2. 社会保険料は1等級上がるといくら増える?月給34万円前後なら標準報酬月額は2万円刻みで、月約3000円・年約3.6万円増

標準報酬月額は、報酬の平均をそのまま使うのではなく、決まった幅ごとの等級に当てはめた額です。協会けんぽ東京支部「令和8年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表」では、次のように区切られています。

  • 【報酬月額33万円以上35万円未満】標準報酬月額34万円(健康保険24等級・厚生年金21等級)
  • 【報酬月額35万円以上37万円未満】標準報酬月額36万円(健康保険25等級・厚生年金22等級)
  • 【報酬月額37万円以上39万5000円未満】標準報酬月額38万円(健康保険26等級・厚生年金23等級)

本人が負担する社会保険料は、標準報酬月額に保険料率をかけた額の半分です。東京都の協会けんぽに加入する40歳から64歳の人で計算すると、次のとおりです。

  • 【標準報酬月額34万円】月約5.1万円(健康保険・介護保険 1万9499円、子ども・子育て支援金 391円、厚生年金 3万1110円)
  • 【標準報酬月額36万円】月約5.4万円(健康保険・介護保険 2万646円、子ども・子育て支援金 414円、厚生年金 3万2940円)
  • 【1等級上がったときの差】月約3000円、年約3.6万円(12か月分)

40歳未満で介護保険料がかからない人は、1等級あたり月約2800円、年約3.4万円の差です。協会けんぽの健康保険料率は都道府県で違い、令和8年度は最も高い佐賀県で10.55%、最も低い新潟県で9.21%です。

※試算の前提:協会けんぽ東京支部の令和8年度の料率(健康保険9.85%、介護保険1.62%、子ども・子育て支援金0.23%)と厚生年金保険料率18.3%。子ども・子育て支援金は令和8年4月分(5月納付分)から加わっています。雇用保険料は標準報酬月額ではなく毎月の給与の額で計算するため、含めていません。

3. 昇給なしでも残業代で社会保険料は上がる?平均月給34万600円なら、4〜6月の残業代が月約9400円でも約2.7万円でも上がるのは1等級

平均的な月給の34万600円は、標準報酬月額34万円の等級(33万円以上35万円未満)の上の境目に近いところにあります。4月から6月に残業代が加わると、報酬の平均と社会保険料は次のように変わります。

  • 【残業代なし】報酬月額 34万600円→標準報酬月額34万円(変わらない)
  • 【残業代 月平均約9400円】報酬月額 35万円→標準報酬月額36万円(1等級上がり、年約3.6万円増)
  • 【残業代 月平均約2.7万円】報酬月額 約36.8万円→標準報酬月額36万円(1等級上がり、年約3.6万円増)
  • 【残業代 月平均約2.9万円】報酬月額 37万円→標準報酬月額38万円(2等級上がり、年約7.2万円増)

残業代が月約9400円でも、平均的な額の約2.7万円でも、上がるのは同じ1等級で、1年間に増える社会保険料は約3.6万円です。社会保険料は残業代の額に比例して増えるのではなく、等級の境目を越えるたびに段階的に増えます。

※試算の前提:月給(所定内給与)は34万600円で、4月から6月も変わらないものとしています。残業代以外の手当の増減はなし、4月から6月はいずれも支払基礎日数17日以上、前の年の標準報酬月額は34万円。協会けんぽ東京支部に加入する40歳以上64歳以下の人で計算しています。

4. 9月に上がった社会保険料はいつ戻る?原則は翌年9月分から。残業代の増減だけでは途中で変わらない

定時決定で決まった標準報酬月額は、翌年8月分まで続きます。前の金額に戻るかどうかは、翌年4月から6月の報酬で決まる次の定時決定しだいです。戻る場合も、翌年9月分(原則として10月の給与から差し引かれる分)からになります。

年の途中で見直されるのは、「随時改定」に当たるときです。日本年金機構「随時改定(月額変更届)」では、次の3つをすべて満たすと、変わった報酬を初めて受けた月から数えて4か月目に標準報酬月額が改定されます。

  • 【固定的賃金の変動】昇給・降給、住宅手当や役付手当などの固定的な手当の追加や額の変更など
  • 【2等級以上の差】変動した月から3か月間の報酬の平均で出した標準報酬月額と、いまの標準報酬月額との差
  • 【支払基礎日数】3か月とも17日以上

残業代は固定的賃金ではありません。このため、10月以降に残業が減っても、それだけでは随時改定のきっかけにならず、社会保険料は翌年8月分まで同じ額が続きます。