家族が精神科や心療内科で「うつ病」「発達障害」と診断され、そのとき「障害者手帳」という言葉を聞いて、「うちの場合でも取れるのだろうか」と迷う方は少なくありません。
「病名が軽いと断られるのではないか」と心配になることもあるでしょう。
結論から言うと、精神障害者保健福祉手帳は、うつ病などの気分(感情)障害も、発達障害も、国の判定基準に書かれている対象です。
ただし、病名だけでは決まりません。診断書に書かれた病状と日常生活の状態で、1級から3級までの等級が決まります。
申請には、多くの場合、初診日から6か月たった後に書いてもらった診断書を出します。
この記事では、2026年11月時点の東京都の案内を例に、手帳の対象、診断書を書いてもらう時期、交付までの期間、そのほかの申請書類、更新の時期を順番に整理します。
1. 対象:うつ病や発達障害も、病名だけでなく診断書に書かれた状態で、1級から3級が決まる
1.1 手帳を申請できるのは、精神障害のある人。知的障害は別の手帳になる
精神保健福祉法の第45条は、精神障害者(知的障害者を除く)は、必要な書類を添えて、居住地の都道府県知事に手帳の交付を申請することができる、と定めています。
「申請することができる」という書き方なので、手帳を取るかどうかは本人が決めることです。
東京都の案内では、申請の窓口はお住まいの区市町村で、審査して交付するのは都知事です。
承認されなかったときは、都知事から「不承認通知書」が出ます。
1.2 等級は3段階。重いほうから1級、2級、3級
等級は、精神保健福祉法の施行令(法律を実際に動かすための決まり)の第6条が、障害の程度に応じて、重いほうから1級、2級、3級と定めています。
【精神障害者保健福祉手帳】1級・2級・3級はどう違うか。施行令が定める等級ごとの「日常生活」の状態を、早見表で整理1/2
出所:精神保健及び精神障害者福祉に関する法律施行令第6条を参考にLIMO編集部作成
図の内容を、項目ごとに書き出します。
- 1級:日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの
- 2級:日常生活が著しい制限を受けるか、または日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの
- 3級:日常生活もしくは社会生活が制限を受けるか、または日常生活もしくは社会生活に制限を加えることを必要とする程度のもの
3級は、「日常生活もしくは社会生活が制限を受ける」程度が目安です。
仕事を続けながら通院している人が、はじめから対象外になるとは、この条文からは読み取れません。
1.3 判定は4つの順番で行い、病名の確認のあとに「いまの状態」を見る
厚生労働省の判定基準の通知では、等級の判定を、次の順に行うとしています。
- 精神疾患の存在の確認
- 精神疾患(機能障害)の状態の確認
- 能力障害(活動制限)の状態の確認
- 精神障害の程度の総合判定
診断書に書かれた状態を十分に審査する、とも書かれています。
基準には、統合失調症、気分(感情)障害、非定型精神病、てんかん、中毒精神病、器質性精神障害、発達障害、その他の精神疾患ごとの目安があります。
能力障害の状態は、食事、身辺の清潔保持、金銭管理と買い物、通院と服薬、意思伝達や対人関係、身辺の安全保持、社会的手続や公共施設の利用、文化的社会的活動への参加の8項目で見ます。
2. 申請に出すのは、多くの場合、初診日から6か月後以降に書いてもらった診断書
2.1 診断書は、精神障害の初診日から6か月たった日以後に作成されたもの
東京都の新宿区の案内では、診断書を出す場合は、東京都指定の様式で2部必要です。
精神障害に係る初診日から6か月を経過した日以後に作成され、作成日から3か月以内のものを出します。
ほかの区市町村では、書類や窓口が違うことがあります。
2.2 交付までは、東京都では紙形式で約2か月、カード形式で約2か月半
東京都の案内では、審査などのため、新規申請から結果を受け取るまでに、紙形式は2か月程度、カード形式は2か月半程度かかります。
審査のとき、申請内容を医療機関に確認することがあり、その場合はさらに時間がかかります。
新宿区の案内も、申請日から約2〜3か月後に手帳が交付される、としています。
【手帳の申請から交付まで】初診から6か月、診断書、区市町村の窓口、約2か月〜2か月半の審査。東京都の案内で流れを時系列に整理2/2
出所:東京都立中部総合精神保健福祉センター『精神障害者保健福祉手帳の申請手続き』と新宿区『精神障害者保健福祉手帳』を参考にLIMO編集部作成
図の内容を、項目ごとに書き出します。
- 初診から6か月がたつ:診断書は、この日以後に書いてもらう
- 区市町村の窓口に申請:診断書は作成日から3か月以内のものを出す
- 審査:紙形式は2か月程度、カード形式は2か月半程度
- 交付:手帳の受け取りは、新宿区では担当の保健センターで行う
ここまでで、手帳の対象、診断書を書いてもらう時期、交付までの期間を見てきました。
ここからは、診断書以外の書類、診断書を書く医師、手帳の形式を見ていきます。