入院や手術が決まると、窓口での支払いが一時的に数十万円になるのではと不安になる人もいるでしょう。厚生労働省は、マイナンバーカードを健康保険証として使えば、「限度額適用認定証」がなくても、公的医療保険が適用される診療に対して限度額を超える分は支払う必要がないと案内しています。マイナ保険証なら認定証は原則不要ですが、低所得の人や、オンライン資格確認を導入していない医療機関を受診する場合などは、認定証が必要になる場合があるため、確認が欠かせません。
一方、資格確認書で受診する場合は、認定証が必要かどうかが、医療機関がオンライン資格確認で限度額情報を確認できるかや、加入先の保険者の案内によって左右されます。本記事は、月ごとの上限額の改定ではなく、窓口での手続きに絞った整理です。
1. そもそも高額療養費と限度額適用認定証とは?
高額療養費制度は、医療機関や薬局の窓口で支払った額が月の上限額を超えたときに、超えた分が支給される仕組みです。上限額は、年齢や所得の区分によって異なります。
「限度額適用認定証」(以下、認定証)は、事前に保険者へ申請して入手し、窓口で提示することで、1か月の窓口での支払いを自己負担限度額までにするための書類です。従来は、申請が間に合わないと、いったん高額な費用を窓口で支払う必要がありました。
2. マイナ保険証なら、認定証なしで窓口の支払いは上限までになる?
2025年11月25日に公開された厚生労働省「マイナンバーカードの健康保険証利用のメリット」によると、マイナンバーカードを健康保険証として利用すれば、認定証がなくても、公的医療保険が適用される診療に対しては限度額を超える分を支払う必要がありません。
協会けんぽの案内でも、オンライン資格確認を導入している医療機関等の窓口でマイナ保険証を提出すれば、認定証は不要とされています。対象は、健康保険証利用登録を行ったマイナンバーカードです。
たとえば、70歳未満で年収が約370万〜510万円の人が医療費100万円の治療を受けた場合、3割負担なら窓口の請求は30万円になります(編集部計算)。令和8年8月からの制度では、この場合の自己負担は約9.3万円までに抑えられる、というのが厚生労働省の高額療養費制度の案内ページ(2026年7月31日更新)に示された例です。
- 認定証もマイナ保険証もない場合:窓口で約30万円を支払い、上限を超えた分は後から払い戻しを受ける
- 認定証またはマイナ保険証がある場合:窓口の支払いは約9.3万円まで
マイナ保険証を使えば、事前の申請をしなくても、窓口の支払いは月の上限額までに収まります。窓口で立て替える額には、20万円超の差が出る計算です。なお、入院時の食費や差額ベッド代は、高額療養費制度の自己負担限度額の対象に含まれません。
診療情報や薬剤情報、特定健診情報などを医師や薬剤師に見てもらうには、本人の同意が必要です。一方、高額療養費の限度額情報については、厚生労働省の社会保障審議会医療保険部会の資料(2024年9月30日)によると、顔認証付きカードリーダーでの限度額情報の同意画面は、2024年10月7日からのリリースで省略され、同意不要になると示されています。マイナ保険証で限度額を適用するために、同意の操作を求められることは原則としてありません。ただし、画面の表示は機器や医療機関によって異なる場合があるため、現在の取り扱いは受診先の医療機関や加入先の保険者で確認してください。
2.1 外来でも同じように使える?
厚生労働省の高額療養費制度の案内ページ(2026年7月31日更新)によると、平成24年4月からは、入院だけでなく外来診療についても、認定証などを提示すれば、月ごとの上限額を超える分を窓口で支払う必要がなくなりました。この取扱いを受ける条件は、マイナ保険証の利用か、事前の認定証の入手です。
協会けんぽの案内でも、通院での利用が可能とされています。ただし、窓口での負担軽減は、医療機関・薬局ごと、入院・外来別に適用される点に注意しましょう。