6. 【証券会社出身の視点】検証:退職一時金の平均1623万円は、NISAに入れきる5年より、生活費の不足額の約31.9年分という長さで分けて考える
この記事では、NISAの年間投資枠と非課税保有限度額をもとに、退職一時金の平均1623万円をNISAに入れきるまでの年数と、同じ退職金から生活費の不足額も出した場合の預金の残り方をご紹介しました。
記事で使った1623万円は、大学・大学院卒(管理・事務・技術職)で勤続20年以上かつ45歳以上の定年退職者のうち、退職一時金制度のみの会社の平均です。同じ調査で、企業年金を含む退職給付の平均は1896万円ですが、退職年金の分は一度には受け取りません。ご自身の退職金のうち一時金がいくらかを確かめてから金額を当てはめるとよいでしょう。
資産運用のご提案をしていた頃も、まとまったお金を受け取った方には、まず「数年のうちに使う予定のお金」と「しばらく使わないお金」を分けることから始めていました。値動きのある資産は、使う時期が近いお金ほど、下がったときに売らざるを得なくなるためです。
確認していただきたい観点を、順に整理します。第一に、退職金のうち一時金で受け取る額と、退職年金として受け取る額。第二に、年金を受け取り始めるまでの期間と、毎月の生活費の不足額。第三に、医療や住まいの修繕など、数年のうちに出ていく予定のお金です。
生活費として取り置く額が決まると、残りのうちどれだけを、何年かけてNISAに入れるかも決めやすくなります。NISAに入れるかどうかも含めて、年間投資枠の360万円は「1年に入れられる上限」であり、毎年使い切る必要はない枠として見ておくと、選択肢を並べやすくなるかもしれませんね。
7. まとめ
NISAの年間投資枠は、つみたて投資枠と成長投資枠を合わせて360万円です。退職一時金の平均1623万円を上限まで毎年入れても、入れきるまで5年かかり、1年目の終わりには約77.8%がNISAの外に残ります。
退職金から生活費の不足額も出す場合は、毎年360万円を入れ続けると、3年目の終わりに預金は約390.2万円になります。生活費の取り置きとNISAに入れる分を分けて考えると、何年かけて入れるかも見通しやすくなります。NISAの制度は金融庁「NISA特設ウェブサイト」で確かめることができます。
※本記事の試算は一定の前提に基づく概算です。NISAで購入する投資信託や株式などは元本が保証されておらず、値動きにより元本を下回る(元本割れする)ことがあります。本記事は特定の金融商品や投資をすすめるものではありません。退職金の額や生活費の不足額は、勤め先の制度や世帯によって異なります。NISAの制度の最新の情報は、金融庁のホームページでご確認ください。
参考資料
安達 さやか