3. シフトがなくなった日の休業手当は台風でも出る?会社の判断なら出て、不可抗力なら出ない
シフトがなくなった日に休業手当が出るかは、休みの理由が「使用者の責に帰すべき事由」にあたるかで決まります(労働基準法第26条)。厚生労働省は、これには会社の経営や管理上の理由も含まれ、不可抗力による場合は含まれないとしています。
- 【不可抗力の要素1】原因が事業の外部から起きた事故であること
- 【不可抗力の要素2】会社が通常の経営者として最大の注意を尽くしても避けられない事故であること
- 【要素2の見方】在宅勤務やほかの業務に就かせることを十分に検討したか、などから判断する
台風の日でも、2つの要素をいずれも満たさなければ不可抗力とはいえません。売り上げの見込みなど会社側の判断で休みにした場合は、休業手当の対象になり得ます。一方、店舗が被害を受けて営業できない場合などは、不可抗力と判断されることがあります。
4. シフト制のパートにも休業手当は出る?会社の責任で休ませた場合は必要
厚生労働省の「いわゆる『シフト制』により就業する労働者の適切な雇用管理を行うための留意事項」(2026年6月19日改正)は、シフト制で働く人でも、会社の責任で休ませた場合は休業手当の支払いが必要だとしています。
- 【会社の責任で休ませた場合】シフト制でも休業手当が必要
- 【不可抗力による場合】休業手当の支払い義務はない
- 【確定したシフトの変更】会社と働く人の双方が合意したうえで行う
シフトがいつ確定したのか、休みの連絡がどんな理由だったのかを、シフト表や連絡の記録で残しておくと、勤務先に確かめるときの材料になります。
5. 休業手当が日給相当の約36%を上回るのは?3カ月の出勤日数が暦日数の60%を超えるとき
原則の計算が最低保障の計算を上回るのは、直前3カ月の出勤日数が暦日数の60%を超えるときです。暦日数が92日なら約55日が境目で、週に直すとおよそ4.2日です。
- 【週2〜4日の勤務】休業手当は日給相当の約36%(試算の働き方なら約2855円)
- 【週5日の勤務】休業手当は日給相当の約43%(試算の働き方なら約3414円)
※試算の前提:1日分の賃金を約7931円、暦日数を92日とし、3カ月の出勤日数を週5日の勤務で66日とした。
同じ時給、同じ1日の時間でも、週5日働く人のほうが休業手当の割合は高くなります。また、休業手当は法律が定める最低限の額なので、会社が60%より多く支払うことや、就業規則で上乗せを決めていることもあります。
なお、民法第536条第2項には、会社の責任で働けなかった場合に、働く人が賃金の支払いを求められるとする定めもあります。ただし、休業手当とは要件が同じではなく、契約や就業規則で扱いが変わることもあるため、勤務先や労働基準監督署に確かめていただきたいところです。
6. 【元銀行員の視点】休みの理由と、シフトが確定していたかを確かめておく
休業手当の「60%」という数字だけを見ると、日給の6割は受け取れると考えるかもしれません。ただ、試算のとおり、パートの平均的な働き方では日給相当の約36%で、1日休むと約5076円の差が出ます。
休業手当でいえば、60%がかかるのは平均賃金で、その平均賃金が日給より低く計算される点に気をつけていただきたいところです。
数字を読むときは、自分の出勤日数が直前3カ月の暦日数の60%を超えているかを見ると、どちらの計算になるかの見当がつきます。週4日以下の勤務なら、多くの場合は最低保障の計算です。
また、休業手当は賃金として支払われるため、給与明細では給与と同じように扱われます。額面で約2855円でも、振り込まれる額はそれより少なくなることがあり、額面と手取りを分けて見ておきたいところです。
シフトがなくなった日の連絡を受けたら、休みの理由と、シフトが確定していたかを確かめておくことが出発点です。そのうえで、休業手当の額を給与明細で確認していただきたいところです。
7. まとめ
シフトがなくなった日の休業手当は、会社の責任で休ませた場合に平均賃金の60%以上が支払われるもので、台風の日でも不可抗力にあたらなければ対象になり得ます。シフト制で働くパートも対象です。
パートの平均的な働き方で試算すると、休業手当は1日約2855円で、日給相当の約36%です。週5日の勤務なら約43%に上がります。自分の出勤日数と休みの理由を確かめておくと、受け取れる額の見当がつきます。
※本記事の試算は一定の前提に基づく概算です。実際の休業手当の額や支払いの有無は、賃金の締め日や手当の有無、休業の理由などによって変わります。実際の扱いは、勤務先や労働基準監督署でご確認ください。
参考資料
- e-Gov法令検索「労働基準法」
- 厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和7年分結果確報」
- 厚生労働省「いわゆる『シフト制』により就業する労働者の適切な雇用管理を行うための留意事項」
- e-Gov法令検索「民法」
中本 智恵