4. 【元銀行員の視点】名義人が亡くなると口座の入出金が止まる

ここからは、口座の凍結と払い戻しの関係を、銀行の窓口の側から見ていきます。

銀行で相続の手続きを担当していた頃、名義人が亡くなったことを届け出た直後に口座が凍結され、驚かれるご家族もいました。公共料金の引き落としも止まるため、支払い方法の変更に追われる方も少なくありませんでした。

口座の凍結は、引き出しや引き落としだけの話ではありません。高額療養費のように亡くなったあとに支給されるお金も、登録口座が凍結されていると振り込めなくなることがあります。

亡くなった方の口座を解約する前に、医療費の払い戻しなど、あとから振り込まれるお金が残っていないかを確認しておきましょう。

5. 【確認のしかた】亡くなった親あての郵便で見ておきたい3つの点

高額療養費の申請書が届いたときに、先に見ておきたい点を挙げます。

5.1 封筒の差出人

後期高齢者医療広域連合や市区町村からの郵便は、医療費の払い戻しの案内である場合があります。亡くなった方あての郵便をまとめて処分する前に、差出人を一通ずつ確かめることをおすすめします。

5.2 振込先の口座の名義

相続人代表者が申請する場合、振込先には相続人が指定する口座を記入します。亡くなった方の名義の口座は凍結されていると振り込めないため、記入する前に名義を見直してください。

5.3 診療を受けた月と申請の期限

高額療養費は、診療月の翌月1日から2年を経過すると時効になり、支給されません。入院していた月を書き出しておくと、申請書が届いたときに対象の月を照らし合わせやすくなります。

6. 【落とし穴】加入していた健康保険で手続きの窓口が違う

ここまでは、75歳以上の方が加入する後期高齢者医療制度の例で見てきました。

亡くなった方が会社員の健康保険や国民健康保険に加入していた場合は、申請先が勤務先の健康保険や市区町村の国民健康保険になります。必要な書類も、加入先によって違います。

また、申請書は診療月から数か月たって届くため、葬儀や相続の手続きが一段落したころに届くこともあります。相続人どうしで「誰が代表者として受け取るか」を決めておくと、手続きが滞りにくくなります。

受け取った払い戻しが相続税の申告でどのように扱われるかは、個別の事情によって異なる場合があります。相続税の申告が必要になりそうな場合は、税務署や税理士に相談してください。

7. 亡くなった家族の高額療養費は、届いた申請書から手続きを始める

高額療養費は、本人が亡くなったあとでも相続人代表者が申請して受け取れます。申請書は診療月から3〜4か月後に届くことが多く、相続権を確認できる書類などをそろえて提出します。

登録していた口座が凍結されている場合は、相続人の名前で振込先を変更します。判断に迷うときは、亡くなった方が住んでいた市区町村の後期高齢者医療制度の担当窓口に相談するのもひとつの方法です。

※この記事の制度の内容は、2026年10月時点の各自治体の案内にもとづいています。必要な書類や手続き、税の扱いは自治体・保険者・税務署によって異なることがあるため、最新の扱いは各窓口でご確認ください。

※LIMOでは、個別の相談・お問い合わせにはお答えできません。

参考資料

中本 智恵