親が「住民税非課税」なら特養の費用は安くなる?預貯金500万以上で軽減対象から外れる“見落としがちな罠”と防衛策
特別養護老人ホームの費用負担は「住民税非課税」だけでは決まらない。第2〜第3段階の分かれ目になる“親の預貯金額”を丁寧に解説
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親が特別養護老人ホーム(特養)に入る話が出ています。
入所すると、介護サービスの費用のほかに、食費と居住費が毎月かかります。
「住民税が非課税なら、安くなると聞いた。うちの親は対象になるのだろうか」と、調べ始める方もいるでしょう。
結論から言うと、食費と居住費が軽くなる「負担限度額認定」は、住民税が非課税の世帯であることに加えて、預貯金が基準以下であることも条件です。申請して、認定証を施設に出すことで、軽減が始まります。
この記事では、東京都の板橋区と新宿区の公式案内(どちらも2026年8月1日更新)を例に、条件、軽くなる金額の試算、申請のしかたを整理します。
※認定証は、正式には「介護保険負担限度額認定証」といいます。
1. 条件:住民税が非課税の世帯で、預貯金が基準以下。この記事は第2〜第3段階2の3つを取り上げる
負担の段階は、第1段階から第3段階2まであります。第1段階には、別の決まりがあるため、この記事では扱いません。
1.1 世帯全員と配偶者が住民税非課税で、収入と所得の合計が82.65万円以下なら第2段階
板橋区の案内では、第2段階は、世帯全員と配偶者が住民税非課税で、本人の収入と所得の合計が82.65万円以下の人です。
ここでいう収入は、老後・遺族・障害の公的な収入のうち、課税されるものと、非課税のものです。そこに、合計所得金額を加えます。
合計所得金額は、公的な収入に当たる部分などを除いた額を使います。くわしい計算は、区の窓口で確かめます。
預貯金などの合計は、単身なら650万円以下、配偶者がいる夫婦なら、合わせて1650万円以下です。
1.2 82.65万円を超えると第3段階1、120万円を超えると第3段階2
第3段階1は、収入と所得の合計が82.65万円を超えて120万円以下の人です。預貯金などは、単身550万円以下、夫婦で1550万円以下です。
第3段階2は、合計が120万円を超える人です。預貯金などは、単身500万円以下、夫婦で1500万円以下です。
新宿区の案内も、65歳以上の人では、同じ金額です。合計は、82万6500円と書かれています。
40歳から64歳の第2号被保険者は、預貯金の上限が、単身1000万円以下、夫婦2000万円以下と、別に決まっています。
1.3 預貯金に数えるのは、預貯金のほか、投資信託や有価証券、現金。生命保険は数えない
板橋区の案内では、預貯金などに数えるのは、預貯金、投資信託、有価証券、そのほかの現金です。
借入れや住宅ローンなどの負債は、差し引きます。生命保険と、時価評価が難しい貴金属は、対象外です。
配偶者は、住民票の上で世帯や住所が別でも、内縁関係にある場合も、含まれます。
図の内容を、項目ごとに書き出します。
- 共通の条件:世帯全員と配偶者が住民税非課税
- 第2段階:収入と所得の合計が82.65万円以下。預貯金は単身650万円以下、夫婦1650万円以下
- 第3段階1:合計が82.65万円超120万円以下。預貯金は単身550万円以下、夫婦1550万円以下
- 第3段階2:合計が120万円超。預貯金は単身500万円以下、夫婦1500万円以下
ここまでで、住民税が非課税でも、預貯金が基準を超えると対象にならないことを見てきました。
ここからは、軽くなる金額の試算と、申請のしかたを見ていきます。
著者
株式会社モニクルリサーチ メディア編集本部
元・厚生労働省担当記者(社会保障専門紙)
中央大学法学部を卒業後、東証プライム上場IT企業での法人営業を経て、厚生労働省記者クラブに所属する行政・自治体向けの社会保障専門紙記者として活動。
現在は「公的社会保障制度(年金・医療・介護)」の仕組みと、「私的資産形成(NISA・iDeCo)」の税制優遇制度を横断的に分析し、生活者のための家計防衛術を提供する編集者として活動している。
各省庁が公表する難解な一次情報(e-Gov法令検索の条文データや、総務省統計局の家計調査など)を読み解き、現役世代からシニア層までを対象に、事実に基づいた実用的な解説記事を継続的に執筆している。
このほか、専門家と実務家が発信する金融経済ニュースサイト『LIMO&ファイナンス』でも情報を発信している。
【経歴・専門性】
前職の専門紙記者時代には、厚生労働省本省および各地方自治体(保険者)を直接取材対象とし、現場の最前線で以下の重要政策の決定プロセスと一次情報に触れてきた。
これらの政策取材を通じ、「制度の複雑化が引き起こす、生活者のサイレントな不利益(申請漏れや制度の不知による経済的損失)」の構造を実務レベルで把握。役所の論理で構築された難解な制度設計を、IT企業時代に培ったデータ分析手法と掛け合わせることで、客観的指標(平均値ではなく中央値を用いた実態把握など)に基づく解説記事を執筆している。
【具体的な実績・保有資格・メディア掲載歴】
公的機関の一次データに依拠した客観的な記事執筆により、Yahoo!ニュース「経済ランキング」において多数の1位を獲得。具体的な執筆・担当領域における実績は以下の通りである。
- 公的年金・給付金領域:日本年金機構の公表資料に基づく「在職老齢年金による支給停止基準」や「年金生活者支援給付金の受給要件」の解説。また、国税庁のガイドラインに沿った定額減税や各種給付金の対象者判定フローの実務的整理。
- 医療・介護保険領域:高額療養費制度などの自己負担限度額の算出方法や、公的保障のセーフティネット範囲の図解解説。
- 資産運用領域:金融庁のNISA特設サイトや、iDeCo公式サイト(国民年金基金連合会)のデータに基づく税制優遇メリットの数値化。特定の金融商品の購入推奨は行わず、公的年金の不足分を補うための長期積立投資の制度整理に特化。
- 貯蓄・家計管理領域:家計調査などの官公庁統計データに基づいた、年代別・世帯年収別の貯蓄実態の論理的解説、およびインフレ時代におけるリスク管理手法の情報提供。
- 保有資格・実務知見:東京商工会議所 ビジネスマネジャー検定試験®合格。上場企業での実務経験と当資格で培った「組織マネジメント」や「コンプライアンス・リスク管理」の視点を個人の家計防衛に転用し、ビジネスパーソンが納得できる論理的な解説の裏付けとしている。
【読者へ提供する価値と発信理念】
「役所の論理ではなく、生活者の視点で制度を翻訳する」ことを発信の基本理念としている。
複雑怪奇な社会保障制度においては、制度を知らないこと自体が直接的な経済的損失に直結する。この情報非対称性を是正し、「知っていれば救われたはずの人が損をする現状をゼロにする」ことが現在の活動における最大のミッションである。
そのため、記事執筆にあたっては個人の主観や推測、投資推奨は避ける。
そのうえで、読者の生活や資産に影響を与える領域であることを自覚し、読者が「国に頼りすぎず、国を賢く利用する」ための正確で安全な判断材料を提供し、生活者とその家族を守るための実用的な知見を届け続けている。