「こどもが3人いるから、大学の学費は無償になるはず」と考えている保護者の方は少なくないでしょう。
文部科学省「高等教育の修学支援新制度に係る質問と回答(Q&A)(令和8年3月版)」によると、令和8年10月分の判定から、アルバイト等で扶養する子としてカウントできる年収の目安は123万円以下(従来は103万円以下)になりました。ただし、上の子が就職して扶養から外れ、扶養する子が2人になった時点で、多子世帯としての支援は終了します。
つまり、きょうだいの年齢差によって、無償になる期間と総額は大きく変わります。本記事では、3人きょうだいの年齢差ごとに簡易モデルで試算した結果を紹介します。
1. そもそも多子世帯の大学無償化とは?学生1人あたりの上限額は国公立244万円・私立306万円
多子世帯の授業料・入学金の支援上限額(大学)1/3
出所:文部科学省「所得基準制限なし 授業料70万・入学金26万(私立大学の場合、4年間で最大70万円×4年+26万円を支援)子供3人以上の世帯の学生」(令和8年度資料)をもとにLIMO編集部作成
多子世帯の大学無償化は、扶養する子が3人以上いる世帯を対象に、授業料と入学金を上限額まで減免する仕組みです。
文部科学省「所得基準制限なし 授業料70万・入学金26万(私立大学の場合、4年間で最大70万円×4年+26万円を支援)子供3人以上の世帯の学生」(令和8年度資料)によると、所得制限はなく、資産要件は3億円未満です。対象は大学のほか、短期大学、高等専門学校、専門学校です。
大学の上限額(年額)は次のとおりです。
- 国公立大学:授業料54万円、入学金28万円
- 私立大学:授業料70万円、入学金26万円
学生1人あたり4年間では、国公立大学で最大244万円(54万円×4年+28万円)、私立大学で最大306万円(70万円×4年+26万円)です。支援は現金で支給されるのではなく、学校で授業料や入学金が減額・免除される形になります。
2. 「3人」は何で数える?上の子が就職したら下の子の支援はどうなる?
前出の「Q&A(令和8年3月版)」によると、多子世帯の「3人」は、納税の際に扶養人数としてカウントされている子の数です。支援を受ける学生本人も、扶養されている必要があります。
同時に3人以上を扶養している間は、第1子から支援の対象になります。支援は学生1人ひとりに適用され、3人を同時に扶養している間に大学等に在学するきょうだいは、それぞれ上限額まで支援を受けられます。第1子が扶養から外れて扶養する子が2人になると、多子世帯としての支援は終了します。
扶養の確認は、申請時点で確定している前年12月31日時点の税情報をもとに行われます。支援期間中も毎年夏ごろに最新の住民税情報が確認され、結果は同年10月以降の支援額に反映されます。このため、上の子が就職した時点で直ちに支援が終わるとは限らず、実際の終了時期は判定のタイミングによって変わります。
扶養する子としてカウントされる年収の目安は、令和8年10月分の判定から123万円以下です。19歳以上23歳未満は160万円以下とされています。
3. きょうだいの年齢差で無償になる期間と総額はどう変わる?簡易試算では私立で最大402万円の差
3人きょうだいの年齢差ごとの支援総額の簡易試算(国公立・私立)2/3
出所:文部科学省「高等教育の修学支援新制度に係る質問と回答(Q&A)(令和8年3月版)」および「所得基準制限なし 授業料70万・入学金26万(私立大学の場合、4年間で最大70万円×4年+26万円を支援)子供3人以上の世帯の学生」(令和8年度資料)をもとにLIMO編集部試算
制度の仕組みを理解するための簡易モデルとして、3人きょうだいが等間隔の年齢差だった場合に、4年間で支援を受けられる総額の目安を試算しました。前提は次のとおりです。
- 3人とも現役で4年制の大学に入学(18歳の4月)し、4年で卒業する
- 第1子が在学している4年間は、3人とも扶養に入っている(アルバイト収入は基準内)と仮定する
- 第1子の卒業(就職)と同時に扶養から外れ、第2子・第3子の支援もその時点で終了すると仮定する(実際は、判定が前年12月31日時点の税情報にもとづき10月以降の支援額に反映されるため、支援が続く期間がこれより長くなる場合があります。ここでは考慮しません)
- 学費は上限額どおり。入学金は、入学時点で支援対象になっている子にだけ加算する
- ※本試算における「〇歳差」は、きょうだいの学年差が等間隔(例:第1子と第2子が2歳差、第2子と第3子が2歳差)の場合を想定しています。
試算結果は次のとおりです。
- 1歳差:国公立大学570万円、私立大学708万円
- 2歳差:国公立大学380万円、私立大学472万円
- 3歳差:国公立大学326万円、私立大学402万円
- 4歳差以上:国公立大学244万円、私立大学306万円
この簡易モデルでは、4歳差以上の場合、第2子が入学する時点で第1子がすでに卒業しているため、第1子の分のみとなります。また、2歳差以上では、第3子が入学する時点で第1子が卒業しているため、第3子の支援額は0円として計算しています。
たとえば国公立大学で2歳差の場合、第1子の244万円と、第2子の136万円(54万円×2年+入学金28万円)を合わせた380万円が目安です。
1歳差と4歳差以上を比べると、国公立大学で326万円、私立大学で402万円の差が生じます。ただし、実際の支援期間や金額は、就職時期や年収、進学先の学費、学業の状況などによって変わります。
※本試算は、制度の仕組みを理解するための簡易モデルです。第1子の就職と同時に支援が終わると仮定しており、実際の支援期間や金額とは異なる場合があります。扶養の判定は前年12月31日時点の税情報をもとに行われ、判定結果は10月以降の支援額に反映されます。個別の支援の可否や金額は、進学先の大学等の窓口またはJASSO(日本学生支援機構)の公式案内でご確認ください。
多子世帯の大学無償化は、扶養する子が3人以上いる間の支援です。第1子が扶養から外れて扶養する子が2人になると、多子世帯としての支援は終了します。
3人きょうだいの簡易試算では、私立大学の場合、1歳差で708万円、4歳差以上で306万円と、総額に402万円の差が生じました。上の子の就職時期を見据えて、きょうだいの年齢差ごとの支援期間を確認しておくことが大切です。
試算の前提には、上の子本人やきょうだいのアルバイト収入など、見落としやすい条件も含まれています。