4. 見落としやすい注意点が3つある
文部科学省の資料から読み取れる、見落としやすい注意点を3つ整理します。
4.1 1つ目:本人のアルバイト収入が基準を超えると「3人」に数えられない
文部科学省「所得基準制限なし 授業料70万・入学金26万(私立大学の場合、4年間で最大70万円×4年+26万円を支援)子供3人以上の世帯の学生」(令和8年度資料)によると、本人のアルバイト等の収入が一定額を超えると、扶養する子として認められず、多子世帯の支援の対象外になる場合があります。
大学生のきょうだいが1人でも基準を超えると、扶養する子の人数に影響する可能性があります。年収の目安は、前述のとおり令和8年10月分の判定から123万円以下で、19歳以上23歳未満は160万円以下とされています。
4.2 2つ目:判定は「前年12月31日時点」の確定した税情報が基準になる
扶養の確認は、前年12月31日時点の税情報をもとに、毎年夏ごろに行われ、同年10月以降の支援額に反映されます。
申請時点の実際の扶養状況ではなく、確定済みの税情報で判定される点に注意が必要です。
4.3 3つ目:学業の状況によっては支援が止まることがある
支援は、採用後も学業成績や修得単位数などが毎年確認され、基準を下回ると停止や廃止になる場合があります。修業年限で卒業できないことが確定した場合も、対象外になります(災害や傷病などやむを得ない事由は除く)。
このほか、上の子が大学院に進んだ場合、大学院生も扶養する子としてカウントできると、同資料に記されています。
5. 私立大学の授業料は平均96万8069円 上限70万円との差はいくら?
文部科学省「私立大学等の令和7年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」によると、私立大学学部(昼間部)の初年度の授業料は、全平均で96万8069円です。多子世帯の支援上限額である70万円を、26万8069円上回っています。
- 全平均:96万8069円(上限との差 26万8069円)
- 文科系:85万0392円(差 15万0392円)
- 理科系:119万5313円(差 49万5313円)
- 医歯系:282万5359円(差 212万5359円)
全平均の差額が4年間続くと仮定すると、自己負担は107万2276円になります。入学料の平均は24万0365円で、上限の26万円の範囲内です。
多子世帯であっても、授業料が上限額を超える場合は超えた分が自己負担となり、学費がすべて無償になるとは限りません。進学先の学費を事前に確認しておくことが大切です。
6. まとめにかえて|上の子の就職時期を見据え、早めに確認を
多子世帯の大学無償化は、扶養する子が3人以上いる間の支援です。簡易試算では、きょうだいが1歳差なら私立大学で708万円、4歳差以上なら306万円と、年齢差によって総額が大きく変わりました。
早めに次の点を確認しておくと安心です。
- 文部科学省やJASSO(日本学生支援機構)の最新の案内と、進学先の大学等の窓口で、運用や手続きを確認する
- 上の子の就職時期や見込み年収、きょうだいのアルバイト収入を把握しておく
- 上限額を超える授業料の自己負担分や、支援が終わったあとの教育資金を点検する
本記事は、文部科学省などが公表している資料にもとづく一般的な制度の解説であり、個別の世帯の支援の可否や金額、税務上の扶養の判断を示すものではありません。制度の内容や基準は変更される場合があります(本記事は2026年11月時点の情報にもとづきます)。ご自身の状況に関する判断は、進学先の大学等の奨学金窓口、JASSO、お住まいの自治体や税務署などにご確認ください。