対する考え方は、投資できる金額や家計の状況によって異なります。いくつかのシチュエーションに分けて整理してみましょう。

6.1 新NISAを始めたばかりの方の場合

投資を始めたばかりの場合は、年間360万円や生涯1800万円という上限を、最初から使い切る必要はありません。毎月の収支を確認し、生活費や近い将来に使う資金を除いたうえで、投資に回せる金額を考えましょう。

たとえば、月3万円を投資した場合、年間投資額は36万円です。

  • 計算式:3万円×12カ月=36万円

「まだ投資できる余力がある」と感じる場合は、4万円、5万円と次第に積立額を増やすことも視野に入ってきます。一方「生活が厳しい」と感じるのであれば、一時的に積立額を減らすのも選択肢のひとつです。

このように、まずは自分の家計に合った金額から始めていくことを検討してみてください。

6.2 まとまった資金がある方の場合

ボーナスや退職金などのまとまった余裕資金がある場合は、つみたて投資枠と成長投資枠を併用し、年間最大360万円を利用する選択肢も考えられます。

毎年360万円を投資すると、最短5年で非課税保有限度額1800万円に達します。

  • 1800万円÷360万円=5年

ただし、短期間に多額の資金を投資すると、購入後の価格変動による影響も大きくなる可能性があるため、注意が必要です。一度に資金をまとめて投資する場合と、長期的に少額を積み立てていく場合のどちらが適しているかは、運用期間や価格変動リスクへの許容度などによって異なります。投資計画や目的を今一度確かめて、運用方針を決めましょう。

6.3 非課税保有限度額に近づいている場合

投資を続けてきて、非課税保有限度額に近づいてきた場合は、現在の利用金額や各枠の内訳を確認しましょう。前述のとおり、非課税保有限度額は保有商品の評価額ではなく、取得価額をもとに枠が管理されます。また、売却すれば取得価額分の枠を翌年以降に再利用できます。

ただし、枠を空けることを目的に売却する必要はありません。あくまでも保有商品の値動きや運用方針にもとづき、売却するかどうかを決めましょう。

7. 【FPの視点】新NISAの上限とどう向き合う?判断のポイント

新NISAの上限は、あくまで利用できる最大額です。口座開設者全員が使い切るべき目標ではありません。

年間投資枠や非課税保有限度額を確認する際は、次の点も整理しておきましょう。

  • 毎月の収入と支出
  • 生活費や緊急時に備える資金
  • 教育費や住宅費など、将来必要となる資金
  • 投資に回せる余裕資金
  • 運用する期間
  • 価格が下落した場合に許容できる損失
  • 保有している預貯金や金融資産

たとえば、数年以内に使う予定の資金を投資に回してしまうと、必要な時期に価格が下落し、本来の資金額を下回ってしまう可能性があります。投資期間を長く確保できる資金と、近い将来に使用する資金を分けて考えるのが大切です。

また、「年間投資枠を使い切れないともったいない」と考え、家計に余裕がない状態で投資額を増やすのは避けたいところです。まずは家計が安定するよう支出を見直し、投資は余裕資金で行うようにしましょう。

また、投資にはリスクがあり、元本が保証されるものではありません。値動き次第では、価格が元本を下回ることもあるでしょう。損失リスクをどこまで許容できるのかによって、投資の方針も変わってきます。

新NISAを利用する際は、制度だけでなく、購入する商品の運用方針や価格変動リスク、金融機関ごとにかかる手数料などを確認したうえで始めるようにしましょう。