昇給がないのに、9月から社会保険料が上がって手取りが減ったと感じることがあります。社会保険料は毎月の給与にそのまま料率をかけるのではなく、4月から6月に支払われた報酬の平均で決まる「標準報酬月額」をもとに計算されるためです。

ここでは、日本年金機構と全国健康保険協会(協会けんぽ)の資料をもとに、標準報酬月額が決まる「定時決定」の仕組みと、上がった社会保険料が前の金額に戻るタイミングを整理します。

そのうえで、平均的な月給の会社員が4月から6月に残業代を受け取った場合に、等級がいくつ上がり、1年間で社会保険料がいくら増えるかを、2026年度の保険料額表で試算します。

※月給34万600円は、厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」の一般労働者(男女計)の賃金です。残業代の月約2.7万円は、厚生労働省「毎月勤労統計調査 2025(令和7)年分結果確報」の一般労働者の所定外給与(2万7477円)をもとにしています。

1. 社会保険料が9月から上がるのはなぜ?4〜6月の報酬の平均で、9月分から翌年8月分までの標準報酬月額が決まる

日本年金機構「定時決定(算定基礎届)」によると、標準報酬月額は毎年1回、4月・5月・6月の3か月に支払われた報酬の平均をもとに決め直されます。決まった標準報酬月額は、その年の9月分から翌年8月分までの社会保険料に使われます。

  • 【対象になる報酬】基本給のほか、残業代や通勤手当なども含まれる(年3回以下の賞与は含まない)
  • 【対象になる月】支払基礎日数が17日以上ある月
  • 【使われる期間】9月分から翌年8月分までの1年間
  • 【給与から差し引かれる時期】当月の給与から前月分を差し引く。9月分は、原則として10月に支払われる給与から

日本年金機構「厚生年金保険料等の納付」では、当月に支払う給料から前月分の保険料を差し引くことができ、例えば5月の給料日には4月分を差し引くと説明しています。このため、給与明細で変化に気づくのは10月の給与からになることが多くなります。

昇給がなくても、4月から6月の残業代や手当が前の年より多ければ、9月分から社会保険料が上がることがあります。反対に、この3か月の報酬が少なければ下がります。