退職金を受け取ったら、まとめてNISAに入れて非課税で運用したいと考える人もいるかもしれません。ただ、NISAには1年に入れられる年間投資枠があり、つみたて投資枠と成長投資枠を合わせて360万円までです。
証券会社で資産運用のご提案をしていた経験からお伝えすると、まとまったお金は「いくらあるか」と同じくらい「いつ、どこから使うか」で分けておくと、置き場所を決めやすくなります。ここでは、退職一時金の平均額をNISAの年間投資枠で入れた場合に何年かかり、その間どれだけのお金がNISAの外に残るかを整理します。
厚生労働省の調査の退職一時金の平均で、NISAに入れきるまでの年数を試算し、総務省の家計調査の生活費の不足額を同じ退職金から出した場合とも比べました。
※退職一時金の平均1623万円は、厚生労働省「令和5年就労条件総合調査」の大学・大学院卒(管理・事務・技術職)で、勤続20年以上かつ45歳以上の定年退職者のうち、退職一時金制度のみの会社の平均(令和4年1年間に退職した人)です。生活費の不足額は、総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2025年(令和7年)平均結果の概要」の65歳以上の夫婦のみの無職世帯の月4万2434円です。
1. 退職金はNISAにまとめて入れられる?1年に入れられるのは年間投資枠の360万円まで、一括で入れられるのは成長投資枠の240万円
金融庁「NISAを知る」によると、NISAの年間投資枠と、生涯で使える非課税保有限度額は次のとおりです。
- 【つみたて投資枠】年120万円
- 【成長投資枠】年240万円
- 【年間投資枠の合計】年360万円
- 【非課税保有限度額】1800万円(そのうち成長投資枠は1200万円まで)
同じページでは、つみたて投資枠で積立投資を続けながら、成長投資枠で一括投資することもできると説明しています。退職金を受け取った年に一度に入れられるのは成長投資枠の240万円で、つみたて投資枠の120万円は、毎月10万円などの積立で使う形になります。
NISAの口座は1人につき1口座で、年間投資枠と非課税保有限度額も口座を持つ本人ごとに決まります。退職金が年間投資枠の360万円を超える場合は、1年で全額をNISAに入れることはできません。