3. 孫の大学入学の援助のあと、老後の貯蓄は何歳まで持つ?介護費用も入れて試算
貯蓄の額は世帯によって大きく違います。ここでは、総務省統計局の家計調査(貯蓄・負債編、2025年)で、世帯主が65歳以上の世帯(二人以上の世帯)のうち貯蓄のある世帯の中央値1777万円を、援助する前の貯蓄に置きました。
介護の費用は、生命保険文化センター「2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査」の、過去3年間に介護経験がある人の平均をもとにしています。住宅改造や介護用ベッドの購入などの一時的な費用が平均47.2万円、月々の費用が平均9.0万円、介護の期間が平均55.0か月で、1人分は約542.2万円です。
- 【介護の費用を見込まない場合】援助なしで約111.9歳、国立の標準額を援助すると約110.3歳、私立の初年度納付金を援助すると約109.2歳まで
- 【介護1人分を見込む場合】援助なしで約101.2歳、国立の標準額を援助すると約99.6歳、私立の初年度納付金を援助すると約98.5歳まで
- 【介護2人分を見込む場合】援助なしで約90.6歳、国立の標準額を援助すると約89.0歳、私立の初年度納付金を援助すると約87.9歳まで
私立の初年度納付金を援助すると、貯蓄が持つ期間は約2.7年縮みます。一方で、介護の費用を1人分見込むと約10.6年縮みます。孫の大学入学の援助の上限を考えるときは、援助の額そのものより、介護の備えをどれだけ残すかで結果が大きく変わります。
※試算の前提:77歳(家計調査の65歳以上の夫婦のみの無職世帯の世帯主の平均年齢77.6歳)の時点で、貯蓄1777万円から援助額と介護の費用を差し引き、残りを年約50.9万円の不足で取り崩した場合です。運用益や物価の変化、医療費の増加は見込んでいません。
家計調査の支出にも介護に関わる費用が一部含まれるため、介護の費用を重ねて見込んだ分、厳しめの試算です。また、貯蓄の中央値は世帯主が65歳以上の世帯(働いている世帯を含む)の値で、不足額の世帯(夫婦のみの無職世帯)とは集計の範囲が違います。
4. 孫の大学入学の援助に贈与税はかかる?入学料や授業料に必要な都度、直接充てるなら原則かからない
国税庁「No.4405 贈与税がかからない場合」によると、夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるものには贈与税がかかりません。国税庁のQ&Aでは、扶養義務者に直系血族が含まれ、教育費は「子や孫」の学資などとされています。
ただし、対象は教育費として「必要な都度直接これらに充てるためのもの」に限られます。入学料や授業料を、必要になったときに直接払う形なら対象になりますが、まとめて受け取ったお金を預金したり、株式や不動産の購入に充てたりした部分には贈与税がかかります。
祖父母などの直系尊属から30歳未満の孫などへ、金融機関を通して教育資金をまとめて贈与すると1500万円まで非課税になる「教育資金の一括贈与」の特例は、2026年3月31日までの贈与が対象で、同年4月1日以後は新たに使えません。
今回は一例として平均で試算をしましたが、介護だけでなく老後資金として使いたいお金や必要なお金などもしっかり考えた上で、援助については検討するとよいでしょう。