中古車を「現状販売」の条件で買い、しばらく乗ってから故障が見つかったとき、修理代は自分で払うしかないのでしょうか。中古車の売り場では、保証の有無が「保証付き」「保証なし」と表示されています。
暮らしのお金について発信している立場から見ると、中古車は「保証の有無」で故障したときの手間と費用の出方が変わるため、買う前に知っておきたい点です。国民生活センターによると、中古自動車に関する相談は2025年度に8642件寄せられています。
ここでは、民法の「契約不適合責任」、消費者契約法、自動車公正取引協議会の表示のルールをもとに、現状販売の中古車の故障を販売店に求められる場合を整理します。あわせて、話し合いでまとまらないときに裁判所へ納める手数料を、請求額10万円・30万円・60万円で比べます。
※相談件数は、国民生活センター「中古自動車」のPIO-NET(全国消費生活情報ネットワークシステム)に登録された件数(2026年5月31日現在、消費生活センター等からの経由相談を除く)で、購入のほか売却・解約の相談も含みます。手数料は、裁判所「手数料額早見表」(令和8年9月15日改訂)の額です。
1. 中古車の現状販売で故障したら、修理代は自己負担?「契約の内容」に合わなければ、修理・代金の減額・損害賠償・契約の解除を求められる
中古車の現状販売でも、引き渡された車が「契約の内容」に合わないときは、買主は販売店に責任を求められます。民法では、これを「契約不適合」と呼び、買主ができることを次のように定めています。
- 【修理などを求める(民法562条)】引き渡された物が種類・品質・数量について契約の内容に合わないとき、修補(修理)などの「履行の追完」を求められる。ただし、買主の側の事情で生じた不適合は対象外
- 【代金の減額を求める(民法563条)】期間を決めて修理を求めても直されないときなどは、不適合の程度に応じて代金の減額を求められる
- 【損害賠償・契約の解除(民法564条)】あわせて、損害賠償の請求(415条)や契約の解除(541条・542条)もできる
- 【通知の期間(民法566条)】不適合を知った時から1年以内に販売店へ通知しないと、これらを求められなくなる。ただし、販売店が引き渡しの時に不適合を知っていた、または重大な過失で知らなかったときは、この期間の制限はない
一方で、故障があれば必ず「契約不適合」になるわけではありません。年式や走行距離から見て通常の傷みの範囲と判断される場合や、購入前に説明を受けたうえで買った故障や傷みは、契約の内容に含まれていたとして、不適合にあたらないとされることがあります。
なお、1年以内の通知は「契約の内容に合わない点があったことを伝える」ための期間です。そのあとの請求の権利は、権利を行使できることを知った時から5年で時効にかかります(民法166条)。