5歳の男の子を持つAさん(35歳)は、子どもが幼稚園に入園すると同時に仕事に復帰したいと考えていました。
「息子を妊娠するまでは歯科衛生士として働いていました。つわりが酷くなり、退職せざるを得なくなったときも、院長はじめスタッフのみんなが『落ち着いたら戻っておいで』と言ってくれたので、私もすっかりそのつもりでした」
しかし、そんなAさんに思わぬ「壁」が立ちはだかります。「姑です。『別に働かなくても食べてけるんだから、働く必要ないじゃない。あなたが働きたいというワガママを通すことによって、誰が犠牲になるのかをよく考えなさい』と言われて。主人も『お袋のいうことも一理ある』と、姑の意見に賛成。結局職場復帰の夢は砕かれてしまいました」周囲の反対を押してまで職場復帰する意志の強さは持っていなかった、というAさん。しかし、家事の合間にふと「このままでいいのかな…」と思うこともあるようです。
小学2年生の女の子のママHさん(40歳)は、職場復帰を果たすも、半年でリタイアした苦い経験を持っています。「主人がまったく協力してくれなかったこと…これが本当にしんどかった。趣味が高じてアロマセラピストの資格を取得、アロマ専門ショップで働けることになったんです。そのとき主人が言ったことが『家のことを今まで通りできるのなら働いてもいい』でした」
最初は家事と仕事の両立は大丈夫、と思っていたHさん。しかし、カウンセリングが長引いたりして、仕事が終わるのが遅くなってしまうこともしばしば。やむなくスーパーの総菜や冷凍食品に頼ると、とたんに機嫌が悪くなるご主人。「家事を手抜きするなら仕事なんかやめてしまえ」とHさんをにらみつけるのです。
「主人は家のことを一切手伝ってくれない亭主関白。『少しは協力してほしい』と頼んでも、『家のことはお前の仕事だ』とばかりに取り合ってくれません。そして、主人が帰宅しても洗濯物を畳んでいない、少し部屋が散らかっている、それだけで『仕事を辞めろ』と私を責めてくる・・・。そんな生活に私が疲れてしまって、大好きだった仕事を辞めることにしました」
以来、夫への愛情も冷めきってしまった…というHさんは、「離婚も少し視野に入れています」と寂しそうにほほ笑みました。