8. 金の買い方は「費用が出ていく時点」と「金を持っている人」で並べると違いが見える
地金・金ETF・純金積立は、どれも金の価格で評価額が動きます。それでも、試算では値上がり益100万円に対する税金が約5.1万円から約21.8万円まで分かれました。違いを生んでいるのは、金そのものではなく、金を包んでいる仕組みのほうです。
金の買い方では、地金の価格差は売買のたびにかかり、金ETFの信託報酬は持っている期間に応じて積み上がります。純金積立は、買付けのたびの手数料と年会費の両方がありえます。
もう1つは、金を実際に持っているのが誰かという点です。地金は自分、金ETFは信託財産、純金積立は運営会社の金庫に複数の顧客分がまとめて保管されます。決算書で資産の持ち主と保管の形を確かめるのと同じように、契約書面や目論見書で保管の形を確かめておくことには意味がありそうです。
税金の面では、持つ期間の見通しと、自分の所得税率の区分が手がかりになります。5年を超えて持つ予定なら総合課税の2分の1が効き、売る年の所得が多い見込みなら総合課税の負担が大きくなる、という関係です。
同じ金でも、費用の出ていく時点、保管する人、課税の方法の3つは買い方ごとに組み合わせが違います。どれを重く見るかを先に整理しておくと、買い方を考える材料になるといえそうです。
9. まとめ
金の手数料は、地金は売買のとき、金ETFは持っている間の信託報酬、純金積立は買付けと年会費というように、かかる時点が違います。売るときの税金は、地金・純金積立が総合課税の譲渡所得、金ETFが申告分離課税20.315%で、成長投資枠の対象銘柄をNISAで売れば非課税です。
値上がり益100万円の試算では、所得税率10%なら地金・純金積立は5年超で約5.1万円、金ETFは約20.3万円でした。手元の取引報告書や契約書面と、国税庁のタックスアンサーをあわせて確かめてみるとよいかもしれませんね。
※本記事の試算は一定の前提に基づく概算です。実際の税金は、その年のほかの所得や譲渡益、控除によって変わります。手数料の額は販売店や証券会社、運営会社ごとに異なります。本記事は特定の商品・銘柄・事業者をすすめるものではありません。税金の扱いは国税庁のホームページや税務署で、NISAの対象かどうかは東京証券取引所の銘柄一覧や取引する金融機関でご確認ください。
参考資料
- 国税庁「No.3161 金地金の譲渡による所得」
- 国税庁「No.1463 株式等を譲渡したときの課税(申告分離課税)」
- 国税庁「No.2260 所得税の税率」
- 東京国税局「金定額購入システムで取得した金地金を譲渡した場合の課税上の取扱いについて」
- 日本取引所グループ「商品・商品指数 | 銘柄一覧(ETF)」
- 日本取引所グループ「商品(外国投資法人債券) | 銘柄一覧(ETF)」
- 金融庁「NISAを知る」
高原 祥子