3. 自宅を5000万円で売ると税金は約355.5万円。所有10年超なら軽減税率で少なくなる
売った利益が3000万円を超えると、超えた分に税金がかかります。自宅を5000万円で売った場合で試算しました。
3.1 特別控除後の利益1750万円に、所得税・住民税で20.315%
取得費を5%の250万円とすると、利益は4750万円で、特別控除後の利益は1750万円です。売った年の1月1日で所有期間が5年を超える長期譲渡所得なら、税率は所得税・復興特別所得税が15.315%、住民税が5%です。
- 売った利益:4750万円
- 特別控除後の利益:1750万円
- 所得税・復興特別所得税:約268万円
- 住民税:87万5000円
- 税金の合計:約355.5万円
3000万円で売れば0円だった税金が、5000万円では約355.5万円になることがわかりますね。
3.2 所有期間が10年を超えれば、軽減税率の特例と重ねて使える
国税庁によると、売った年の1月1日で家と敷地の所有期間がともに10年を超えていれば、「マイホームを売ったときの軽減税率の特例」を使えます。特別控除後の利益が6000万円以下の部分は、所得税が10%になります。
3000万円の特別控除と軽減税率の特例は、重ねて受けることができます。夫と長く住んできた家なら、所有期間が10年を超えていることも多いため、売る前に登記事項証明書で取得した日を確かめておきましょう。
4. 特別控除を使う前に確かめたい2つの点。住まなくなってから3年目の年末までに売る
国税庁の「マイホームを売ったときの特例」には、ほかにも要件があります。遺族年金を受け取っている人が自宅を売る場面で、とくに確かめたいのは次の2つです。
4.1 住まなくなった家は、3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る
施設に入ったり、子どもの家に移ったりして住まなくなった家も、住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売れば、特例の対象です。その間は、どのような用途に使っていてもかまいません。
4.2 子どもや親族に売ると特例は使えない
親子や夫婦など「特別の関係がある人」に売った場合は、特例を使えません。生計を一にする親族や、売ったあとにその家で同居する親族、内縁関係にある人も含まれます。
5. まとめ
遺族厚生年金がなくなるのは、死亡・婚姻・養子縁組・離縁・30歳未満の妻の5年経過のときです。自宅を3000万円で売ってお金が入っても、遺族厚生年金は止まりません。
売った利益には3000万円の特別控除を使え、取得費を5%とすると3157万円までは税金が0円です。5000万円で売ると約355.5万円の税金がかかりますが、所有期間が10年を超えていれば軽減税率で少なくなります。
税金が0円でも確定申告が必要なので、売る前に税務署や税理士に相談しておきましょう。遺族年金の扱いで迷ったときは、年金事務所で確かめておくと安心です。
※本記事の試算は一定の前提に基づく概算です。実際の税額や特例の適用、年金の扱いは個別の状況で異なるため、税務署・税理士や年金事務所でご確認ください。
※LIMOでは、個別の相談・お問い合わせにはお答えできません。
参考資料
- e-Gov法令検索「厚生年金保険法」
- 日本年金機構「遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)」
- 日本年金機構「生計維持」
- 国税庁「No.3302 マイホームを売ったときの特例」
- 国税庁「No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例」
- 国税庁「No.3258 取得費が分からないとき」
- 国税庁「No.3208 長期譲渡所得の税額の計算」
中本 智恵