4. 【おひとりさまが手取りを確かめる方法】年金振込通知書の「控除後振込額」を見る

同機構の案内によると、年金振込通知書の「年金支払額」は、1回に支払われる控除前の年金額です。そこから社会保険料や所得税、住民税などを差し引いた金額が「控除後振込額」として書かれています。

令和8年10月からは、介護保険料などの天引きの金額が変わった人がいて、同機構はそうした人に通知書を送っています。届いている人は、前の通知書と金額を並べて見ておくとよいでしょう。

4.1 物価の動きも、手取りと並べて見る

冒頭で触れたとおり、物価は前の年より上がっています。手取りの金額が同じでも、物価が上がると、暮らしの中で使えるお金の感覚は変わってくるでしょう。ふだんの買い物で払う金額が以前とどう変わったかも、通知書の金額と合わせて振り返ってみると、家計の変化をつかみやすくなりそうです。

4.2 手取りと支出の差を、1年分で見ておく

1章で見たとおり、単身無職世帯の平均では、毎月の支出が手取りを2万9980円上回っていました。わが家でも差があるなら、1年分でいくらになるかを書き出し、手元の貯蓄で何年ほど補えるかを見ておきたいところです。

お金の出入りは月によって違います。まとまった出費が多い月と少ない月をならして1年分で見ると、1か月だけで判断するよりも、無理のない予算の立て方を考えやすくなるでしょう。

ひとり暮らしでは、急な出費もすべて自分の財布から出ていきます。手取りの範囲で暮らせているかどうかを、季節ごとに一度振り返る習慣があると安心でしょう。

支出を見直すときは、毎月決まって出ていく固定費から手をつけると、暮らしの満足度を下げずに続けやすいと考えられます。

これから年金を受け取る人は、ねんきん定期便で年金の見込額(50歳以上)を確かめておくと、手取りの見当もつけやすくなりそうです。

5. まとめにかえて

ひとり暮らしの65歳以上の無職世帯の手取り(可処分所得)は、平均で月11万8465円でした。家計調査(2025年平均)で、税金と社会保険料などの月1万2990円を差し引いたあとの金額です。

手取りは、年金の額面から税金や保険料を差し引いた、実際に使えるお金です。額面だけを見ていると、暮らしの予算を多めに見積もってしまうこともあるでしょう。

現役時代の年収によって年金の額面は変わり、そこから税金や保険料が引かれます。おひとりさまは自分の年金が暮らしの土台になりやすいからこそ、年金振込通知書で手取りを確かめ、毎月の予算に落とし込んでおくと安心でしょう。

おひとりさまの家計は、自分で決められる自由がある分、数字で見通しを持っておくことが、これからの安心につながると考えられます。わが家の手取りと支出を一度書き出しておけば、次に通知書が届いたときにも見比べやすくなるでしょう。

参考資料

宮野 茉莉子