2. 中古車の現状販売の「保証なし」の特約はどこまで有効?販売店の損害賠償の責任を全部なくす特約は、消費者契約法8条で無効になる場合がある

中古車の現状販売で「保証なし」「一切の責任を負いません」と書かれていても、販売店(事業者)と個人(消費者)の契約には消費者契約法がかかります。条文の定めは次のとおりです。

  • 【損害賠償の責任を全部なくす特約(8条1項1号)】事業者の債務不履行による損害賠償の責任の全部を免除する条項は無効
  • 【故意・重大な過失の場合の一部免除(8条1項2号)】事業者に故意または重大な過失がある場合に、責任の一部を免除する条項も無効
  • 【軽い過失に限ると書いていない一部免除(8条3項)】責任の一部を免除する条項で、重大な過失を除く過失の場合にだけ使うことを明らかにしていないものは無効
  • 【例外(8条2項)】契約不適合の場合に、事業者が修理などの追完か代金の減額の責任を負うと決めている場合などは、損害賠償の全部免除の条項でも8条1項は使われない
  • 【解除できないとする特約(8条の2)】事業者の債務不履行による消費者の解除権を放棄させる条項は無効

また民法572条では、責任を負わない特約をしていても、販売店が「知りながら告げなかった事実」については責任を免れられないとしています。

8条が直接扱うのは損害賠償の責任で、修理や減額にも一切応じないとする特約がどう扱われるかは、消費者の利益を一方的に害する条項を無効とする10条にあたるかが問題になります。契約書の書き方や説明の内容で結論が変わるため、「現状販売なら必ず請求できる」とも「現状販売なら請求できない」とも言い切れません。

3. 中古車の現状販売で「契約の内容」は何で決まる?年式・走行距離・修復歴・保証の有無・説明の内容で、店頭の表示と書面で確かめる

中古車の現状販売で、故障が契約不適合にあたるかを考える出発点は、買ったときに何が約束されていたかです。中古車の表示は、景品表示法にもとづいて業界が定めた「自動車公正競争規約」のルールに沿って行われ、2023年10月1日からは価格を「支払総額」で示すことになっています。

  • 【支払総額】車両価格に、保険料・税金・登録などに伴う費用を加えた額で表示し、内訳として車両価格と諸費用を示す
  • 【保証の有無】保証を付けて保証の費用が車両価格に含まれる場合は「保証付き」と表示し、保証の内容と保証期間・走行距離数を示す。付けない場合は「保証なし」と表示する
  • 【定期点検整備】実施して費用が車両価格に含まれる場合は「定期点検整備付き」、実施しない場合は「定期点検整備なし」と表示し、整備が必要な箇所があればその旨を示す
  • 【車の状態】自動車公正取引協議会の表示例では、初度登録年月、走行距離数、修復歴、使用歴、車検の有効期限なども並べて示している

保証や定期点検整備を販売の条件にする場合、その費用は諸費用ではなく車両価格に含めることになっています。つまり、表示された支払総額と「保証なし」「整備が必要な箇所あり」などの表示、注文書や車両の状態を書いた書面、購入前の説明が、「契約の内容」を確かめる手がかりになります。