3. 夫・妻・子の3人の例では、世帯合算でいくら戻る?

2026年7月31日に更新された厚生労働省のページに掲載されている「高額療養費制度の見直しについて(令和8年8月診療分から)」によると、令和8年8月から令和9年7月までの診療分では、70歳未満で標準報酬月額が28万〜50万円(年収約370万〜770万円)の区分の月ごとの上限額は、「8万5800円+(医療費-28万6000円)×1%」という式で決まります。国民健康保険の場合、この区分に該当するのは旧ただし書き所得が210万〜600万円の人です。

この式が使えるのは令和9年7月診療分までです。令和9年8月診療分以降は上限額が変わる予定のため、最新の額は厚生労働省や加入先で確認してください。以下の計算は、令和8年8月から令和9年7月までの診療分の額で行っています。

令和8年8月〜令和9年7月診療分・3割負担の夫・妻・子が同じ月に受診した場合の世帯合算の計算表2/3

令和8年8月〜令和9年7月診療分の計算表。夫の入院15万円、妻の外来3万円、子の歯科2万1000円を合算した20万1000円から、世帯の自己負担限度額8万9640円を引いた11万1360円が高額療養費として戻る計算表。

出所:厚生労働省「高額療養費制度の見直しについて(令和8年8月診療分から)」、協会けんぽ「高額療養費」をもとにLIMO編集部作成

先ほどの夫・妻・子の例(3割負担)に当てはめた計算は、次のとおりです。

  • 夫の入院分:医療費50万円の3割で15万円
  • 妻の外来分:医療費10万円の3割で3万円
  • 子の歯科分:医療費7万円の3割で2万1000円
  • 合算する窓口負担:15万円+3万円+2万1000円で20万1000円(対象の医療費は合計67万円)
  • 世帯の自己負担限度額(令和8年8月〜令和9年7月診療分):8万5800円+(67万円-28万6000円)×1%で8万9640円

たとえばこの例では、合算した20万1000円から限度額の8万9640円を引いた11万1360円が、高額療養費として戻る計算です。夫の入院分だけで計算すると、限度額は8万7940円で、戻る額は6万2060円にとどまります。

世帯合算をしない場合と家族の加入先による違い(令和8年8月〜令和9年7月診療分)3/3

令和8年8月〜令和9年7月診療分の比較表。夫の入院分だけで計算すると戻る額は6万2060円、夫・妻・子が同じ健康保険なら11万1360円、妻だけ別の健康保険なら8万2360円になる比較表。

出所:厚生労働省「高額療養費制度の見直しについて(令和8年8月診療分から)」をもとにLIMO編集部作成

妻だけが別の健康保険に入っている場合は、夫と子の17万1000円(医療費は合計57万円)だけを合算します。限度額は8万8640円で、戻る額は8万2360円です。同じ健康保険の3人で合算した場合と比べると、2万9000円少なくなります。妻の3万円は妻の加入先で別に計算されます。この例では妻の分だけでは限度額に届かないため、戻りません。

なお、これは多数回該当や健康保険組合の付加給付を考えない試算です。限度額の式に入れる医療費は、合算の対象になった受診の医療費(10割)の合計として計算しています。この置き方は、大和市の計算例と同じ考え方です。実際の限度額や戻る額は、加入している保険者(協会けんぽ、健康保険組合、市区町村の国民健康保険など)で確認してください。

次のページでは、世帯合算で見落としやすい注意点4つと、70歳以上の扱いの違いを解説します。