株の損失が出た年は、税金とは関係がないと考える方もいるのではないでしょうか。
特定口座(源泉徴収あり)で取引していると、確定申告をしないまま年を越すことも多いかもしれません。
損失の額そのものより、その損失を差し引ける利益がその後どれだけ出るかで、税金への影響は変わってきます。
ここでは、株の損失を確定申告で繰り越す仕組みと、差し引ける相手の範囲を、国税庁の説明にそって見ていきましょう。
あわせて、株の損失が50万円・100万円・200万円の場合に、翌年以後の上場株式等の譲渡益が年20万円か年50万円かで、繰越控除によって少なくなる税金がいくらになるかを試算しました。
※税率20.315%は、国税庁「No.1331 上場株式等の配当等に係る申告分離課税制度」による申告分離課税の税率(所得税および復興特別所得税15.315%、地方税5%)です。
損失と譲渡益の額は比較のための値で、特定の銘柄の数字ではありません。
1. 株の損失は確定申告で繰り越せる?差し引ききれない分は翌年以後3年間、上場株式等の譲渡益と配当から繰越控除できる
株の損失は、確定申告をすれば翌年以後に繰り越せます。国税庁「No.1474 上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除」によると、上場株式等を金融商品取引業者等を通じて売って出た損失は、確定申告により、その年の上場株式等の配当等と損益通算できます。
損益通算してもなお控除しきれない損失は、翌年以後3年間にわたり、確定申告により繰越控除できます。差し引ける相手と、相手にならないものは次のとおりです。
- 【差し引ける相手】上場株式等の譲渡所得等と、上場株式等の配当所得等(配当は申告分離課税を選んだものに限る)
- 【相手にならないもの】一般株式等(非上場株式など)の譲渡所得等、給与所得など他の各種所得
- 【対象外の損失】いわゆる相対取引などで出た損失、非課税口座(NISA)の中で出た損失
国税庁「No.1465 株式等の譲渡損失(赤字)の取扱い」でも、上場株式等の損失は、配当との損益通算の場合を除き、給与所得など他の各種所得から差し引くことはできないとされています。
2. 株の損失を特定口座(源泉徴収あり)で繰り越すには?損失が出た年から連続して付表を添付した確定申告書を出す
国税庁「No.1476 特定口座制度」によると、特定口座(源泉徴収あり)の譲渡所得等は、申告不要とすることができます。ただし、ほかの口座の損益と相殺する場合や、株の損失の繰越控除を受ける場合には、確定申告をする必要があります。
No.1474では、繰越控除を受けるための手続きを次のように示しています。
- 【株の損失が出た年】「所得税及び復興特別所得税の確定申告書付表(上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除用)」(以下、付表)と「株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書」を添付した確定申告書を出す
- 【その後の年】連続して付表を添付した確定申告書を出す。上場株式等を売らなかった年も、損失を翌年へ繰り越すための申告が必要
- 【繰越控除を受ける年】付表と、譲渡所得等がある場合は計算明細書を添付した確定申告書を出す
国税庁の「確定申告書等作成コーナー」では、金額を入力すると必要な付表や明細書も作成されると案内されています。