退職金を年金で受け取ると月いくらになるのか。大学卒の定年退職で平均「9万6000円」、老後の収入が年200万円の人なら税金は年16万6800円増える試算も 税金のかかり方の違い

執筆者太田 彩子
退職金を年金で受け取ると月いくらになるのか。大学卒の定年退職で平均「9万6000円」、老後の収入が年200万円の人なら税金は年16万6800円増える試算も
aslysun/shutterstock.com
copy URL
目次
[開く]
1. 【企業年金の受け取り方】受給資格があった退職者の65.3%は「全部を一時金」
1.1 3人に2人は全部を一時金で受け取った 1.2 従業員1000人以上の会社では年金を選ぶ人が多め 1.3 業種でも受け取り方は分かれる
2. 【年金で受け取ると月いくら】大学卒の定年退職者は平均「9万6000円」
2.1 退職年金の制度だけがある会社の場合 2.2 一時金の制度と併用する会社では8万2000円 2.3 年金の価値のうち56.5%が一時金に替えられている
3. 一時金は「退職所得」、年金は「雑所得」。税金のかかり方の違い
3.1 一時金は退職所得控除を差し引ける 3.2 年金は公的年金と合わせて毎年課税される 3.3 2026年分の所得税は基礎控除が104万円に
4. 【試算】企業年金を月9万6000円受け取ると税金は年「16万6800円」増える
4.1 企業年金がない場合は住民税だけ 4.2 企業年金が加わると所得は205万2000円に 4.3 企業年金の約14%が税金に
5. 【元公務員の視点】年金で受け取ると保険料の計算にも入る
5.1 企業年金は保険料の所得割に含まれる 5.2 受け取り方を決める前に確かめたい3つのこと
6. まとめにかえて
参考資料

定年を迎えると、退職金を「一時金」でまとめて受け取るか、分けて受け取るかを選ぶ場面があります。企業年金のある会社では、どちらにするかを本人が決められることもあります。

厚生労働省の「就労条件総合調査」(2023年)によると、企業年金を受け取る資格があった退職者のうち、65.3%は全部を一時金で受け取っていました。年金で受け取った場合の月額は、大学卒の定年退職者で平均9万6000円です。

この記事では、企業年金の受け取り方の実態と、一時金と年金で税金のかかり方がどう違うのかを確かめます。公的年金が年200万円の人に企業年金が加わった場合の税金も試算しました。

1. 【企業年金の受け取り方】受給資格があった退職者の65.3%は「全部を一時金」

会社の退職金には、退職時にまとめて支払う「退職一時金」と、何年かに分けて支払う「退職年金」(企業年金)があります。企業年金の規約によっては、年金の一部や全部を一時金に替えて受け取ることもできます。

1.1 3人に2人は全部を一時金で受け取った

就労条件総合調査では、2022年の1年間に勤続20年以上かつ45歳以上で退職し、企業年金を受け取る資格があった人の受け取り方を集計しています。結果は次のとおりです。

  • 年金の全部を一時金として受け取った:65.3%
  • 年金の全部を年金として受け取った:22.3%
  • 一部を一時金、一部を年金として受け取った:12.4%

年金として受け取る部分がある人を合わせても34.7%です。企業年金がある会社でも、3人に2人は全部を一時金で受け取ったことになります。

1.2 従業員1000人以上の会社では年金を選ぶ人が多め

会社の規模別に見ると、全部を年金で受け取った人の割合は、従業員1000人以上の会社で27.5%でした。100〜999人の会社の15.5%と比べると、12ポイントほど高くなっています。

企業年金を受け取る資格があった退職者の受け取り方は、どの規模の会社でも「全部を一時金」が6割前後から7割台を占める1/3

厚生労働省の就労条件総合調査(2023年)による、企業年金を受け取る資格があった退職者の受け取り方を会社の規模別にまとめた一覧表。全体は全部を一時金65.3%、全部を年金22.3%、一部を一時金・一部を年金12.4%。1000人以上は58.3%、27.5%、14.2%。100〜999人は74.5%、15.5%、9.9%。30〜99人は67.9%、19.8%、12.2%

出所:厚生労働省「令和5年就労条件総合調査 退職給付(一時金・年金)の支給実態」をもとにLIMO編集部作成

  • 全体:全部を一時金65.3%、全部を年金22.3%、一部を一時金・一部を年金12.4%
  • 1000人以上:全部を一時金58.3%、全部を年金27.5%、一部を一時金・一部を年金14.2%
  • 100〜999人:全部を一時金74.5%、全部を年金15.5%、一部を一時金・一部を年金9.9%
  • 30〜99人:全部を一時金67.9%、全部を年金19.8%、一部を一時金・一部を年金12.2%

1.3 業種でも受け取り方は分かれる

業種別では、医療、福祉で67.5%、電気・ガス・熱供給・水道業で56.3%の人が全部を年金で受け取っていました。いずれも、全部を一時金で受け取った人より多い業種です。

反対に、不動産業、物品賃貸業では87.9%、宿泊業、飲食サービス業では86.1%が全部を一時金で受け取っています。どちらを選べるかは勤め先の企業年金の規約で決まるため、まずは自分の会社の仕組みを知っておくことが出発点になります。

2. 【年金で受け取ると月いくら】大学卒の定年退職者は平均「9万6000円」
LIMO.mediaをGoogle検索のお気に入りに LIMOをGoogle検索のお気に入りに登録!
詳しくはこちら→
著者
株式会社モニクルリサーチ メディア編集本部
LIMO編集部記者/編集者/元公務員

ニ種外務員資格(証券外務員ニ種)保有。小学校教諭一種免許、幼稚園教諭一種免許、特別支援学校一種免許取得。

京都教育大学卒業。株式会社モニクルリサーチが運営する、くらしとお金の経済メディア「LIMO(リーモ)」のLIMO編集部において、厚生労働省管轄の公的年金制度や貯蓄、社会保障、退職金など、金融の情報を中心に執筆中。大学卒業後は教育関連企業での営業職を経て、2010年に地方自治体の公務員として入職。「国民健康保険」「後期高齢者医療制度」「福祉医療」等の業務に従事した。主に国民健康保険料の賦課、保険料徴収、高額療養費制度などの給付、国民年金や国民健康保険への資格切り替え、補助金申請等の業務を担う。特に退職に伴う年金や保険の切り替えでは、手続きがもれることで不利益を被ることがないよう丁寧な窓口対応を心がけた。その後、保険代理店にてパートとしてマーケティング業務に従事。保険料比較サイトの立ち上げに参加した。乗合保険会社の商品ページだけでなく、保険の知識を普及するためのページ作成にも参加。専門家と実務家が発信する金融経済ニュースサイト『LIMO&ファイナンス』でも記事を執筆している。京都府出身、滋賀県在住。