定年を迎えると、退職金を「一時金」でまとめて受け取るか、分けて受け取るかを選ぶ場面があります。企業年金のある会社では、どちらにするかを本人が決められることもあります。
厚生労働省の「就労条件総合調査」(2023年)によると、企業年金を受け取る資格があった退職者のうち、65.3%は全部を一時金で受け取っていました。年金で受け取った場合の月額は、大学卒の定年退職者で平均9万6000円です。
この記事では、企業年金の受け取り方の実態と、一時金と年金で税金のかかり方がどう違うのかを確かめます。公的年金が年200万円の人に企業年金が加わった場合の税金も試算しました。
1. 【企業年金の受け取り方】受給資格があった退職者の65.3%は「全部を一時金」
会社の退職金には、退職時にまとめて支払う「退職一時金」と、何年かに分けて支払う「退職年金」(企業年金)があります。企業年金の規約によっては、年金の一部や全部を一時金に替えて受け取ることもできます。
1.1 3人に2人は全部を一時金で受け取った
就労条件総合調査では、2022年の1年間に勤続20年以上かつ45歳以上で退職し、企業年金を受け取る資格があった人の受け取り方を集計しています。結果は次のとおりです。
- 年金の全部を一時金として受け取った:65.3%
- 年金の全部を年金として受け取った:22.3%
- 一部を一時金、一部を年金として受け取った:12.4%
年金として受け取る部分がある人を合わせても34.7%です。企業年金がある会社でも、3人に2人は全部を一時金で受け取ったことになります。
1.2 従業員1000人以上の会社では年金を選ぶ人が多め
会社の規模別に見ると、全部を年金で受け取った人の割合は、従業員1000人以上の会社で27.5%でした。100〜999人の会社の15.5%と比べると、12ポイントほど高くなっています。
企業年金を受け取る資格があった退職者の受け取り方は、どの規模の会社でも「全部を一時金」が6割前後から7割台を占める1/3
出所:厚生労働省「令和5年就労条件総合調査 退職給付(一時金・年金)の支給実態」をもとにLIMO編集部作成
- 全体:全部を一時金65.3%、全部を年金22.3%、一部を一時金・一部を年金12.4%
- 1000人以上:全部を一時金58.3%、全部を年金27.5%、一部を一時金・一部を年金14.2%
- 100〜999人:全部を一時金74.5%、全部を年金15.5%、一部を一時金・一部を年金9.9%
- 30〜99人:全部を一時金67.9%、全部を年金19.8%、一部を一時金・一部を年金12.2%
1.3 業種でも受け取り方は分かれる
業種別では、医療、福祉で67.5%、電気・ガス・熱供給・水道業で56.3%の人が全部を年金で受け取っていました。いずれも、全部を一時金で受け取った人より多い業種です。
反対に、不動産業、物品賃貸業では87.9%、宿泊業、飲食サービス業では86.1%が全部を一時金で受け取っています。どちらを選べるかは勤め先の企業年金の規約で決まるため、まずは自分の会社の仕組みを知っておくことが出発点になります。