60代から住まいを小さくしたり家賃を抑えたりするために、UR賃貸住宅や公営住宅への住み替えを考える人もいるかもしれません。ただ、UR賃貸住宅と公営住宅では、申し込むための条件も、家賃の決まり方も違います。

富裕層や法人のお客さまの資産運用のご相談を受けていた経験からお伝えすると、定年後の住まいの費用は、年金と貯蓄のどちらから払うかとあわせて、早めに確かめておきたいテーマです。ここでは、年金で暮らす世帯がUR賃貸住宅と公営住宅に申し込むときの条件と、家賃の決まり方を整理します。

公営住宅は、厚生年金の平均的な額を受け取る単身と夫婦の世帯で、入居の基準になる収入を公営住宅法施行令の式で計算し、家賃の算定例も示しました。UR賃貸住宅は、UR都市機構が示す収入と貯蓄の基準で整理しています。

※年金額は、厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」の厚生年金保険(第1号)の老齢年金の平均年金月額(男子16万9967円、女子11万1413円)をもとにしています。

1. 公営住宅の入居条件は?基準は政令月収15万8000円以下で、65歳以上で年金だけの単身なら政令月収は「年金の月額から10万円を引いた額」

公営住宅法施行令では、公営住宅に入居できる収入の基準を15万8000円としており、自治体はこれを参酌して条例で基準を定めます。ここでいう収入は、世帯の1年間の所得金額の合計から控除を差し引いて12で割った額で、自治体によって「政令月収」「所得月額」などと呼ばれます。年金で暮らす世帯にかかわる主な計算は次のとおりです。

  • 【年金の所得】65歳以上で年金収入が年110万円超330万円未満なら、年金収入から110万円を引いた額(東京都住宅政策本部の所得計算による)
  • 【年金を受け取る人の控除】1人につき10万円
  • 【同居者の控除】1人につき38万円

65歳以上で年金だけの単身なら、年金の年額から110万円と10万円を引いて12で割るため、政令月収は年金の月額から10万円を引いた額になります。厚生年金の平均的な年金で計算すると、次のとおりです。

  • 【単身・年金月16万9967円】政令月収 約7.0万円
  • 【夫婦・年金の合計月28万1380円(夫16万9967円、妻11万1413円)】政令月収 約5.0万円

夫婦の年金は単身より月約11.1万円多いのに、政令月収は約2.0万円低くなる計算です。年金を受け取る人ごとに10万円、同居者に38万円の控除があるためです。

東京都住宅政策本部「所得基準」では、都営住宅の一般区分の所得の基準を、1人で年189万6000円、2人で年227万6000円としています(60歳以上の世帯などは別の基準)。厚生年金の平均で計算した単身と夫婦の所得は、どちらもこの基準を下回ります。

※試算の前提:2人とも65歳以上70歳未満で、年金のほかに所得はないものとします。遺族年金と障害年金は所得税がかからないため、計算に含めません。70歳以上の同一生計配偶者や老人扶養親族がいる場合は、1人につき10万円がさらに控除されます。