財務省の財政制度分科会は、2026年11月4日の資料で、医療費の窓口負担について、一定の負担能力がある層を対象に「原則3割」とすることを目指すべきだと提案しました。70歳以上の外来だけにある「外来特例」も、廃止すべきだとしています。

ただし、決まっているのは、見直しの検討と、2026年末までに改革工程表をつくることまでです。「原則3割」や外来特例の廃止は、提案の段階です。

この記事では、外来の医療費が20万円の月を例に、いまのルールでの窓口負担を、69歳以下の会社員、70歳、75歳で比べます。そのうえで、「原則3割・外来特例なし」を仮に当てはめた場合の差を、編集部の試算で示します。

※医療費は、病院が請求する総額です。窓口で払うのは、そのうちの1〜3割です。

1. 医療費20万円の外来、いまのルールの窓口負担は、69歳以下6万円・70歳2万2000円・75歳2万円

比べるのは、会社員の自分(50代)、70歳の父、75歳の母の3人です。同じ月に同じ医療費がかかったと想定し、年齢と割合の違いだけを見ます。

外来の医療費が20万円かかった月の窓口負担は、いまのルールで、自分が6万円、父が2万2000円、母が2万円です。

仮に「原則3割・外来特例なし」になると、父も母も6万円になります。ただし、これは編集部の仮の計算です。

2. 2026年11月、財務省の審議会が「原則3割」を提案。決まっているのは「年末までに工程表をつくる」まで

2.1 提案したのは、財政制度等審議会。財務大臣に意見を出す会議

2026年11月4日の資料は、窓口負担を年齢にかかわらず「原則3割」とすることを目指し、着実に引き上げていくべきだとしています。あわせて、70歳以上だけにある「外来特例」は、廃止すべきだとしています。

外来特例とは、70歳以上の外来の窓口負担に、個人ごとの上限を設ける仕組みです。

2.2 政府が決めているのは、見直しの検討と、工程表の期限

財政審の資料に引用された骨太方針2026は、70歳以上の窓口負担について「見直しを行う」とし、そのための改革工程表を、2026年末までにつくるとしています。

骨太方針の原文は、今回は読めていません。財政審の資料の引用で確認しました。引用部分に「原則3割」の言葉は出てきますが、現役世代の現状の説明です。70歳以上を原則3割にする、とは書かれていません。

2.3 決まったこと、提案、まだ分からないこと

  • 【決まっていること】見直しを行う。工程表を2026年末までにつくる。
  • 【提案の段階】原則3割にする。外来特例を廃止する。
  • 【不明】いつから、誰が、いくらになるのか。年末の工程表で示されるかどうかも、分かりません。

2.4 年末が、ひとつの節目

骨太方針の脚注は、外来特例や所得区分、年齢の引き上げなどについて、令和8年末までに一定の結論を得るとしています(財政審資料の引用)。令和8年は2026年です。

年末の工程表に向けて、報道が増える可能性があります。

ここまでで、提案と決定を整理しました。次に、3人の窓口負担を計算します。

3. 外来の医療費が20万円の月、3人の窓口負担は、いくらになるか

3.1 前提:外来だけ、1人、1か月、一般の所得区分

3人とも、同じ月に外来で医療費20万円がかかったとします。入院はなく、ほかの病院にもかかりません。70歳以上の2人は、一般の所得区分(年収約370万円以下)とし、初診料などの加算は入れていません。

3.2 会社員の自分(50代):6万円

69歳以下は3割なので、20万円の3割で6万円です。一般の区分の高額療養費の上限には届きません。住民税非課税の区分なら、上限に届く場合があります。

3.3 70歳の父:本来は4万円のところ、2万2000円

70歳から74歳は原則2割で、20万円の2割は4万円です。ここに外来特例がかかり、窓口で払うのは2万2000円で止まります。

3.4 75歳の母:2万円

75歳以上は原則1割で、20万円の1割は2万円です。外来特例の上限2万2000円には届きません。

3.5 3人を並べると、こうなる

  • 【自分】6万円
  • 【70歳の父】2万2000円
  • 【75歳の母】2万円

同じ病院代でも、年齢や割合で、これだけ差があります。財務省は、この年齢による差を、見直しの論点にしています。

外来の医療費20万円の月、窓口負担はいくらになるか。自分・70歳の父・75歳の母を、いまのルールで比較1/2

外来の医療費が20万円かかった月の窓口負担を、いまのルールで比べた表。会社員の自分は3割で6万円。70歳の父は2割だが外来特例の上限で止まり2万2000円。75歳の母は1割で2万円。同じ病院代でも年齢と割合で差が出る。

出所:厚生労働省『高額療養費制度の見直し』、財務省 財政制度分科会資料をもとにLIMO編集部が試算して作成

ここまでで、いまのルールでは年齢と割合で窓口負担が変わることを見てきました。

ここからは、いまのルールの中身と、「原則3割・外来特例なし」を仮に当てはめた場合を見ていきます。