「62歳の夫が、退職金で中古マンションを現金で買えば、いまの家賃がいらなくなると言っています。私は賃貸のままでいいと思うのですが、この先の住居費はどちらが安く済むのでしょうか」
定年を迎えた夫婦から、このような疑問の声が届くこともあります。ここでは、退職金が約1800万円、いまの家賃が月8万円の夫婦を例に考えます。
夫が考えているのは、1000万円の中古マンションを退職金から現金で買う方法です。ただ、国土交通省の「令和5年度マンション総合調査」では、管理費と修繕積立金だけで平均月2万4557円かかっていました。
この記事では、マンションを持つと毎月かかるお金と購入時の費用を確かめ、25年間の住居費を賃貸と比べて試算します。物件を買ったあとに手元に残る退職金の額も、あわせてチェックしていきます。
1. 【退職金でマンション購入】現金で買っても管理費と修繕積立金は毎月かかる
退職金で住宅ローンを組まずにマンションを買えば、毎月の返済はありません。それでも、マンションの持ち主には払い続けるお金が残ります。
1.1 管理費と修繕積立金の平均
国土交通省は、マンションの管理組合と区分所有者(部屋の持ち主)を対象に、おおむね5年ごとに「マンション総合調査」を行っています。最新の調査は2023年10月から2024年1月にかけて実施されました。
この調査では、駐車場使用料などからの充当分を除いた管理費の平均が、1戸あたり月1万1503円でした。修繕積立金の平均は月1万3054円です。
2つを足すと月2万4557円になり、1年では29万4684円です。家賃はなくなっても、これだけの額が毎月の家計から出ていくことになります。
1.2 修繕積立金は途中で上がることがある
修繕積立金の積み立て方には、毎月同じ額を積み立てる「均等積立方式」と、途中で額を上げていく「段階増額積立方式」があります。同じ調査では、段階増額積立方式が47.1%で、均等積立方式の40.5%を上回りました。
また、計画上の積立額に比べて、実際の積立額が不足しているマンションは36.6%ありました。いまの修繕積立金の額が、この先もずっと続くとは限らないのです。
1.3 固定資産税は毎年1月1日の持ち主にかかる
住まいを持つと、土地と建物に固定資産税がかかります。毎年1月1日時点の所有者が納める税金で、標準税率は1.4%です。
市街化区域にある物件では、市区町村によって都市計画税もあわせて納めます。税額は物件の評価額で決まるため、同じ価格の物件でも地域や築年数によって変わります。