人工透析のように、長く続けなければならない治療は、医療費が毎月かかり続けます。国民健康保険には、そうした治療の自己負担を、1つの医療機関につき月1万円までに抑える「特定疾病療養受療証」の仕組みがあります。

この仕組みは、通常の高額療養費の上限とは別の特例です。ただし、受療証の交付を申請した月の初日から適用され、さかのぼることはありません。

この記事では、国民健康保険の特定疾病療養受療証の対象、月の自己負担限度額、申請の手続きを整理します。

1. 特定疾病療養受療証の対象は、人工透析が必要な慢性腎不全・血友病・HIV感染症の3つ

堺市の国民健康保険の案内では、対象は3つの病気です。対象になる条件も、病気ごとに決まっています。

特定疾病療養受療証の対象は、人工透析・血友病・HIVの3つで、治療の条件がある1/3

図表

出所:堺市「【特定疾病療養受療証】特定の病気で長期治療を要するとき」をもとにLIMO編集部作成

  • 人工透析を必要とする慢性腎不全:人工透析を実施している
  • 血友病:血漿分画製剤を投与している、先天性血液凝固第8因子または第9因子の障害
  • 後天性免疫不全症候群(HIV感染を含む):抗ウイルス剤を投与している

目黒区の案内では、HIV感染症について「血液凝固因子製剤の投与に起因する」ものと書かれています。対象になるかどうかは、加入している保険者の窓口で確かめられます。

2. 自己負担限度額は、1つの医療機関につき月1万円。70歳未満の人工透析で一定の所得がある世帯は2万円

特定疾病療養受療証があると、同じ診療月・同じ医療機関での自己負担は、原則として月1万円までになります。

月の自己負担限度額は原則1万円で、人工透析の一部の世帯は2万円2/3

図表

出所:堺市「【特定疾病療養受療証】特定の病気で長期治療を要するとき」をもとにLIMO編集部作成

  • 原則:同じ診療月・同じ医療機関で、月1万円
  • 人工透析を必要とする慢性腎不全で、高額療養費の区分ア・イの世帯に属する69歳以下の人:月2万円

東京都国民健康保険の目黒区の案内では、70歳未満(堺市の「69歳以下」と同じ範囲)で人工透析が必要な慢性腎不全の人のうち、算定基礎額が600万円を超える場合に、月2万円とされています。算定基礎額は、基礎控除後の総所得金額等を世帯全員で合算した額です。2万円になる条件の表し方は、自治体の案内で異なりますが、どちらも本人だけでなく世帯の所得で判定します。