2. 退職金の税金を軽くする「退職所得控除」
退職金は、長年の勤務に対するまとまった支払いです。そのため税金の計算では、給与よりも負担が軽くなるような仕組みが設けられています。
2.1 控除額は勤続年数で決まる
退職金から差し引けるのが「退職所得控除」です。国税庁によると、控除額は勤続年数に応じて次の式で計算します。
- 勤続20年以下:40万円×勤続年数(80万円に満たないときは80万円)
- 勤続20年超:800万円+70万円×(勤続年数-20年)
勤続20年なら800万円、勤続30年なら1500万円です。22歳から60歳まで勤めた勤続38年なら、2060万円まで差し引けます。
勤続年数に1年に満たない端数があるときは、切り上げて1年として数えます。たとえば勤続37年1か月なら、38年として控除額を計算するのです。
2.2 勤続20年を超えると控除の増え方が大きくなる
控除額は、勤続20年までは1年につき40万円ずつ増えます。20年を超えると、1年あたりの増え方は70万円に広がります。
勤続20年と30年の差は10年ですが、控除額の差は700万円です。長く勤めた人ほど、同じ額の退職金でも税金が軽くなる仕組みといえます。
2.3 残りの2分の1に税金がかかる
退職金から退職所得控除を差し引き、残った額をさらに2分の1にしたものが「課税退職所得金額」です。所得税は、この額に税率を掛けて計算します。
所得税の税率は、課税退職所得金額が多いほど高くなる5%から45%の7段階です。これに、所得税の2.1%にあたる復興特別所得税が加わります。
控除を超えた部分も2分の1にしてから税金を計算するため、同じ額の給与を受け取る場合と比べて負担は軽くなります。
なお、役員として勤めた期間が5年以下の人などは、2分の1にする計算が使えなかったり、一部に限られたりします。この記事では、会社員として勤続20年以上の人を前提にしています。
2.4 住民税も受け取るときに差し引かれる
退職金にかかる住民税は、給与とは別に計算する「分離課税」です。東京都主税局によると、税率は区市町村民税6%と都民税4%の合わせて10%です。
給与にかかる住民税は前年の所得をもとに翌年に納めますが、退職金の住民税は違います。通常は、所得税・復興特別所得税とともに、退職金の支払いを受けるときに差し引かれます。
差し引かれた税額は、会社から交付される「退職所得の源泉徴収票・特別徴収票」で確かめられます。